買い取ることで、メーカーの仕事も引き受ける
Kuradashiの基本はまだ使える商品をメーカーや卸などから仕入れ、通常と異なる事情を説明して販売する仕組みだ。公式の出品案内では、賞味期限が近い食品、季節を過ぎた商品、パッケージ変更品などを対象にしている。商品や期限、保管状態を確認したうえで引き受けるため、余っていれば何でも買い取るわけではない。[2]

一括で買い取るプランでは、メーカー側がクラダシの倉庫へ商品を送る。掲載料や手数料は0円で、倉庫への輸送費はメーカー側が負担する。クラダシは売れ残りを返品せず、代金は当月末締め・翌月末払いで支払う。メーカーは販売の成否を待たずに取引金額を確定でき、在庫管理や個別販売の負担を軽くできる。[2]
この形では、クラダシが消費者への商品販売で売上を得て、仕入れや配送などの費用を負う。出品する企業から掲載手数料を受け取るだけの事業ではない。商品の売り先に加え、在庫と販売の責任を引き受けることが提供価値になる。 買取価格は商品特性・数量・賞味期限などに応じた個別提案で、一定の仕入率は公開されていない。[2]
一方、メーカーが在庫を持ったまま、注文された分を発送する直送プランもある。ページ作成や顧客対応をクラダシが担い、メーカーは商品情報の提供と発送に対応する。保管場所や売れ行きのリスクをどちらが持つかは取引形態で変わるため、すべての商品を同じ一括買取モデルで説明することはできない。[2]
消費者は商品代を払い、必要なら有料会員になる
消費者は会員登録して、商品ごとに買い物をする。登録無料の一般会員と、月額550円(税込)のプレミアム会員があり、有料会員は対象商品をプレミアム会員価格で購入できる。一部商品は対象外で、会員費を払えば食品そのものが届く定額サービスではない。公式案内では会員向けメールでクーポンやキャンペーンを届け、限定商品の購入や、購入による社会貢献の確認もできる。[3]
安さを判断するときは、数量と配送条件を合わせて見る必要がある。公式FAQでは基本送料が1商品ごとに550円(税込)で、商品一覧・詳細には送料込みの価格を表示すると説明する。冷蔵・冷凍には重さに応じたクール便代が別途加わり、プレミアム会員もその対象となる。例えば5kg未満のクール便代は330円(税込)。沖縄や離島の一部には別の中継料金もある。[4]
販売ページでは安くなる理由や期限を確認して選べる。商品代の割引だけでなく、届いてから使える期間と食べ切れる量まで納得できることが、購入の条件になる。企業側にとっても在庫を動かせる価格と、仕入れ・配送の費用を賄える価格を両立させなければ、販売額が増えても利益は残らない。
増えている売上の範囲を、食品事業で確かめる
約32.6億円、前期比5.9%増のFood事業にはKuradashiの通販に加え、子会社の冷凍宅配弁当やオンライン料理教室なども含まれる。決算短信は、前期に子会社化した事業が通期にわたり業績へ寄与したと説明している。会社全体の22.4%増収にはEnergy事業も含まれ、食品通販だけの伸びとは異なる。同期間の外部顧客への売上はすべて日本国内である。[1]
実際に買う人も見たい。決算説明資料の購入側指標では、2026年4〜6月の月間UUは20,551人だった。これはアクセス数ではなく、月ごとの購入会員ID数を3か月で平均したもの。前年同期の19,994人から約2.8%増えた一方、直前の1〜3月の21,135人からは減っている。これも連結ベースの指標で、Kuradashi通販だけの購入者数や、累計登録会員とは異なる。[5]
Food事業のセグメント利益は約2.31億円、前期比68.5%増だった。ただし、これは各事業へ配分していない全社費用を差し引く前の指標で、連結営業利益とは異なる。食品の売上を増やすこと、配送などを含めて利益を残すこと、会社全体を黒字にすることは、それぞれ確かめる必要がある。[1]
売り先を持つ会社が、食品の物流にも入る
クラダシは食品ECで培った仕入れ、保管、サイト運営、販売、顧客対応などの機能を、他社向けの支援にも広げている。物流代行では食品メーカーの商品の特徴に合わせて提携倉庫や配送、システムを組み合わせる。物流拠点で賞味期限が迫った商品を、Kuradashiでの販売につなげることも想定する。[5] [6]

