出社日を選べることにも価値がある
株式会社LASSICが運営するテレリモ総研の「下期の目標と働き方の優先条件に関する調査」は、全国の20〜65歳で、テレワークまたはリモートワークを経験したことがある就労者を対象に実施した。調査期間は2026年9月2〜3日、方法はインターネット調査で、有効回答数は1,007人だ。
現在の働き方は、フルリモート勤務169人、ハイブリッド勤務454人、フル出社384人に分かれる。過去に経験があれば、現在は出社だけで働く人も含まれる。したがって「テレワーク中の人だけの意見」と読むのも、「すべての就労者の意見」と広げるのも正確ではない。
ほかに多少の不満があってもよいと思える条件を複数回答で尋ねると、上位は「給与が相場より高い」37.4%、「人間関係のストレスがない」32.1%だった。その次に「出社頻度を自分で決められる」25.0%が続いた。「通勤がない、または短い」は24.9%、「フルリモートで働ける」は22.8%となっている。
この設問は、一番大切な条件を一つ選ばせたものではない。給与と出社頻度の両方を選ぶこともできるため、「給与よりも働く場所を優先した人が4人に1人」とは言えない。読み取れるのは、給与や人間関係に加え、働く場所を調整できることにも価値を感じる回答者がいるという点だ。

テレワーク経験者1,007人の複数回答。出典:テレリモ総研「下期の目標と働き方の優先条件に関する調査」図表9掲載ページ/株式会社LASSIC。公式図表を画像として掲載。データ・項目は変更していない。図表を拡大する。
転職先の比較では、制度の有無だけでは足りない
同じ調査では、転職や求人を検討するときのテレワーク条件も複数回答で尋ねている。「複数社で迷ったらテレワークの自由度で決める」は24.2%、「テレワーク制度がない会社は応募候補から外す」は21.3%だった。一方で、「今は転職を考えていない」も26.9%ある。
ここでも、回答者全員が転職活動中というわけではない。条件への意識を尋ねた結果であり、制度を変えた会社の応募者が何人増えたか、社員が何人辞めたかを測った調査ではない。採用や離職への効果を、この割合だけから断定することはできない。
そのうえで、求人を読む側には具体的な使い道がある。「リモート可」と記載されていても、週に何日使えるか、部署が曜日を指定するか、本人が必要に応じて選べるかによって、生活との合わせやすさは異なるからだ。
たとえば、どちらも週2日の在宅勤務が可能な求人でも、曜日が固定される場合と、その週の業務や予定に合わせて選べる場合は同じ条件ではない。これは調査で比較した企業の事例ではなく、制度の説明を読む際の例である。自分に必要なのが在宅日数なのか、曜日の調整なのか、通勤負担の軽減なのかを分けると、面接で聞くべきことが見えてくる。
フル出社の人にも希望はあるが、利用実績とは違う
現在フル出社と回答した384人に限ると、週1日以上のテレワークを希望する人は62.5%だった。同じ層で、勤務先が週1日以上のテレワークを認めていると答えた人は37.5%だった。
希望と会社の許容条件には差がある。ただし、調査元は、希望日数と認められている日数の構成比を個人単位で突き合わせていないと明記している。二つの割合の差を、そのまま「希望をかなえられていない人の割合」とすることはできない。
また、会社が利用を認めていることと、本人が実際に利用していることも別だ。今回のフル出社という区分は現在の出社形態への回答に基づく。制度があっても利用していない人が含まれうるため、「出社しているなら制度がない」とは判断できない。
希望日数と会社が認める日数を尋ねる設問は、9月調査で文言の一部が変更されている。本記事では前月からの増減を中心にせず、9月時点の回答として扱う。希望がどれほど強いか、なぜ使っていないかを詳しく知るには、別の質問や職場ごとの確認が必要になる。
別の調査の実施率と、数字を混ぜない
テレワークをめぐっては、パーソル総合研究所の2026年調査もある。7月時点の正社員の実施率は21.4%で、前年同期から1.1ポイント低下したと報告している。企業方針については、従業員の回答で「原則出社の指示」がここ2年間増加傾向にある。
こちらの実態調査は、従業員10人以上の勤務先で働く全国の20〜59歳を対象とし、正規雇用26,014人など計30,614人が回答した。主に正社員の数値で分析し、構成比に合わせた補正も行っている。
テレリモ総研の今回の調査とは、年齢、勤務先の条件、テレワーク経験の有無、調査時期が違う。さらに「実施しているか」と「希望するか」では質問そのものが違う。21.4%と62.5%を並べて、全国の希望と実施の差を計算することはできない。
企業方針の動きと、経験者が仕事選びで求める条件は、それぞれ別の材料として読む必要がある。調査の数字は、自分の希望が多数派かどうかを決めるためだけに使うものではない。応募先にどの制度や運用を確認するか、その問いを具体化する手掛かりにもなる。
求人票の次に確かめたい条件
実際の企業の説明にも、出社とリモートを組み合わせる際の条件がある。LINEヤフーの採用FAQでは、配属先によってルールは異なるものの、週3日以上の出社が基本で、指定勤務地へ無理なく通勤できることを前提としている。全国のオフィスを自由に選べるわけでもない。これは9月25日時点で確認した同社の条件であり、9月に新しく導入された制度という意味ではない。
求人を比較するときは、次のように日数と決定権、例外を分けると整理しやすい。
| 確認する項目 | 採用担当や配属先へ聞きたいこと |
|---|---|
| 対象者 | 応募する職種・部署で利用できるか。入社直後も同じか |
| 頻度と曜日 | 週や月の上限・下限はあるか。曜日は固定か、本人が選べるか |
| 例外の出社 | 研修、会議、顧客対応などで追加出社が必要になるか |
| 場所 | 出社先はどこか。在宅以外に利用できる場所はあるか |
| 運用 | 申請や承認は必要か。制度変更の際はどう知らされるか |
企業全体の制度紹介と、応募する職種での運用を照らし合わせたい。社員インタビューは働き方を知る材料になるが、一人の利用例が自分の配属先にも適用されるとは限らない。企業別の見方は、サイボウズの給与・採用・働き方を整理した記事でも紹介している。
出社頻度を選びたい理由を、通勤時間、家庭の予定、集中する作業などに分けておけば、譲れない条件と調整できる条件も整理できる。制度の名称だけで決めず、仕事内容や給与と同じように、実際に使える条件を確認することが大切だ。
まとめ
- テレリモ総研の9月調査では、出社頻度を自分で決められることも、ほかの不満を許容しうる条件に挙がった。対象はテレワーク経験者で、全就労者の割合ではない。
- 希望、勤務先の許可、実際の利用は別の情報。異なる調査の数字や、集団ごとの割合を混ぜると、制度の不足を誤って捉えてしまう。
- 求人ではリモート勤務の可否に加え、誰が頻度を決めるか、配属先や研修時の例外まで確認すると、自分の生活と仕事を具体的に比較できる。
出典・参考
- テレリモ総研:下期の目標と働き方の優先条件に関する調査(2026年9月18日)
- 株式会社LASSIC
- テレリモ総研:記事・データの引用・転載について
- パーソル総合研究所:テレワークに関する調査(2026年)
- LINEヤフー:採用に関するよくある質問
制度・採用情報は2026年9月25日確認。応募時は各社の最新情報を確認してください。






