バギオ市の「消えた民家」
バギオ市はフィリピンの政府機関や大学が集まる高原都市で、標高1,400メートルにある。夏の避暑地でもある。しかしその山の地形が、大雨のときに集中した流水と土砂崩れを呼び込む。
グイサド・スロン地区で崩れた3棟には、複数の家族が住んでいた。子供と高齢者も含まれている。土砂の量が多く、生存者がいたとしても時間との競争になると救助隊員は話した。
重機が入れる道幅がなく、手掘りで進む場面もあった。
「9日間の雨」が1カ月分になるとき
今回の豪雨を引き起こしたのは、南西モンスーン(ハバガット)に熱帯低気圧「クジラ」と「ルイス」の2つが重なったことだ。3つが同時にそろう週は珍しい。
気象当局によると、一部の地域では9日間で通常の1カ月分を超える雨が降った。それでも個々の日の降雨量は「記録的」という水準ではない。問題は、土が乾く暇を与えないまま雨が続いたことだった。飽和した地盤は、少しの雨でも滑り出す。
被害は9つの地域、33の県に広がった。死者は少なくとも12人、行方不明は8人、11人が負傷した。58万6,000人以上が被災している。
マルコスが「在宅」を命じた首都
首都マニラでは8月9日から10日にかけて道路が冠水し、通勤が止まった。マルコス大統領は政府職員に在宅勤務を命じ、全国の政府機関に「援助を被災地に届けるよう」指示した。
学校は閉鎖され、橋の一部が通行止めになった。複数の路線でバスが運休し、都市間の物資輸送にも遅れが出た。
マニラ周辺では毎年この季節に同程度の被害が発生する。問題は、洪水対策インフラの整備がフィリピンの財政規模に比べて長年後回しにされてきたことだ。マルコス大統領は2026年の一般教書演説で「5年以内に治水インフラを抜本的に整備する」と宣言したが、今回の洪水は演説の約4週間後に起きた。
台風シーズン本番の前に
フィリピンは年間20〜30個の台風が接近・上陸する国で、世界で最も気候変動に脆弱な国の一つとされている。
ハバガット(南西モンスーン)は毎年6月から9月に吹き、今年は熱帯低気圧の活動も活発だ。今後の台風シーズン本番は9月以降で、気象庁は7月末に「今年の台風は平年より多い」という予測を出していた。
今回の死者12人のうち、少なくとも半数はバギオ市の土砂崩れに集中している。ここが崩れたことは、山の地盤の限界がすでに来ていることを意味する。
次の大雨が来る前に、土が乾く時間があるかどうか。
ソース:
- 12 killed, 8 missing in Philippines after floods, landslides — ANEWS(2026年8月10日)
- Marcos orders agencies to remain on heightened alert over habagat — Manila Bulletin(2026年8月9日)
- Days of heavy rain leave at least 13 dead in Philippines — Euronews(2026年8月10日)
- Philippines floods and landslides leave at least 12 dead — The National(2026年8月10日)