2026年5月の会社発表に掲載されたPAPABUBBLEのコメントでは、EC拡大に伴う保管・出荷負荷をきっかけに導入し、段階的に移行した結果、EC領域の物流コストを約半分にできたと説明している。計測期間や取扱量をそろえた比較条件は公表されていないため、すべての導入企業に当てはまる削減率ではない。それでも、顧客が求めるものに、売り場の提供に加えて日々の出荷を回す支援があると分かる。物流代行の一律の料金表は同発表には掲載されていない。[6]
会社発表では提携倉庫が150拠点から180拠点以上へ増えたとしている。これは提携先の拠点数で、自社所有倉庫や有料顧客の数とは異なる。メーカーの商品と保管・配送の条件を合わせて運用する仕事に加え、販売先を用意できることが、クラダシの事業を考えるうえでの特徴になる。[6]
在庫が余る前の判断を支えるAI
2026年5月には滞留在庫を予測する「Kuradashi Forecast」の提供開始も発表した。メーカーの在庫・販売管理データを、システム同士をつなぐAPIやCSVファイルで受け取り、商品別の在庫数、賞味期限、販売実績などから余りそうな商品を判定する。さらに、推奨する販売価格帯やKuradashiでの買取提案へつなぐという。[7]
ここで役立つと会社が説明するのは、自ら商品を買い取り、価格を調整し、売ってきた実務データだ。予測結果の先に、商品を引き受けて販売する手段も持つ。ただし、同発表には予測精度の比較試験や、有料契約数、料金、導入先の在庫削減量は示されていない。食品事業の増収を、このAIサービスが生んだ成果とする根拠はまだない。[7]
顧客側でも、商品情報や期限、入出庫の記録がそろっていなければ、予測に渡すデータを整える作業から必要になる。販売先をつくる仕事と、在庫が余る前に判断を支える仕事では、必要な運用支援も変わる。
小さく試すなら、売れ残りの責任まで決める
ここからは、公開された仕組みを別の事業へ応用する仮説だ。最初から大きな通販サイトや倉庫網、AIを用意するより、特定の品目と少数の供給元に絞り、在庫が余る事情と購入者の使い道が合うかを試す方法が考えられる。
- 供給元が減らしたいのは、処分費、保管場所、販売の手間のどれか。引き受ける価値と買取価格を分けて聞く。
- 購入者が払う総額と、使い切れる数量・残り期間を確かめる。安いという反応だけで継続購入を見込まない。
- 仕入れ、検品、保管、配送、問い合わせ、売れ残りまで含めて費用を測る。誰が在庫を持ち、売れなかったときに負担するかも先に決める。
クラダシの事業から得られるのは、値引き幅を大きくする発想だけではない。供給元が困っている仕事を引き受け、その商品が売れる相手と届け方を組み合わせる。 その一連の費用を回収できるかまで確かめることが、余剰在庫を継続する事業へ変える条件になる。
まとめ
- クラダシのFood事業は2026年6月期に5.9%増収。子会社を含む食品事業の実績であり、全社や通販単体の数字と分けて読める。
- 在庫買取はメーカーの保管・販売負担を減らす仕事でもある。物流や在庫予測へ広がる一方、商品ごとの費用と責任を引き受ける。
- 新規事業で試すなら、安さへの反応に加え、使い切れる条件と売れ残りまで含めた採算を確かめたい。
出典・参考
- クラダシ「2026年6月期 決算短信」(2026年8月13日、Food事業・全社費用・地域別売上の注記)。
- Kuradashi「食品・化粧品の在庫買取」(2026年10月31日確認)。
- Kuradashi「ご利用ガイド」(2026年10月31日確認)。
- Kuradashi よくある質問「送料はかかる?」(2026年10月31日確認)。
- クラダシ「2026年6月期 決算説明資料」(2026年8月13日、特に33〜34・38ページ〔資料内表記〕)。
- クラダシ「物流サービスサイト開設1周年」(2026年5月28日、会社掲載の顧客コメントを含む)。
- クラダシ「Kuradashi Forecastの提供を開始」(2026年5月7日)。
カバー写真:株式会社クラダシ 公式プレスキットのたまプラーザ店舗写真/© KURADASHI Co., Ltd.。撮影日時は非公表。









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