一般と上級は、試される操作が違う
MOSは、Microsoft Office製品の利用スキルを証明する資格です。Excelには一般レベルと上級レベルのエキスパートがあり、バージョン別に試験が用意されています。公式の試験概要は、科目が独立しているため、最初から上級を受験できると説明しています。
Excel 365の一般レベルでは、表を整え、計算し、グラフにまとめる基本操作を扱います。上級では、入力規則や高度な関数、ピボットテーブルなども対象です。ピボットテーブルは、一覧のデータを項目別に集計して見せる機能です。
| 比較する点 | 一般レベル | エキスパート |
|---|---|---|
| 主な出題内容 | セルの書式、テーブル、数式・関数、グラフなど | 入力規則、高度な関数、簡単なマクロ、ピボットテーブルなど |
| 試験方法 | パソコン上の実技 | パソコン上の実技 |
| 試験時間 | 50分 | 50分 |
| 受験料・一般価格 | 12,980円(税込) | 12,980円(税込) |
| 受験料・学割価格 | 9,680円(税込) | 9,680円(税込) |
出典:Excel 365一般の試験概要、Excel 365エキスパートの試験概要。学割の対象や必要書類は申込前に公式案内を確認してください。
上級の出題範囲にも基本操作を使う場面はあります。一般を飛ばして受けられることと、基礎を学ばなくてよいことは別です。一方、一般の操作を十分に使える人が、受験順序だけを理由に両方へ申し込む必要もありません。
「Excelができる」を、仕事の動作に分ける
自分に合うレベルを考えるには、普段の仕事を動詞で書き出す方法が役立ちます。「Excelを使う」だけでは、入力中心なのか、集計を設計するのかがわかりません。
たとえば、次のように整理できます。これは試験団体の合格診断ではなく、編集部が提案する学習前の棚卸しです。
| 今の仕事・困りごと | 学習で確かめたいこと |
|---|---|
| 一覧に追記すると、集計する範囲を毎回直している | テーブルや参照をどう使えば管理しやすくなるか |
| 毎月の報告で同じ並べ替えを繰り返す | 元データを保ちながら条件別に整理できるか |
| 部署別・月別の集計表を複数作っている | ピボットテーブルで切り口を変えられるか |
| 引き継いだ数式の結果を説明できない | 参照先や計算条件を確認できるか |
一般の出題範囲に知らない操作が多ければ、まず基本機能から学ぶ方針が立ちます。一般の内容は自力で扱え、必要な仕事が上級の範囲に近ければ、上級の教材で不足部分を調べます。
ここで「一般は事務職向け、上級は管理職向け」と職種や役職だけで分けないことも大切です。同じ部署でも担当する表や集計は違います。今の業務に合わせて選ぶ方が、学習する理由を具体的にできます。
申し込む前に、試験・教材・パソコンをそろえる
MOSには365と2019などの区分があります。まず受ける試験名を決め、教材の対応バージョンと、練習に使うExcelの環境を確認します。「Excel用」とだけ書かれた教材を、科目名やレベルを見ずに購入しないようにします。
古い教材に「MOS 365&2019」とあっても、現在のMOS 365と同じ試験を指すとは限りません。公式のバージョンと教材の選び方によると、MOS 365&2019は2022年9月にMOS 2019へ名称が変わりました。名前に365が含まれる点だけで判断すると、教材を取り違える可能性があります。
また、公式案内ではMac版Officeの試験は実施されていません。普段Macを使っている人は、受験するWindows環境で操作を練習できる場所も考えておく必要があります。会社のパソコンを使う場合は、教材のインストールや練習用ファイルの扱いを社内ルールに照らして確認してください。
教材の模擬試験ソフトには、対応OSやOfficeなどの動作条件があります。試験バージョンが合っているだけで購入を決めず、自分のパソコンで利用できるかを確認します。公式のMOS 365教材一覧から、出版社や教材提供元の説明へ進めます。
独学は、操作を再現できるかで進める
公式サイトは、教材を使う独学と、対策講座で学ぶ方法を案内しています。どちらを選ぶかは、質問できる相手が必要か、練習環境を用意できるか、学習時間を自分で確保できるかで考えられます。
独学で始めるなら、最初に出題範囲を読み、項目を「説明なしでできる」「見本があればできる」「操作を知らない」に分けます。使ったことがある機能でも、手順を再現できなければ復習対象にします。
次に、教材の操作を一度なぞった後、見本を閉じて同じ作業を試します。失敗したら、ボタンの場所を忘れたのか、そもそも参照や集計の意味を理解していないのかを分けます。前者なら反復練習、後者なら考え方の説明へ戻る、というように復習の方法を変えられます。
慣れてきたら、教材の模擬問題を時間を測って解きます。点数だけでなく、迷った操作と、その理由を記録します。同じ問題を覚えて解ける状態と、別の表でも操作できる状態を区別するためです。
学習期間を一律に「何週間で十分」と決めることはできません。すでに使える操作、学習環境、確保できる時間が人によって異なります。受験日を決める前に短い練習を行い、自分の不足部分を把握してから予定を組みましょう。
講座を利用する場合は、受験料が受講料に含まれるか、練習用ソフトを使えるか、質問への対応があるかを確認します。料金の安さだけで比べず、自分では用意しにくい支援が含まれるかを見ると選びやすくなります。
2026年末の申込方法の変更にも注意
オデッセイコミュニケーションズは2026年8月18日、MOS全国一斉試験を同年12月で終了すると発表しました。最終の全国一斉試験日は12月13日で、随時試験は引き続き利用できます。公式のお知らせで確認できます。
終了するのは全国一斉試験という受験方式であり、MOSそのものがなくなるという意味ではありません。年末以降の受験を考えている人は、随時試験の会場と実施日、希望科目を扱っているかを確認してください。
受験費用を計画するときは、試験代に加え、教材、講座、必要なら練習環境の費用を分けて見積もります。一般と上級を両方受ける場合、上表の一般価格では試験代だけで合計25,960円です。まず一方を選ぶ場合との違いを把握し、取得する理由のある科目へ予算を配分します。
合格後は、できる作業を具体的に伝える
資格を仕事の説明に使うなら、取得した科目・バージョンに加え、実際にできる作業を言葉にします。たとえば「Excelが得意」よりも、「月別の売上表から部署別の集計を作れる」と説明する方が、任せられる仕事を想像しやすくなります。
練習として架空の売上データを作り、集計表とグラフ、使い方のメモを一組にする方法もあります。その際は自主制作と明記し、実務経験のように見せないことが前提です。勤務先の顧客情報や売上データを、許可なく応募資料へ使わないようにします。
採用や昇給は資格だけで決まるものではありません。求人に書かれた業務を読み、自分の経験と、これから覚える必要がある操作を分けて説明する材料として活用しましょう。
また、複数人で仕事を進めるときは、表計算の操作とは別に、担当者や締切、進捗の共有方法を決める必要があります。用途が広がってきたら、関連記事の小規模制作会社・編集チームの案件管理ツールの選び方も参考になります。
まとめ
- 一般と上級は出題範囲が異なり、一般の合格は上級受験の必須条件ではありません。必要な仕事の操作と、今の理解度から選べます。
- 試験名・教材の版・練習環境を先にそろえると、申込や購入の取り違えを防げます。全国一斉試験は2026年12月で終了し、随時試験は続きます。
- 資格に加え、できる作業を具体的に説明することが、仕事との接点になります。学習上の成果と実務経験は分けて伝えましょう。






