入社時の区分から、毎年の意向申告へ
損保ジャパンの9月24日付発表は、入社時に選んだ勤務地の範囲に基づく従来の異動運用を廃止し、毎年の意向申告へ転換するとしている。10月5日にはSOMPOホールディングス名義で同じ改定がPR TIMESにも掲載された。改定対象の会社は損害保険ジャパンであり、SOMPOグループ全社で同じ制度が始まったという発表ではない。[1][2]
発表では、転勤への同意を全国、ブロック、同意しない、という選択肢で毎年1回申告する。併せて、生活の拠点として転居せずに働ける場所を「住居本拠地」として1か所登録する仕組みを示した。会社は申告内容に基づき、翌年度の異動運用を検討する。[1]
読む際に大切なのは、「毎年選ぶ」の対象だ。社員が選ぶのは転居転勤への意向であり、その年に就きたい部署や具体的な配属先を自由に決めると説明したものではない。勤務地の範囲を考え直せることと、希望する仕事に必ず移れることは分けたい。
入社時に考えていた働き方が、その後も同じとは限らない。生活拠点を保ちたい時期も、別の地域で経験を積みたい時期もあり得る。今回の変更は、そうした意向を申告する機会を毎年設ける点にある。ただし、制度を利用した人数や、本人の希望に合った異動がどの程度実現したかは、今回の発表からはわからない。
手当は、同意と実際の転居を分けて確認する
同社は転居転勤を、人材育成や組織活性化の面で引き続き重要な仕組みと位置づけている。転勤に同意する社員や、実際に転居した社員に向けて、手当・一時金を新設する。地域による処遇差を解消し、役割と貢献度に応じた処遇体系へ移す方針と、転勤に伴う支援は別の項目として読む必要がある。[1]
| 発表にある主な項目 | 公表額・内容 |
|---|---|
| 転勤手当 | 月額5万〜10万円 |
| 転勤一時金 | 20万円 |
| 転勤同意手当 | 月額2.5万〜4.5万円 |
| 単身赴任手当 | 月額3万円 |
表は発表の一部を編集部が整理したものだ。各項目を全社員が受け取れるわけではなく、金額を単純に合算して応募時の月給や年収を見積もることはできない。支給対象、期間、併給の可否など、自分に適用される条件を確認する必要がある。発表にはほかにも帰省の支援や社宅などが示されているが、本記事では個人別の受給額を計算していない。[1]
転勤同意手当と転勤手当は名前が似ているが、確認する事実は異なる。同意の申告をした段階なのか、実際に転居を伴う異動をしたのかを区別する。求人の給与説明に手当込みの金額があれば、基本給と手当の内訳、配属後に条件が変わる場合の取り扱いを聞くとよい。
手当は移動に伴う負担を考える材料になる一方、生活の都合を金額だけで比べられるわけではない。家族の仕事、住まい、通勤など、自分が確認したい条件を書き出したうえで、会社の支援が何に対応するかを照合したい。これは編集部の確認方法の提案であり、同社の手当で個々の負担がすべて解消されるという評価ではない。
採用サイトには改定前の制度説明も残る
応募を検討する人は、公式サイトであっても説明の時点を確かめたい。損保ジャパンの「キャリア支援」ページには、旧来のフィールド区分変更やキャリア・トランスファー制度の説明があり、それぞれに10月の改定前の制度であるという注記が付いている。古い制度の本文だけを切り出して、現在の選択条件だと判断しないことが必要だ。[3]
また、新卒採用向けの人事制度ページには、入社時のコースと初期配属に関する留保がある。同ページには労働組合との協議で内容が変わる可能性の注記に加え、画像と本文で改定時期の表記が一致しない箇所もある。本記事では、10月1日付の改定は9月24日付の正式発表を基準にし、採用サイトの記載だけから応募者全員の確定条件を補っていない。[4]
転職者と新卒入社者で確認する募集要項は異なる。社員向け制度の発表があるからといって、自分が応募する職種や雇用区分にすべて同じ条件が適用されるとは限らない。記事を読んで関心を持ったら、個別の求人と最新の採用案内へ戻るところまでを一組にしたい。
応募前には、意向を変える時期と対象を聞く
今回の発表を仕事選びに使うなら、「転勤なしで働けますか」という一つの質問を、次のように分けると具体化できる。以下は編集部が提案する質問であり、同社が回答を公表したFAQではない。
- 対象:応募する職種・雇用区分は、毎年の転居転勤意向申告の対象か。
- 初期配属:入社時の勤務地と、入社後に意向を見直せる時期・条件は何か。
- 範囲:「ブロック」が指す地域や、住居本拠地からの通勤範囲をどう確認するか。
- 変更:申告後に生活事情が変わった場合、いつ誰へ相談するか。
- 処遇:同意する場合と実際に転居する場合で、どの手当がどう変わるか。
転居転勤への同意と、リモート勤務の可否も別の条件だ。生活の拠点を保てるとしても、在宅勤務の頻度や、出社が必要な業務まで自動的に決まるわけではない。勤務地、通勤、働く時間、担当業務をそれぞれの募集条件で確認したい。
仕事内容の確かめ方は、カスタマーサクセスの求人で担当範囲を確認する方法でも扱っている。別の職種の解説だが、制度名や職種名から推測せず、具体的に何を担当するかへ戻るという読み方は共通する。
制度変更の成果はこれからの確認事項でもある。社員の選択肢が増えるという狙いと、実際の異動・定着・採用への影響を区別し、利用実績が公表された段階で見直す必要がある。今回の発表だけで、採用競争力が高まった、離職が減ったと結論づけることはできない。
まとめ
- 損保ジャパンは10月1日付で、転居転勤への意向を毎年申告する運用への改定を発表した。転勤を廃止したり、希望勤務地を保証したりする説明ではない。
- 転勤への同意と実際の転居は、処遇を確認するうえで分ける。公表された手当の合算を、そのまま自分の給与見込みにしない。
- 採用サイトには改定前の説明や留保もある。応募する職種・雇用区分、初期配属、意向変更の時期を最新の募集条件で確認する。
出典・参考
- 損害保険ジャパン株式会社「人事制度改定の実施」、2026年9月24日。
- SOMPOホールディングス株式会社「人事制度改定の実施」、PR TIMES、2026年10月5日。
- 損保ジャパン新卒採用サイト「キャリア支援」。
- 損保ジャパン新卒採用サイト「もっと“働きがいを感じる会社”へ」。
広告・編集注記:この記事にアフィリエイト広告は含まれません。公式資料は2026年10月16日に確認しました。編集部は同社に取材しておらず、社内規程や個人別の手当支給条件、制度の利用実績は確認していません。応募前の質問は編集部の提案です。







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