給与と労働時間を分けて読む
まず見るのは、休みを増やしたあとに「週の所定労働時間」と「給与」がどう変わるかだ。所定労働時間とは、勤務先との取り決めで働くことになっている時間を指す。
厚生労働省の紹介ページ[1]をもとに整理すると、主な違いは次のようになる。
| 方式 | 週の労働時間 | 給与 | 求人で確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| 時間・給与を維持 | 維持 | 維持 | 一日の勤務が何時間になるか |
| 時間・給与を削減 | 減る | 減る | 基本給や賞与がどう計算されるか |
| 時間を削減し給与を維持 | 減る | 維持 | 対象者と、仕事量・評価の扱い |
たとえば、週5日・一日8時間から週4日・一日10時間へ変えると、計算上はどちらも週40時間になる。一方、週4日・一日8時間なら週32時間だ。この例は制度の違いを示す単純計算で、特定企業の募集条件ではない。
前者は通勤する日を減らせても、勤務日の夕方に使える時間は短くなる可能性がある。後者は働く総時間が減るが、給与が据え置かれるかどうかは別に確認する必要がある。「休日が一日増える」という同じ説明から、異なる生活が生まれる。
なお、一日10時間の勤務を、週の合計が40時間だからという理由だけで通常の所定労働時間にできるわけではない。厚労省は、労働時間と給与を維持する方式について、変形労働時間制やコアタイムのないフレックスタイム制などの導入が必要になると説明している。採用担当には、適用する制度と時間の集計方法も尋ねたい。
「選べる」「毎週」「全社員」は別の条件
選択的週休3日制は、本人が希望に応じて週休3日の働き方を選ぶ制度だ。ただし「選択的」という言葉だけで、新入社員もすべての職種も利用できるとはわからない。
求人を読むときは、対象となる雇用形態、職種、勤続期間、利用理由、申請・承認の手順を確認する。会社全体の制度紹介と、応募する求人の条件を並べ、食い違う部分は質問として残しておく。
もう一つ区別したいのが頻度だ。毎週の週休3日と、隔週や月に一度だけ休みが増える制度は、年間の働き方が違う。土日以外の一日が固定されるのか、交替で休むのかによっても、通院や学習の予定の立て方は変わる。
年次有給休暇との違いにも注意したい。厚労省の労働時間・休日の説明[2]では、年次有給休暇と休日はそれぞれ別の制度として整理されている。企業カレンダー上の休日なのか、有給休暇の取得を組み合わせた運用なのかを確認すると、自分が自由に使える休暇を見積もりやすい。
アジャイルウェアの「隔週」という実例
プロジェクト管理ツールなどを提供するアジャイルウェアは、2022年7月の発表で、同年8月から第2・第4水曜日を休日とし、給与を変更しない制度を始めると説明した。毎週ではなく隔週で休みを増やす取り組みだ。当時の公式発表[3]では、社員の議論を経て、半日休む案から一日休む案へ変更した経緯も紹介している。
2026年10月31日に確認した同社の採用向け制度ページ[4]にも、隔週の週休3日と年間休日153日の記載がある。2022年の発表では年間休日150日としていたため、古い発表の数字をそのまま現在の求人条件として使わないことが大切だ。
また、厚労省が2026年5月に公開した同社の事例[5]には、試行を経て正式導入したことが掲載されている。導入を発表した時点と、運用を継続している時点の資料を見比べることで、制度名だけでは見えない経過を確認できる。
給与維持型の制度を探すなら、制度紹介ページから募集職種へ進み、自分の雇用条件への適用を確かめたい。別の業界では、建新が月2回の給与維持型週休3日制で受賞した事例もある。
月給だけでなく年収の内訳を確認する
以下は、求人を比較するときの編集部からの確認提案だ。「給与維持」「給与を調整」とだけ書かれていると、何が同じで何が変わるのかが曖昧になる。基本給、固定残業代、手当、賞与の扱いを分けて聞くと、比較しやすい。
たとえば、月給30万円を勤務時間に合わせて単純に80%へ変更する仮定なら、月給は24万円になる。ただし、これは計算例であり、週休3日制に共通する減額率ではない。手当や賞与も一律80%になると決めつけず、それぞれの条件を確認したい。
給与を維持するという回答があっても、比較する求人同士で含まれる手当や賞与の前提が違えば、年収は同じにならない。現在の給与明細と求人条件を並べ、「確定している金額」「条件付きの金額」「未確認の金額」を分けると、期待だけを足し込むのを防げる。
評価の扱いも質問に含めたい。勤務日数が変わったとき、担当件数や目標は調整されるのか。昇給・昇格の判断はどうなるのか。答えを推測するより、応募先が説明できる具体例を求める方が、自分に合うか考えやすい。
自分の一週間に当てはめる
条件が揃ったら、一週間の予定表に当てはめてみる。勤務時間だけでなく、休憩、通勤、家事、送迎などを入れると、休日数だけでは気づかなかった制約が見える。
確認の出発点は、増えた休日で何をしたいかだ。平日の通院なら休む曜日の固定性、学び直しなら授業の時間、休養なら休日に連絡対応が必要かが判断材料になる。毎週の予定なのか、月に数回でよいのかも分けておきたい。
副業を考えている場合も、休日が増えることと、副業が認められることは別の確認事項だ。厚労省の選択的週休3日制の案内[6]は、兼業・副業を行うと労働時間の通算管理が必要になる場合があると説明している。勤務先の届出ルールと、副業先の契約形態を確かめてから計画したい。
面談では「週休3日は使えますか?」に続けて、「この職種で利用する場合の一週間の例を教えてください」と聞くと、具体的な条件に話を進めやすい。試行制度なら終了時期、継続判断の方法、元の勤務に戻す条件も確認しておく。
職種を変えることも検討しているなら、休日条件に加え、入社後に担う仕事や必要な経験を整理しよう。Web制作の進行管理に関心がある人には、Webディレクターになるには?で、仕事内容と未経験者の入口を紹介している。
まとめ
- 週休3日制の給与は一律ではない。働く総時間と給与の変化を分けると、求人同士の条件を比較できる。
- 毎週か隔週か、誰が利用できるかで生活への影響は変わる。企業の制度紹介と応募する職種の条件を照合することが重要だ。
- 休みを増やして実現したいことを先に決めると、給与の内訳、勤務日の長さ、休日の連絡対応など、面談で聞くべき内容が具体的になる。
出典・参考
- 厚生労働省「選択的週休3日制の紹介」:制度の定義、労働時間と給与の組み合わせ。
- 厚生労働省「労働時間・休日」:労働時間制度、休日と年次有給休暇の説明。
- アジャイルウェアの2022年7月28日発表:隔週での制度導入と当初の条件。
- アジャイルウェア「環境・制度」:採用向けの制度案内。
- 厚生労働省「株式会社アジャイルウェア」取組事例:2026年5月29日公開の導入経過。
- 厚生労働省「選択的週休3日制」:兼業・副業を行う場合の留意点。







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