「保管手順に重大な違反があった」
翌30日の朝、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が声明を出した。
「今夜起きたことは受け入れられない。保管手順に重大な違反があった。責任者を特定し、相応の処分を行う」
自国軍の過失を大統領自身が公の場で認めるのは異例だ。 ロシアの攻撃が続く戦時下で、弾薬の在庫と保管管理の体制が正面から問われる事案になった。
「外からの砲撃ではない、内側から燃えた」
ウクライナ当局の発表によれば、施設の内側で発火が起き、順次誘爆が連鎖した。 外部からのミサイルや砲撃は確認されていないという。
弾薬庫のある地区は8月29日に気温が38度に達しており、高温下での保管条件が事故の一因だったとウクライナメディアが指摘している。 ロシア国防省はSNSで「精密攻撃が命中した」と主張したが、ウクライナ空軍はこれを否定した。
死亡した37人のうち、施設を警備していた兵士は8人だった。 残り29人は近隣住宅地の民間人で、子どもが4人含まれている。
| 区分 | 人数 |
|---|---|
| 軍関係者 | 8人 |
| 民間人(成人) | 25人 |
| 民間人(子ども) | 4人 |
| 合計 | 37人 |
負傷者は68人にのぼり、キーウ市内の複数の病院に分散搬送された。
前線への補給と後方管理のトレードオフ
戦況が続く中、弾薬の輸送と後方での安全管理は常に綱引きの状態にある。 分散保管は安全上の優先事項だが、迅速な前線補給との間には矛盾がある。
2022年の全面侵攻開始後、ウクライナ軍の弾薬在庫量は急増した。 その管理体制が需要の増大に追いついているかどうかは、以前から現地専門家の間で議論されてきた論点だった。
ゼレンスキーは特別調査委員会の設置を発表した。 結果の公開には数週間かかる見通しで、その間も前線での弾薬消費は続く。



