カメラ代と、映像を保存し続ける料金を分ける
Safieの標準的なクラウド録画プランでは、利用者がカメラ本体などの初期費用と、カメラ1台ごとの月額利用料を支払う。月額料金は過去何日分の映像を見返せるかで変わる。公式料金ページに掲載された税込価格は次の通りだ(2026年10月28日確認)。[3]
| 映像を保存する期間 | カメラ1台あたりの月額料金 |
|---|---|
| 7日間 | 1,320円 |
| 30日間 | 2,200円 |
| 90日間 | 3,300円 |
7日間プランは、契約が7日で終わるという意味ではない。利用中はライブ映像に加え、直近7日分の録画を見返せる。3台すべてを同じプランで使えば、クラウド録画だけで月額3,960円となる。機器代や工事代は別だ。公式ページの導入例では、屋内カメラ「Safie One」が1台50,600円とされている。設置条件によって周辺機器や工事が必要になり、人数カウントなどの追加機能にも料金がかかる。[3]

購入型のカメラには電源とインターネット環境の準備が必要になる。一方、屋外用の「Safie GO」や持ち運び用の「Safie Pocket」はレンタルで提供される。購入型の月額1,320円を、そのまま通信やレンタルを含む全製品の価格と考えてはいけない。用途と設置場所で、契約の中身が変わる。[3][4]
顧客は機器に加えて、必要なときに、必要な場所の映像へたどり着ける状態へ支払う。その状態を維持する保存・閲覧のサービスが月々の支払いの対象になる。
約800台から約1,200台へ。国内の現場で使い方が広がった
積水ハウスの事例には、映像を使う仕事と導入を広げる手順が具体的に表れている。セーフィーが2026年1月に公開した事例によると、積水ハウスは2024年秋、既存の定点カメラからの入れ替えを各支店へ推奨し、約800台のSafie GOを導入した。その後は追加や新規の申し込みがあり、2025年10月の取材時点で全国約1,200台になった。[5]
導入を進めた担当部署は導入するかどうかを支店ごとの判断に任せた。現場の映り方のデモや先行支店の使い方を説明し、申し込んだ支店にはアカウント作成、閲覧権限、操作説明を支援した。セーフィーの協力を得て、社内事情に合わせたマニュアルも用意している。台数を増やす前後に、使い始めて定着するための仕事があるのだ。[5]

