2028年12月から認証経路を限定
FCCの機器認証では、認定試験所が電波出力や不要な放射を測り、通信認証機関(TCB)が申請資料を審査する。米国内で輸入・販売する無線機器の多くは、この工程を通らなければならない。
今回の規則は、米国と相互承認協定(MRA)を結んだ国・地域か、米国内にある試験所、認証機関、認定機関へ参加を絞る。中国商務省は、中国にある機関が実質的にすべて除外されると説明した。通信規制を扱うCovingtonの解説も、FCCが10月29日に採択し、移行期限を2028年12月1日としたことを確認している。[1][2]
発効まで約2年あるのは、試験設備や認定範囲を別の国へ移す時間を確保するためだ。現在販売中の機器を直ちに回収するとの説明は確認できない。新規申請、設計変更、認証更新でどの案件から新経路が必要になるかは、FCCの施行文書と移行規定を確認する必要がある。
国有の危険な試験所だけが対象ではない
FCCは2025年以降、政府や制裁対象企業に所有・支配される試験所を「Bad Labs」と呼び、認定取消しを進めてきた。2026年のFCC文書によると、外国政府の支配下にあると判断した23試験所がすでに認定対象から外れた。[3]
今回の線引きは、個々の所有関係を審査する方式より広い。試験所の品質や資本関係にかかわらず、相互承認のない国に所在することを基準にする。FCCは安全保障、試験結果の信頼性、監督権限を理由に挙げる。中国側は、国際標準に従う合法的な機関まで排除する差別的措置だと反論した。
つまり、論点は「問題のある一社を除く」ことから「制度を相互に監督できる国へ限定する」ことへ移った。同じ測定設備と技術者を持つ試験所でも、所在地と政府間協定によって米国向けの証明に使えなくなる。
メーカーの費用は試験料金だけではない
試験所を中国から米国や協定国へ変えると、見積書の単価だけでなく開発工程が変わる。影響を受ける費用は主に四つある。
- 試作品を海外へ送る輸送費と通関の時間
- 電波暗室や測定器の予約待ちと、繁忙期の追加料金
- 不合格時に設計拠点へ戻して修正し、再試験する往復
- 現地の認証担当者、通訳、技術文書をそろえる管理費
スマートフォン大手は複数国の試験網を持つため、認証先を切り替えやすい。影響が大きいのは、中国で設計・量産し、現地試験所で短い修正サイクルを回す中小メーカーや部品企業だ。試作品を工場から遠ざけると、測定結果を受けた基板修正やソフトウェア調整に日数が加わる。
一方、2028年までに米国や協定国の試験能力が増えれば、待ち時間と料金上昇は抑えられる。現段階で一律の値上げ幅や遅延日数を示す根拠はない。企業は価格予測より、自社製品を扱える認定試験所の数と予約状況を確認する方が確実である。
相互承認は検査の重複を減らす仕組み
相互承認協定は、ある国の認定機関や試験所が出した結果を、相手国も受け入れるための枠組みだ。製品を販売国ごとに同じ設備で測り直す負担を減らし、規制当局同士が監督手順を共有する。
中国商務省は、米中間で試験・認証の相互承認を協議すべきだと主張し、米国が規則を実施する場合は対抗措置を取ると表明した。[1] ただし、具体的な対象品目や開始日は示していない。
対抗措置が米国企業の中国向け認証へ及べば、両方向で試験拠点の移転が必要になる可能性がある。これは発表された事実ではなく、今後の制度設計に依存する。まず見るべきは、中国側の正式な規則と、米中の協議が始まるかどうかである。
企業が今から確かめること
第一に、製品ごとの認証期限と設計変更の予定を洗い出す。2028年末より前に取得した認証がいつまで使えるか、派生モデルや部品変更が再申請に当たるかをTCBへ確認する。
第二に、代替試験所の認定範囲を見る。電波試験所ならどこでも同じではない。5G、Wi-Fi、Bluetooth、レーダーなど、製品が使う周波数と試験項目を扱えるかで選択肢は変わる。FCCは認定試験所の一覧を公開している。[4]
第三に、量産日程へ再試験の余白を入れる。規則の発効日に対応を始めると、試験所の予約が集中した場合に販売開始が遅れる。調達部門だけの問題ではなく、設計、品質保証、物流、法務をつないだ認証計画が必要になる。
まとめ
- FCCの規則は中国製品を直ちに禁輸するものではなく、米国向け機器の試験・認証を行える所在地を2028年12月から限定する。
- 影響は試験料金だけでなく、試作品の輸送、予約待ち、設計修正、再試験の納期に及ぶ。
- メーカーは認証の有効期限、代替試験所の対象範囲、再試験の余白を製品ごとに確認する必要がある。







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