標準10年、高所得者は3年に分かれる
英国内務省は11月2日、永住資格を得るまでの期間を、貢献と素行に応じて変える「earned settlement」制度を発表した。標準は現在の5年から10年になる。年収5万271ポンドを超える人と、医師、看護師、教師など一部の公共サービス職は5年、最高所得層は3年で申請できる。[1]
介護職には別の経路を設ける。ビザ条件を守り、年2万5000ポンド以上を得ている人は5年で申請できる。条件に届かない人には新たな5年ビザを提示し、その期間を終えた後に申請できる仕組みだ。内務省は、全体の約4分の1がこの5年経路の対象外になると説明する。
すべての申請者に共通する条件は四つである。
- 犯罪歴がないこと。
- 外国語としての英語でAレベル相当の高い能力を持つこと。
- 税金など公的債務がないこと。
- 国民保険料を継続して納めた記録があること。
移民規則に違反した人は少なくとも20年待つ。政府が承認した安全な経路で入国した難民は5年、その他の難民は20年を基本とし、就労や就学で10年へ短縮する。小型船など非正規の手段で入国した人にはさらに10年が加わり、最長30年になる。[1]
現在の永住資格と例外は維持される
すでに永住資格を持つ人から資格を取り上げる制度ではない。 英政府は既存のsettled statusを撤回しないと明記した。英国人の家族、香港の英国海外市民、軍関係者の現行経路も維持する。
一方、まだ永住資格を得ていない人は、入国時期にかかわらず申請時点の規則が適用される見通しだ。政府は50万人超が5年より長く待つと見積もる。ただし、対象者を強制的に退去させるのではなく、新しいビザを申請し、10年後の永住を目指せると説明している。[1]
APは、制度が2027年中に導入される見通しと報じた。現在の英国の給与中央値は約3万9000ポンドであり、5年経路の年収基準は中央値を上回る。高所得者向け3年経路の具体的な所得水準、申請時にどの期間の収入を見るかなどは、施行規則で確認する必要がある。[2]
永住資格は就労ビザや英国市民権と同じではない。就労ビザは滞在と仕事の条件を定め、永住資格は期限のない滞在と労働市場への広いアクセスを認める。市民権は別の申請である。今回変わるのは主に永住へ到達するまでの道筋であり、すべての外国人が直ちに働けなくなる変更ではない。この区別を欠くと、制度の対象を誤って伝える。
採用では定着までの説明が必要になる
英国企業が外国人材を採用するとき、これまでは就労ビザのスポンサー資格、職種、給与を中心に説明すればよかった。標準期間が10年になると、入社後の昇給、職種変更、転職が永住までの時間にどう影響するかも採用条件の一部になる。
採用側は次の点を整える必要がある。
- 雇用契約の年収だけでなく、申請時に認められる所得の定義を確認する。
- 国民保険料の記録や英語要件について、従業員が公式情報へたどれる窓口を置く。
- 医療、教育、介護などの例外経路が、具体的にどの職種コードへ適用されるかを確認する。
- 5年で永住できると一律に案内していた採用資料や社内FAQを更新する。
特に注意が必要なのは、年収を上げれば必ず早く永住できると説明しないことだ。所得基準以外にも犯罪歴、英語、公的債務、保険料記録があり、経路ごとの細則も残る。企業が法律判断を代行せず、公式の規則と専門家への相談経路を示す方が安全である。
人事部は対象者の個人情報を必要以上に集めない配慮も必要だ。犯罪歴、公的債務、家族の在留状況は機微性が高い。会社が把握するのはスポンサー義務と雇用管理に必要な範囲にとどめ、個別の永住要件は本人と資格を持つ専門家が確認できるようにする。支援と監視を混同すると、従業員が相談しにくくなる。
人材の移動と定着に生じる差
短い経路が高所得者と一部の公共サービス職へ寄るため、制度は同じ会社の従業員にも異なる影響を与える。給与が基準をわずかに下回る人は標準10年になり、勤務地や職種を変える動機が強まる可能性がある。企業にとっては海外採用の費用だけでなく、永住までの離職リスクを考える必要が出る。
一方、永住期間と採用難の因果関係はまだ確認できない。政府は新制度が高度人材にとって「欧州で最も企業に優しい」仕組みになると主張するが、その評価には申請件数、離職率、医療・教育の欠員、企業のスポンサー費用を導入後に見る必要がある。
外国人材の側も給与だけで職場を選ぶとは限らない。家族の在留資格、配偶者の就労、住宅、教育、転職の自由が定着に影響する。企業が提示する支援は、ビザ費用の補助から、家族を含む長期計画の説明へ広げる必要がある。
報酬設計にも差が出る。年収基準の近くにいる従業員へ昇給を約束する場合、基本給、賞与、手当のどこまでが申請上の所得になるかを確認しなければならない。短期の採用競争だけで給与を調整すると、制度変更や為替で条件を外れるおそれがある。役割と成果に基づく報酬を維持しつつ、移民規則上の計算方法を別に説明する必要がある。
施行前に確認すべき未確定事項
11月2日の発表で制度の骨格は示されたが、詳細な移民規則はこれからである。高所得者向け3年経路の年収基準、収入を判定する期間、休職や育児休業の扱い、職種変更時の計算、既存申請者への経過措置を確認しなければならない。
企業と在留者が今できるのは、現行制度での期限、ビザ種別、給与、保険料記録を整理し、政府の更新を追うことだ。急いで転職や申請を決める前に、自分の経路へ新規則がどう適用されるかを確かめる必要がある。
採用中の企業は、求人票や内定通知に「5年で永住できる」と断定する表現がないかを点検できる。すでに入社している従業員には、発表済みの骨格と未確定の細則を分けて伝える。開始日と経過措置が決まる前に個別結果を約束せず、更新日を付けた案内へ切り替えることが現実的だ。
今回の変更は永住を一律の5年経路から、所得・職種・順守状況で期間が変わる制度へ切り替えるものだ。 採用企業にとっては入国時のビザ取得を支援するだけでなく、長期の定着条件を正確に説明できるかが問われる。
まとめ
- 英国の新制度は永住までの標準期間を10年にし、高所得者や一部の公共サービス職には短い経路を残す。
- 既存の永住資格は維持されるが、未取得者には申請時点の規則が適用され、50万人超が5年より長く待つ見込みだ。
- 企業は給与、職種、英語、保険料記録を含む条件を確認し、採用時の案内と定着支援を更新する必要がある。







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