GPT-6 SolとLunaは何が違う?
OpenAIのモデル仕様では、Solを「複雑なコーディングとエージェント型ワークフロー」向けと位置づける。一方、Lunaは「焦点の定まった大量タスク」を効率よく処理するモデルだ。
| モデル | OpenAIが示す主な役割 | 標準入力単価 | 標準出力単価 |
|---|---|---|---|
| GPT-6 Astra | 最難関の一貫した複合作業 | 10ドル | 50ドル |
| GPT-6 Sol | 複雑なコーディング、エージェント処理 | 2ドル | 10ドル |
| GPT-6 Luna | 焦点の定まった大量処理 | 0.10ドル | 0.50ドル |
単価は100万トークン当たりで、Standard処理の料金である。SolはAstraの5分の1、LunaはAstraの100分の1だ。出力も同じ比率になっているため、長い回答を返す処理ほど差額は大きくなる。
一方、価格表は仕事の完了率を示さない。OpenAIはSolを高度なワークフロー向けと説明しているが、TechCreateは同じ業務で3モデルを比較していない。「安いから同じ成果が出る」「Astraなら必ず成功する」という結論は、公式仕様だけでは出せない。
料金はどこで増える?27.2万トークンの境界
3モデルは通常単価だけでなく、キャッシュ、処理方式、入力長によって請求額が変わる。特に見落としやすいのが、27万2,000入力トークンを超えるリクエストだ。
| 条件 | Sol | Luna | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 通常入力 | 2ドル | 0.10ドル | 100万トークン当たり |
| キャッシュ済み入力 | 0.20ドル | 0.01ドル | 通常入力の10% |
| キャッシュ書き込み | 2.50ドル | 0.125ドル | 通常入力の1.25倍 |
| 27.2万入力超 | 入力2倍、出力1.5倍 | 入力2倍、出力1.5倍 | リクエスト全体へ適用 |
長文課金は「超えた部分だけ」ではない。公式モデルページによると、入力が27万2,000トークンを超えると、そのリクエスト全体で入力とキャッシュの単価が2倍、出力が1.5倍になる。大量のリポジトリや文書を毎回まとめて渡す設計では、モデル単価だけを掛けた予算より高くなる。
処理方式にも差がある。BatchとFlexはStandardの50%、Fastは該当料金の2倍。利用できる地域処理には10%の上乗せがあり、EUのデータレジデンシーはStandard処理だけで使えるとされる。機密データを扱う企業は、安さだけでFlexへ寄せず、処理方式と保存地域を先に確定する必要がある。
Astraと同じ105万トークンでも役割は同じではない
Sol、Luna、Astraはいずれも、105万トークンのコンテキストと12万8,000トークンの最大出力に対応する。入力はテキストと画像、出力はテキストで、音声と動画は直接扱わない。
| 共通仕様 | 内容 |
|---|---|
| コンテキスト | 1,050,000トークン |
| 最大出力 | 128,000トークン |
| 入力 | テキスト、画像 |
| 出力 | テキスト |
| 推論強度 | Sol/Lunaはnone〜max、Astraはlow〜max |
文脈長が同じでも、得意な仕事は同じではない。Astraは複雑な推論、コーディング、コンピューター操作、調査、文書作成を含む最難関の一貫作業が想定される。Solはコーディングとエージェント処理へ焦点を絞り、Lunaは分類、抽出、整形など大量に繰り返す処理へ寄せている。
モデル名より重要なのは、仕事をどこで分けるかだ。全工程をAstraへ渡す設計と、Lunaで前処理し、難しい例だけSolやAstraへ送る設計では、同じ利用量でも費用が変わる。既存のAstra料金・機能解説と合わせると、GPT-6は単一モデルではなく、作業難度で振り分ける製品群として見る方が実務に近い。
APIで使うときの制約は?
SolとLunaはResponses APIで組み込みツールと関数呼び出しを利用できる。Chat Completionsで関数呼び出しを使う場合は、公式仕様上、reasoning_effortをnoneに設定する必要がある。既存実装をモデル名だけ差し替えると、推論設定と関数呼び出しの組み合わせで想定外の差が出る可能性がある。
導入前に最低限、次の4点を確認したい。
- Responses APIへ移すか、Chat Completionsを継続するか
- 1リクエストの入力が27万2,000トークンを超えるか
- Standard、Batch、Flex、Fastのどれを使うか
- EUデータレジデンシーなど処理地域の要件があるか
知識カットオフも同一ではない。公式ページではSolが2026年4月20日、Lunaが5月18日、Astraが4月30日である。最新情報が必要な処理では、モデルの事前知識へ任せず、検索や社内データを明示的に渡す設計が要る。
なお、ITmedia NEWSと窓の杜も、SolとLunaが9月22日に発表され、前世代よりAPI価格を引き下げた点を報じている。提供開始は確認できるが、各社の実務での品質は別の検証対象である。
どのモデルを選ぶ?3段階で試す
導入判断では、最初から1モデルに固定するより、同じ業務を3段階で振り分ける方が比較しやすい。
- Lunaで、分類、抽出、定型変換など正解条件が明確な大量処理を試す。
- Solで、複数ツールを使うコーディングや、途中判断を含むエージェント処理を試す。
- Astraで、失敗コストが高い最難関タスクや、複数工程を最後まで通す処理を比較する。
評価軸は1回当たりのAPI料金だけでは足りない。成功率、再試行回数、総入力・出力トークン、完了までの時間、人のレビュー時間をそろえる必要がある。Lunaが安くても再試行が100回必要なら、Solを1回使う方が総費用と待ち時間を抑えられる場合がある。
ClaudeとChatGPTのAPI単価比較でも整理した通り、単価表は比較の入口でしかない。今回の発表が企業のAI利用に与える意味は、最上位モデルを常用するのではなく、仕事の難度に合わせてモデルを切り替える選択肢が増えた点にある。
まとめ
- GPT-6 Solは複雑なコーディングとエージェント処理、Lunaは大量の焦点化された処理を想定する。Astraを含む3モデルは、同じGPT-6でも役割が異なる。
- Standard料金はSolが入力2ドル・出力10ドル、Lunaが0.10ドル・0.50ドル。27万2,000入力トークン超ではリクエスト全体の単価が上がるため、長文設計では追加費用を見込む必要がある。
- 導入時は単価だけで決めず、同じ実務タスクで成功率、再試行、総トークン、人の確認時間を測る。3モデルを作業難度で振り分けることが、読者が持ち帰るべき判断軸である。






