「連絡がとれない」という48時間
ネパール政府は8月28日、洪水による死者がすでに390人を超えたと発表した。1,400人以上がいまも行方不明だ。
外国人の行方不明者はアメリカ、ドイツ、フランスなど32か国の国籍者を含み、500人以上に達している。
アメリカ国務省は8月27日、「少なくとも90人の米国市民の所在が確認できていない」と認めた。
国務省報道官は「可能なかぎりの情報収集と支援を行っている」と述べたが、具体的な救出の動きは明らかにしていない。
氷河が「突然」動いた背景
ラスワ郡を流れるトリスリ川の上流には、ヒマラヤの氷河が複数存在する。
今年の夏は例年より気温が高く、氷河の融解が早まっていたことは気象当局も把握していた。
しかし氷河湖決壊(GLOF)の直前予測は困難で、今回も事前警報は出なかった。
カトマンズ大学の地質学者ビニャ・タパ氏は地元メディアに語った。
「今年の気温上昇は観測史上でも上位に入る。氷河の不安定化はここ5年で急速に進んでいる」
「村は消えた」
ラスワ郡内のいくつかの集落は、川から数十メートルの距離にある。
洪水が来たとき、住民が逃げた先は山の斜面だった。
生き残った住民の一人がNPRの取材に語った。
「朝5時頃に大きな音がした。気づいたときには川が家の前まで来ていた」
ネパール政府の緊急対応チームは現地に入っているが、土砂で塞がれた道路が救援車両の到達を妨げている。
ヘリコプターによる捜索が続いているが、天候が不安定で飛行できない時間帯も多い。
「高山トレッキング」が抱えるリスク
ネパールの観光産業はトレッキングに大きく依存している。
エベレスト街道やアンナプルナは有名だが、ラスワ郡のルートは比較的新しい観光路線として近年売り出されてきた場所だ。
管理されたルートの外を歩くトレッカーも多く、今回の行方不明者にはガイドなしで入山していた外国人も含まれているとされる。
観光業界関係者からは「リスク情報の伝え方を根本から見直す必要がある」という声が出始めているが、政策的な議論はまだ本格化していない。
今回の洪水が起きた時期は、モンスーンが一時的に弱まった「晴れ間」の時間帯にあたっており、多くのトレッカーがその隙に行動を開始していたと現地ガイドは説明している。
まとめ
- ネパールとチベットの国境付近で8月27日に氷河崩壊による洪水が発生し、390人以上が死亡、1,400人以上が行方不明になっている
- 行方不明者には32か国の外国人500人以上が含まれ、アメリカ国務省は米国人90人の所在が不明と認めている
- 気候変動による氷河の不安定化が背景にあるとされるが、直前の警報は出ず、土砂による道路封鎖が救援活動を妨げている
出典・参考
- Nepal flood death toll rises to over 390 with 1,400 still missing — AP News (2026/08/28)
- State Department: 90 Americans unaccounted for in Nepal flash flood — Reuters (2026/08/27)
- Glacial lake outburst flood kills hundreds in Nepal's Rasuwa district — Al Jazeera (2026/08/27)
- Nepal flooding: Death toll surpasses 390 as search continues for missing — BBC News (2026/08/28)



