Cloudflare Clefとは?文章ではなく確率を返す
Clefは、Cloudflareが2026年10月1日に公開したオープンウェイトの意思決定モデル群です。27Bパラメーターの「Clef」と、9Bパラメーターの「Clef-flash」があり、Cloudflare Workers AIから利用できるほか、Apache 2.0ライセンスの重みをダウンロードして自社環境でも動かせます。[1] [2] [3]
| 項目 | Clef | Clef-flash |
|---|---|---|
| パラメーター数 | 27B | 9B |
| コンテキスト長 | 65,536トークン | 65,536トークン |
| 1回に指定できる質問 | 最大64件 | 最大64件 |
| 入力 | テキスト、最大4枚の画像 | テキスト、最大4枚の画像 |
| 出力 | 選択肢と確率 | 選択肢と確率 |
一般的な大規模言語モデルは「返金を認めるべきか」と尋ねると説明文まで生成します。Clefでは、承認・保留・否認のような候補と判断条件を先に渡し、それぞれの確率を受け取ります。自由記述を生成しないため、後続システムが扱う値を限定しやすいのが特徴です。選択式のほか、真偽判定やスコアリングにも対応します。[2]

ClefとClef-flash、Jevはどう違う?
Cloudflareは、意思決定モデルの先行例であるJevと比べ、Clefを精度重視、Clef-flashを速度重視に位置づけています。Jevの仕組みや用途は、TechCreateの「Jevとは?文章を書かずに判断するAIの仕組みと使い道」でも解説しています。
| 比較軸 | Clef | Clef-flash | Jev |
|---|---|---|---|
| モデル規模 | 27B | 9B | 4B |
| Cloudflare公表の中央値 | 209.3ms | 38.8ms | 524.1ms |
| 向く場面 | 複雑な分類、精度優先 | 高頻度処理、速度・費用優先 | 軽量なローカル実行 |
| Workers AIでの提供 | あり | あり | なし |
Cloudflareによる10種のベンチマークでは、Clefが7種で最高スコアを記録し、中央値はJevより約2.5倍、Clef-flashは約13倍高速だったとされています。[1] 一方、The Registerは、これらがCloudflareの自己評価であり、公開直後の時点では独立再現されていないと指摘しています。[4]
したがって、公開スコアだけで採用を決めるのは早計です。自社の過去データを使い、誤判定率、確率の信頼性、ピーク時の遅延を同じ条件で比較する必要があります。
料金はいくら?無料枠と従量課金の読み方
Workers AIの料金表では、Clefは100万入力トークンあたり0.24ドル、Clef-flashは0.09ドルです。自由記述を生成しないため、この2モデルには出力トークン単価が掲載されていません。[5]
| 料金項目 | Clef | Clef-flash |
|---|---|---|
| 100万入力トークン | 0.24ドル | 0.09ドル |
| 100万トークンあたりのNeurons | 21,818 | 8,182 |
| 1日あたりの無料枠 | Workers AI全体で10,000 Neuronsを共有 |
無料枠を超えた利用にはWorkers Paidプランが必要で、Neuronsは1,000単位につき0.011ドルです。Workers Paidプラン自体の最低料金は月5ドルと案内されています。[5] [6]
見積もりでは、入力トークン数だけでなく呼び出し回数も確認します。64個の質問を1リクエストにまとめられるため、同じ文書に対する判定を束ねられるかで通信回数が変わります。画像入力は最大4枚ですが、対応形式や解像度の条件もモデルページで確認が必要です。[2]
どの業務に向く?選択肢を先に定義できる仕事
向いているのは、正解を自由文で書かせたい業務ではなく、候補と後続処理を先に設計できる業務です。
- 問い合わせを営業、サポート、請求、緊急対応へ振り分ける
- 取引やアクセスを正常、要確認、遮断候補に分類する
- AIエージェントの次の操作を実行、確認待ち、中止から選ぶ
- 商品画像を定義済みカテゴリへ分類する
- 審査資料の優先度をスコアとして返す

逆に、顧客への回答文、企画案、要約のように新しい文章が必要な工程はClefだけでは完結しません。意思決定モデルが「どの処理を選ぶか」を決め、その後に生成AIや業務システムを呼ぶ役割分担が適しています。
導入前に何を検証する?5つの手順
導入判断では、モデルの平均スコアより、間違えたときの業務影響を先に整理します。
- 過去の実例から、入力、正しい選択肢、判断理由を含む評価セットを作る
- Clef、Clef-flash、既存ルールを同じデータで比較する
- 確率のしきい値を決め、低信頼の結果は人へ戻す
- 誤判定率、処理時間、トークン数、月額費用を記録する
- 本番投入後も選択肢の偏りと判断結果を定期的に監査する
とくに、確率が高いことと判断が正しいことは同じではありません。たとえば「遮断候補70%」を自動実行するのか、人の確認に回すのかは、モデルではなく業務側の責任で決めます。権限を絞り、人の承認を挟む設計は「OpenAI Dotsとは?使い方と権限設定の注意点」で紹介したエージェント運用にも共通します。
Cloudflareは、明示的な同意なしにWorkers AIへ送った顧客コンテンツをモデル学習やサービス改善に使わないと説明しています。[7] ただし、社内規程や契約上の要件は別です。機密情報を送る前に、保存先、ログ、利用地域、削除手順まで自社で確認してください。
採用の目安は「生成AIを置き換えられるか」ではない
Clefの価値は、生成AIを全面的に置き換えることではありません。判断の候補を限定し、後続処理へ渡す形式を固定できる点にあります。
| 判断項目 | Clefを試す | 別の方法を選ぶ |
|---|---|---|
| 出力 | 定義済みの選択肢・確率 | 自由な文章や新しい案 |
| 処理量 | 同種の判断を高頻度で行う | 少数を人が慎重に判断する |
| 運用 | しきい値と人への退避を設計できる | 誤判定時の扱いを決められない |
| 配置 | Workers AIまたは自社環境 | 特定クラウドに閉じたくないが運用基盤もない |
Cloudflareは強化学習による個別調整の設計パートナーを募集していますが、一般提供の機能としては案内していません。[1] 現段階では、標準モデルで小さな評価セットを回し、既存ルールより費用対効果が高い工程だけに限定して試すのが安全です。
まとめ
- Clefは文章生成ではなく選択肢ごとの確率を返し、振り分けや不正検知など出力を限定できる業務に向く
- 速度と料金を優先するならClef-flash、複雑な判断の精度を優先するならClefが候補だが、公表性能は自社データで追試する必要がある
- 導入の成否はモデル単体より、低信頼時に人へ戻す仕組みと、誤判定・遅延・費用を継続監査できるかで決まる
出典・参考
- Cloudflare「Introducing Clef: Open source decision models that outperform Jev」(2026年10月1日)
- Cloudflare Developers「Clef - Workers AI」
- Cloudflare「Cloudflare/clef」
- The Register「Cloudflare tries to outplay Jev with open-weight Clef models」(2026年10月1日)
- Cloudflare Developers「Workers AI - Pricing」
- Cloudflare Developers「Workers - Pricing」
- Cloudflare Developers「Workers AI - Data usage」






