「二十四時間で千四百人」
ジブチの経済財務相イリヤス・ムーサ・ダワレ氏が、土曜日にXへ投稿した。
「わずか二十四時間で、イエメンから千四百人の難民がジブチに到着した」
短い一文である。行政の通知というより、現場の速度をそのまま書き写したような文面だ。
このうち五百人は、沿岸の町オボックに入った。女性と子どもを含み、バブエルマンデブ海峡を渡る途中でボートの燃料が尽き、海上で救助された人たちである。
オボックはイエメン沿岸から水路で二十キロほどの位置にある。ここ数年、イエメンを逃れる人の主要な到着地になってきた。
燃料が尽きるという渡り方
二十キロという距離は、装備の整った船なら一時間もかからない。
尽きるのは、船が小さく、人を詰め込みすぎ、燃料を十分に積めていないからだ。潮と風に流されれば、直線二十キロは実際の航跡では何倍にもなる。
渡る側に船を選ぶ余地は少ない。出せる船に乗るか、残るかという選択になりやすい。
救助されて上陸できた五百人の背後に、救助されなかった航海がどれだけあるのかは、数字として出てこない。
海峡を誰が押さえているか
人が動き出した直接の引き金は、バブエルマンデブ海峡をめぐる戦闘の激化である。
フーシ派は木曜にイエメン西岸の港湾都市モカを制圧し、金曜には海峡一帯への支配を強めたと伝えられている。バブエルマンデブは紅海とアデン湾をつなぐ細い出口で、スエズ航路の南側の関門にあたる。
イエメン政府側とサウジアラビアは反攻に動き、タイズ、バイダ、ジャウフの各地で戦闘が続いている。フーシ派報道官のヤヒヤ・サリア氏は、ジャウフ上空でCH4を含むサウジの無人機三機を撃墜したと主張した。主張の裏取りは取れていない。
国際移住機関は金曜、先週の戦闘激化以降にイエメン国内で少なくとも四万六千人が避難したと警告している。
受け入れる側の容量
ジブチは人口百万人規模の小国である。
国連難民高等弁務官事務所の二〇二六年三月時点の集計では、ジブチに登録された難民は三万六千人余り。出身はソマリア、エチオピア、イエメンが多い。
そこへ、一日単位で千人規模が加わる展開になっている。オボックのような小さな町に集中すれば、水、食料、医療の負荷は短期間で上がる。
一方で、ジブチは紅海航路の要衝として複数国の軍が駐留し、物流の拠点でもある。受け入れの体制を組みやすい面もある。ただ、それは支援の資金が続く前提の話だ。
日本から見れば、バブエルマンデブは主に「船の通り道」として語られてきた。同じ海峡が、いま人の逃げ道になっている。
まとめ
- ジブチのイリヤス・ムーサ・ダワレ経済財務相が、二十四時間で千四百人のイエメン難民が到着したと投稿した。うち五百人は海上で燃料切れになり救助されてオボックに上陸した
- 引き金はバブエルマンデブ海峡をめぐる戦闘の激化である。フーシ派が木曜にモカを制圧し、金曜に海峡一帯の支配を強めたと伝えられている
- 国際移住機関はイエメン国内で少なくとも四万六千人が避難したとしている。ジブチの登録難民は三月時点で三万六千人余りで、受け入れ負荷は短期間で上がりやすい



