千葉で何が起きたか
8月13日深夜から14日にかけて、千葉県の一部に記録的な大雨が降った。
気象庁は千葉県のいくつかの市区町村に「最高レベルの大雨警報」を発令した。この地域で最高レベルの発令は初めてのことだった。
千葉県知事の熊谷俊人は翌朝、こう述べた。
「これは極めて異常な状況だった。自分はこれほどの事例を経験したことがない」
少なくとも4人が死亡した。60〜70代の男性が浸水した道路で発見された。66歳の女性は車に閉じ込められたまま亡くなった。さらに数名が行方不明のまま翌日を迎えた。
2万2,000世帯以上が停電した。80軒以上の住宅が浸水した。
帰省ラッシュを直撃した
今回の大雨が特に厄介だったのは、タイミングだ。
お盆の最中、日本列島は「帰省ラッシュ」の最高潮にあった。
千葉は東京の東側に位置し、成田国際空港と東京ディズニーリゾートを抱える。そのエリア全体が一夜で機能を止めた。
陸上自衛隊が出動し、ソガ駅に足止めされた約4,000人を輸送バスで運んだ。
成田空港では数千人が到着ロビーや廊下で夜を過ごした。空港の飛行機は通常通り動いたが、市内へのアクセスが断たれた。
電車は翌朝に一部が復旧した。しかし運転再開まで、旅行者には選択肢がなかった。
「割に合わない夜」を過ごした人の数は、万の単位に及ぶ。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 停電世帯 | 2万2,000以上 |
| 自衛隊が輸送した人数 | 約4,000人(ソガ駅) |
| 成田で夜を過ごした旅行者 | 数千人 |
| 死者 | 少なくとも4人 |
| 浸水住宅 | 80軒以上 |
「極めて異常」という言葉が増えている
気象の話をするとき、専門家がよく使う言葉がある。「これは100年に一度の事象です」
しかしこの夏、その「100年」がどんどん短くなっている。
千葉県の一部では、1日に通常の8月1か月分に相当する雨量が降った。
ヨーロッパでは同時期、今夏5度目の熱波が続いていた。約3億人が35度以上の気温にさらされた。フランスの70%で干ばつが続く中、スペインや英国でも山火事が起きた。
日本の大雨と欧州の熱波は、一見すると別々の現象に見える。しかし気象学者が指摘するのは両者に共通する原因だ。「ジェット気流の蛇行」によって気象パターンが固定化し、同じ場所に同じ現象が長く居座るようになっている。
この夏、世界中で「経験したことがない」が増えている。
成田で立ち往生した旅行者への示唆
今回のインパクトが大きかった理由の一つは、「場所」だ。
国際線のターミナルに閉じ込められた外国人旅行者が、SNSに写真を投稿した。
成田周辺は日本に来る観光客の玄関口でもある。コロナ禍からの回復が続く中で、訪日客数は過去最高水準に近づいていた。そこへ「空港から出られない」という事態が起きた。
実害としては数日の話だ。しかし「日本のお盆の時期は交通が混乱しやすい」というイメージが広まることは避けにくい。
この夏の気象リスクはまだ終わっていない
気象庁は大雨警報を解除したが、週内に再び雨が強まる可能性を示した。
千葉東部の一部ではまだ水が引いておらず、住民が自宅に戻れない状態が続いている。
インフラの復旧は速かった。しかし「速く直る」ということは「また壊れる可能性もある」ということでもある。
熊谷知事は「これほどの事例は経験したことがない」と言った。
気象の専門家は「次の100年でこれが基準になる」と言う。
そのギャップを埋めるのに、今の制度と設備で間に合うかどうか。
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