「かんたんに対処できる」
8月17日夜(米東部時間)、トランプはFoxニュースに出演した。
進行役が「オマーンへの忍耐はどのくらいか」と聞くと、トランプは返した。「我々ならかんたんに対処できる」。
さらに踏み込んで、「ホルムズの交渉に介入するなら、爆破してやる」とも語った。
標的はイランではなかった。アメリカとイランの橋渡しを担ってきた調停国オマーンへの発言だ。マスカットは両国間の唯一の正式な仲介チャンネルとして6月以来機能してきた。そのオマーンを、トランプはこの夜に脅した。
後にトランプは「ホルムズを支配しているのはわれわれだ。封鎖でコントロールしている」とも語った。オマーンを同盟国の文脈から外して、交渉の邪魔をするなら排除すると言っているに等しい。外交の言葉ではない。
60日間で何も動かなかった
6月18日、ヴェルサイユで署名された米・イランの「了解覚書」は、60日以内に核協議と制裁解除の枠組みを決めると約束した。
実際に決まったものはない。
イラン外務省は「アメリカが署名直後から約束を破った」と主張した。クシュナー大統領顧問はFoxニュースで「イランは道理の通ることをしようとしない」と語った。核協議は、8月17日時点でまだ「いつ開始するか」すら決まっていない。
交渉の担い手であるイラン外務大臣アラグチは、ホルムズの再開条件として制裁解除と戦争賠償の支払いを要求した。アメリカ側はこれを拒否している。
| 指標 | 現状 |
|---|---|
| ホルムズ直近週の通過船舶数 | 95隻(前年同期比27%減) |
| 2月開戦前の1日平均 | 130隻 |
| ブレント原油(8月17日) | 90.87ドル(+2.7%) |
| 米軍が誘導した民間タンカー | 64隻 |
| イランが提示した米兵賞金 | 3万ドル/人 |
| USSエイブラハム・リンカーン派遣期間 | 9か月超(通常6か月) |
イランが出した3万ドル
交渉が止まるなかで、イランは別のカードを切った。
17日、イラン陸軍参謀長が発表した。「米軍兵士1人の死亡または拘束に対して、3万ドルの報奨金を支払う」。
この発言は外交の語彙ではない。軍事的な直接戦闘は大幅に減っている。しかし、経済封鎖と代理勢力による攻撃は続いている。フーシ派はサウジとイエメン政府軍への攻撃を重ね、イラク政府は親イラン民兵に対する解散の最後通牒を出した。
複数の戦線が動いている。しかし誰も「終わらせる」交渉を始めていない。
Raytheonはペンタゴンからトマホークミサイルの229億ドル規模の追加契約を受けた。軍拡は続いている。外交が空白の間、軍需は加速する。
「白旗を上げろ」という言葉の重さ
トランプは17日に繰り返した。「イランは白旗を上げるべきだ」。
外交の言葉ではない。降伏の要求だ。
イラン側は当然、受け入れない。IRGC(革命防衛隊)は「裏チャンネルの話は妄想にすぎない」と切り捨てた。複数の外交アナリストは「両者の距離は60日前より大きくなっている」と見ている。
期限が切れた後、トランプは「タイムラインはない」と言った。
水道は静かなままだ。船が来るまで、あるいは何かが起きるまで。
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