千葉支店では60台を導入し、現場監督8人が担当する現場に設置した。担当者は特に業務負荷の大きかった月と比べて、現場監督1人あたりの総労働時間を月平均20時間減らしたと説明している。ただし、他の要因も絡んだ結果だと述べており、比較した月や測定期間の詳細は掲載されていない。カメラだけの効果として一般化できる数字ではない。[5]
この事例で読み取れるのは、映像があればすべての訪問が不要になるということではない。行く前に状況を見て、急いで向かうべきか、次の訪問で何を確かめるかを判断しやすくなる。複数拠点の確認に時間がかかる企業ほど、同じサービスを別の現場にも広げる理由が生まれると考えられる。
出荷台数ではなく、稼働して課金される台数が増える
セーフィーの成長を見る際には、売れた機器の台数と、今も課金が続くカメラ台数を分けたい。会社が公表する「課金カメラ台数」は、四半期末に稼働・課金しているカメラの数で、その四半期に販売した数ではない。2026年6月末には38.5万台となった。[2]
| 指標 | 公表実績 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 課金カメラ台数 | 2026年6月末38.5万台、20.7%増 | 2025年6月末 |
| ARR | 2026年6月末157.91億円、22.8%増 | 2025年6月末 |
| 連結売上高 | 2026年1〜6月104.18億円、19.6%増 | 2025年1〜6月87.13億円 |
| 連結営業利益 | 2026年1〜6月1.04億円 | 2025年1〜6月は0.71億円の赤字 |
売上・利益は決算短信の百万円表示を億円へ換算した。ARRは継続課金契約に基づく月額料金の合計を12倍した指標で、1年間に実際に計上した売上ではない。台数も顧客企業数とは違う。同じ企業が100台使えば、企業は1社でもカメラは100台になる。[2]
これらは会社全体の連結業績やKPIで、国内限定の成長率ではない。セーフィーはタイなどでも事業を展開している。国内で利用が広がる様子は、積水ハウスの追加導入からも読み取れる。[6]
また、課金台数の増加は継続率そのものを示さない。新規導入や追加設置が増えれば、解約があっても総台数は増える。顧客を獲得する費用や、個別契約の採算も、この表だけではわからない。
直販と販売パートナーで、設置する現場へ届く
セーフィーはカメラを直接販売するほか、OEMや販売パートナーを通じても提供する。OEMでは、パートナーが自社のブランドで再販する場合もある。顧客はセーフィーだけでなく、機器や工事を相談してきた取引先を通じてサービスを導入できる。[7]
提供側には複数の事業者をつなぐ役割がある。会社の説明資料では、カメラは自社ブランド品も含めてメーカーから調達し、クラウド環境には大手ベンダーのサービスを利用するとしている。機器、通信、サーバー、工事という異なる費用を組み合わせ、顧客が使える状態にするビジネスだ。[7]
2026年1〜6月の売上には、機器販売や設置作業などの一時的な収入が28.63億円、クラウド録画、一部機器のレンタル、通信、画像解析などの継続課金による収入が75.55億円含まれる。月額収入が中心でも、導入時の機器や現場作業がなくなるわけではない。[2]
積水ハウスが選定理由に挙げたのは、映像検索や保存・共有に加え、本人確認、閲覧権限、ログ記録などだった。他社との比較実験ではないが、大企業に導入する際、画質や価格だけでなく、社内で安全に運用できる機能と支援も購入判断に関わることがわかる。映像の保存先だけを用意すれば同じ事業が再現できるわけではない。[5]
月額収入の先に、保存費用と運用の負担が続く
セーフィーは増収と営業黒字を実現したが、2026年1〜6月の営業利益は売上高の約1%にあたる。継続的な収入が増えることと、厚い利益が残ることは同じではない。決算説明資料も、為替変動や機能拡張に伴う原価増がクラウドの粗利益率へ影響したと説明する。映像を保存し、通信し、サービスを改善する費用は利用が続く間も発生する。[2][7]
顧客側もカメラを付ければ管理が終わるわけではない。撮影範囲、誰に閲覧を認めるか、映像を何日残すか、異常が見えた際に誰が対応するかを決める必要がある。Safieは映像の暗号化や多要素認証などを備えるが、使う側の権限設定や運用まで自動で決まるものではない。映像で判別できない部分や、現地でしか確かめられない安全上の確認も残る。[8]
新規事業へ応用するなら、カメラやAIを先にそろえるより、「何を確かめるために人が移動しているか」から考えるとよい。たとえば、設備の状態を確かめる業務で、画像を共有すれば訪問の準備や優先順位が変わるかを試す。これは編集部の検証案で、成功が確認された事業ではない。
小さく試す段階では、次の3点を確かめたい。
- 画像を見て判断できることと、現地で確かめることを分けられるか。
- 保存・通信・設置・問い合わせ対応の費用を引いても、継続料金から利益が残るか。
- 利用者が変わっても使い続けられ、別の拠点にも料金を払って広げたいと思うか。
売る機器より、その後に繰り返される確認の仕事を見る。セーフィーの事業は、現場の一つひとつの確認を、継続して提供できるサービスへ組み直す発想を示している。
まとめ
- Safieは、カメラの販売と月額の保存・閲覧を組み合わせる。顧客は機器に加え、離れた場所の様子を必要なときに確かめる状態へ支払う。
- 課金カメラ台数は2026年6月末に38.5万台へ増えた。出荷台数、企業数、ARR、実際の売上を分けると、成長の中身を読みやすい。
- 国内の導入拡大には、操作説明や権限設定などの運用づくりも伴う。応用するなら、確認作業の削減と継続需要、提供費用を小さく検証したい。
出典・参考
- セーフィー「Safieのクラウド録画サービスとは」(2026年10月28日確認)公式ページ
- セーフィー「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年8月7日)、業績・KPIと定義。原典PDF
- セーフィー「料金プラン」(2026年10月28日確認、税込)公式ページ
- セーフィー「導入するまでの流れ」(2026年10月28日確認)公式ページ
- セーフィー「約1200台のSafie GOを導入し、全国で活用中」(2026年1月22日公開、2025年10月取材)積水ハウスの事例
- セーフィー「タイ王国に現地法人を設立」(2026年1月6日)公式発表
- セーフィー「2026年12月期 第2四半期決算説明資料」(2026年8月7日)、7・47ページほか。原典PDF
- セーフィー「Safieのセキュリティ」(2026年10月28日確認)公式ページ
カバーは監視カメラのイメージで、Safieの製品や導入先ではない。写真:Giant Asparagus/Pexels(Pexels License)。








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