2026年6月、欧州の超過死亡が1万人を超えた。フランスで5,764人、ドイツで4,543人、スペインで3,163人。
数字だけを見ると遠い国の災害の話に見える。けれど同じ夏、データセンターの冷却負荷が上がって電力の卸価格が跳ね、AIサービスの原価計算が狂った企業がある。
気候の話が気候の話のまま終わることは、もうほとんどない。
3つの入口から追う
起きている変化そのもの。熱波、山火事、洪水、氷河の後退。ここは観測データと死者数という、解釈の余地が小さい事実の領域だ。南極ヘクトリア氷河が15カ月で24km後退した事例のように、予測モデルのほうが書き換えられることもある。
値段への波及。エルニーニョは穀物と肥料の相場を動かし、熱波は電力の卸価格を動かす。EUの炭素国境調整措置(CBAM)のように、規制が直接コストになる経路もある。日本の鉄鋼・化学がここに乗っている。
技術の側の応答。ペロブスカイト太陽電池が変換効率34%に到達した。発祥国である日本が量産競争でどこに立っているのかは、産業政策としても読む価値がある。
楽観にも悲観にも寄せない
脱炭素の記事は、投資を煽るものか、間に合わないと嘆くもののどちらかに寄りがちだ。
どちらの書き方でも、読んだあとに判断が変わらない。この特集では、試算には試算だと書き、幅がある数字は幅のまま置く。そのうえで、自分の事業や生活のどこに接続しているのかを考える材料にしてもらえればと思っている。