「75人」が1週間で増えた
ギリシャの2026年のウエストナイルウイルス累積感染者数は232人に達した。
そのうち19人が死亡し、26人が現在もICUに入っている。
前の週だけで75人の新規感染が確認された。この数字は2019年以来7年ぶりの規模だと、ギリシャ保健省は説明している。
死者は全員65歳以上で、そのほとんどが心疾患や糖尿病などの基礎疾患を持っていた。
アテネが「震源地」になった背景
ウエストナイルウイルスは蚊を媒介として広がる。
ギリシャでは毎年夏に感染者が出るが、今年はアテネ西部の低地に集中している。
ギリシャ疾病管理センター(EODY)の感染症専門家ニコス・マンタダキス氏は会見で述べた。
「今年は春の降雨量が多く、蚊の発生源となる滞留水が市内に多数残っている。気温が高い年ほど蚊の活動期間が延びる」
アテネ西部のペリステリやニカヤといった地区では、住民から「蚊が例年より多い」という声が8月初旬から上がっていた。
市の保健当局はその段階で駆除作業を強化したが、発生源を全て取り除くには至らなかった。
ICUに26人という意味
ウエストナイル熱の感染者の多くは症状が軽いか、無症状で終わることが多い。
しかし重症化すると脳炎や髄膜炎を引き起こし、特に高齢者では回復が難しいケースがある。
現在ICUに入院している26人の状態は、保健省によれば「重篤」または「非常に深刻」と分類されている。
ギリシャの公的医療機関の病床は慢性的に逼迫しており、夏の観光シーズンとウイルス拡大が重なった今年は、いくつかの地域病院で入院受け入れを制限する事態になっている。
医療従事者の一人は地元紙に語った。
「蚊に刺された高齢の患者が熱を出しても、最初は誰もウエストナイル熱とは思わない。診断が遅れるほど重症化リスクが上がる」
ピークは9月半ばまで続く
EODYは、感染者数のピークは9月半ばまで続くと予測している。
例年、蚊の活動は秋の最初の冷え込みで落ち着く。今年は9月の気温が平年より高い予報が出ており、感染拡大の終息が例年より遅れる可能性がある。
ギリシャ政府は市民向けに「長袖着用」「虫よけ使用」「夕方以降の屋外長時間滞在を避ける」という注意喚起を出している。
観光客向けの注意喚起は英語とドイツ語でも用意されているが、到着時の案内は限定的で、ホテルや宿泊施設での配布も徹底されていないと現地メディアは指摘している。
ウエストナイルウイルスの流行はギリシャだけでなく、今年はイタリア北部でも感染者数が増えている。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は「地中海沿岸全体で監視を強化する必要がある」と今月初めに警告を出していた。気温上昇が続けば、これまで感染者が少なかった北欧での発生リスクも将来的には高まるとECDCは見ている。
まとめ
- ギリシャで2026年のウエストナイルウイルス感染者が232人に達し、19人が死亡。前週だけで75人の新規感染が確認され、7年ぶりの記録的ペース
- 死者は全員65歳以上。26人が現在ICUに入院中で、アテネ西部が主な感染集中地区となっている
- ピークは9月半ばまで続くとEODYは予測しており、今年の春の多雨と高気温が感染拡大の一因とされている



