「サウジ軍」が標的になった
フーシが8月に入って攻撃を重ねているのは、石油施設だけではない。
紅海の港アル・マハーでは8月12日、商業船がフーシに撃たれた。死者6人、負傷10人。フーシは「武器を運ぶ船だった」と主張したが、確認されていない。
一方、サウジ軍がイエメン国内で展開する拠点にもドローンと弾道ミサイルが相次いで撃ち込まれた。イエメン大統領評議会議長はこう言った。「フーシの行動はすべて応報なしには終わらない」。ただ彼は「政治的な解決の余地もある」とも付け加えた。
答えは決まっていない、と言っているに等しい。
「油田への道」が今また、開いている
サウジアラビアにとって、フーシは十年来の問題だ。
2026年2月に米国とイスラエルがイランを攻撃して以来、フーシは「イランの代理」として動いてきた。しかしここ数週間の攻撃パターンは、イランの直接指示とは別に独自エスカレーションの様相を見せている、とサウジのアナリストたちは指摘する。
| 時系列 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月 | 米国・イスラエルがイランを攻撃。フーシが前線に出る |
| 7月末 | フーシがサウジの石油施設を標的にし始める |
| 8月9日 | アラムコ・ジザン精製所を攻撃(火災、人的被害なし) |
| 8月12日 | アル・マハー港への攻撃(6人死亡、10人負傷) |
| 8月17日 | フーシがサウジ軍への攻撃継続を宣言 |
アラムコのCEOは「現時点で生産への実質的な影響はない」と述べた。しかし専門家の見方は違う。「攻撃の回数が増えれば、いずれ損害の規模が変わる」。
「もう一つのホルムズ」になるリスク
紅海は、ホルムズ海峡が閉じて以来、代替ルートとして注目が増している。
ホルムズを通れないタンカーの一部は喜望峰を回り、一部はスエズとバブ・アル・マンデブ海峡を通る。そのバブ・アル・マンデブに近い海域が、今まさにフーシが抑え込もうとしている場所だ。
「紅海も閉じれば、石油は南アフリカ回りになる」。あるロイター取材の海事アナリストはそう語った。輸送コストが跳ね上がり、ただでさえ高い原油がさらに追い打ちをかけられる。
ブレント原油はすでに90ドル台に達している。ホルムズが閉じて以来の上昇分だ。紅海も荒れれば、その先は「手に負えない」水準になりかねない。
サウジはどこまで耐えるか
フーシとサウジの間では2022年に停戦が成立した。あの停戦を壊したのは誰か、という議論は決着していない。しかし今、停戦が機能していないことは明らかだ。
国際危機グループのアナリストは言っている。「サウジは山岳地帯での全面戦争がいかにコストがかかるかを、過去10年で学んだ」。
エアパワーだけでは片が付かない。かといって地上部隊を入れれば泥沼になる。
サウジアラビアは今、戦争のど真ん中にはいない。しかしそのすぐ外縁に、少しずつ引き込まれている。
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