Clairicとは?文章生成より「項目を埋める」モデル
Clairicは入力文や画像と一緒に「どの項目を、どの型で取り出すか」を渡して使います。Cloudflareの例は、請求書の本文から請求書番号、支払期日、合計額、連絡先、発注番号、支払い日数の見積もりを返す設計です。値が見つからない項目は、無理に文字列を作らずnullとして扱えます。[1]
| 方法 | 得意な処理 | 主な弱点 |
|---|---|---|
| 正規表現・ルール | 書式が固定された番号や日付 | 書式変更や例外に弱い |
| 汎用LLM | 要約、説明、柔軟な推論 | 出力形式、速度、コストの管理が必要 |
| Clairic | 型付き抽出、欠損判定、範囲推定 | 複雑な推論や多段計算は不得意 |
返せる型には、テキスト、数値、日付、真偽値、リスト、分類、見積もりなどがあります。数値や日付を文字列で返すのではなく、後工程で扱いやすい形にそろえられる点が実務上の差です。推定値には中央値や10〜90パーセンタイルなどの幅も付けられます。
料金は入力100万トークン0.10ドル、出力課金はない
Workers AIのモデルページでは、Clairicの単価は入力100万トークンあたり0.10ドルです。生成する回答は構造化された値で、出力トークンは0として計上されます。CloudflareはWorkers AI全体に1日1万Neuronsの無料枠を設け、超過利用にはWorkers Paidプランが必要と説明しています。[2]
たとえば、1件あたり2,000入力トークンの文書を1万件処理すると、単純計算の入力は2,000万トークンです。Clairicのモデル単価だけなら約2ドルになります。ただし、Workers実行やストレージ、OCR、ネットワークなど周辺処理の費用は別です。画像を渡した場合も入力として扱われるため、テキストだけの試算をそのまま当てはめないほうが安全です。
Cloudflareの社内テストでは、Clairicで抽出し、同社の判断モデルClefと汎用LLMを組み合わせた構成が、すべてを汎用LLMで処理する構成より速く安かったと報告されています。100万件のクレーム処理の推計で、19.3秒・6,032ドルと、61.7秒・11,740ドルを比較しています。[3] これはCloudflare自身の検証であり、他社環境でも同じ結果になる保証はありません。
関連して、意思決定に特化したモデルの考え方は、TechCreateの「Cloudflare Clefとは?判断AIの料金と使い方」でも整理しています。
APIで指定するのは入力と「欲しい項目の型」
利用方法はWorkers AIのバインディングかREST APIです。モデル名は @cf/cloudflare/clairic。入力本文を state に置き、fields に項目名と型、必要なら説明を書きます。レスポンスには値だけでなく、確信度や「該当値がない確率」を示す p_null が含まれます。[1]
{
"model": "@cf/cloudflare/clairic",
"state": "請求書 INV-2291。発行日は2026年9月2日、支払条件は30日。",
"fields": {
"invoice_number": { "type": "text" },
"due_date": {
"type": "date",
"instructions": "発行日と支払条件から算出"
}
}
}
APIの主な条件は次の通りです。
- コンテキストウィンドウは65,536トークン
- 画像はPNG、JPEG、WebPを最大4枚
- 画像は1枚4MiBまで、デコード後合計8MiBまで
- リモート画像URLは直接渡せず、埋め込みが必要
- 年が省略された日付には
reference_dateを指定できる
確信度は「正解の保証」ではありません。高い値でも、入力資料の誤りや項目定義の曖昧さは残ります。金額や契約条件を自動反映するなら、閾値以下を人の確認へ回す仕組みが必要です。
向く業務と、まだ任せないほうがよい業務
導入を判断しやすいのは、現在「人が画面を見て表へ転記している」業務です。請求書、保険請求、申込書、商品仕様、問い合わせ票など、欲しい列が先に決まっている処理は候補になります。
反対に、契約条項の法的評価、複数資料をまたぐ因果判断、長い計算手順、根拠のない将来予測は慎重に扱うべきです。Cloudflareも、複数段階の計算は不得意で、推定には入力内の根拠が必要だと説明しています。[3]
導入前は、次の順序で小さく検証すると判断しやすくなります。
- 実データから個人情報を除いた検証用セットを作る
- 必須項目と、欠損時にnullにする条件を決める
- 正解率だけでなく、見逃しと誤抽出を別々に測る
- 確信度の閾値と、人へ戻す条件を決める
- 既存のOCR、ルール、汎用LLMと総費用を比較する
Workers AIは顧客コンテンツをサービス提供に必要な期間だけ処理する「ゼロデータ保持」を掲げていますが、契約や利用規約、保存先、ログの扱いは自社要件と照合する必要があります。[4]
まとめ
- Clairicは会話を作るAIではなく、文章や画像から型付きの値を抽出し、欠損や確信度も返すモデル
- 入力100万トークン0.10ドルで出力課金はないが、OCRや周辺処理、人による例外確認まで含めて比較する必要がある
- 向くのは項目が先に決まった転記業務。多段推論や重要判断は人の確認と別モデルを組み合わせるべき







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