「4人が戻らなかった」
国土交通省が22日午前9時に発表した第6報によると、死者は4名。神奈川県と千葉県を中心に土砂崩れと河川の氾濫が重なった。
神奈川県では、山沿いの住宅地で夜半に土砂が流れ込み1名が死亡した。千葉県山武市では、氾濫した河川の濁流に流された男性の死亡が確認された。千葉県市川市では倒木が家屋を直撃する事故があり、さらに1名が命を落とした。
4名が戻らなかった。しかし問題はそれで終わらなかった。
6名が22日夕方の段階でまだ行方不明のままだった。
「行方不明はまだ6人いる」
千葉県鴨川市では、山側の集落で土砂崩れが相次いだ。崩落した斜面の下から救助要請の声があったという情報が入り、警察・消防・自衛隊が重機と救助犬を使って捜索を続けた。だが崩れた土砂の量が多く、二次崩落のリスクがあるため作業は難航した。
神奈川県でも行方不明者の捜索が続いていた。現場の担当者は「土の中に人がいる可能性がある限り、手は止められない」と述べた。
22日の夜になっても、6人の所在はわかっていなかった。
住宅430棟が傷ついた
建物の被害も大きかった。
国交省の集計では、全壊・半壊・床上浸水などを合わせた住宅被害が430棟を超えた。千葉県佐倉市では高崎川が氾濫して広域が冠水し、住民が2階に避難する事態になった。
台風通過後の氾濫は珍しくない。雨量がピークを超えても、上流から流れてくる水は止まらない。特に千葉県の中小河川は勾配が緩く、上流の水が関東平野に出てきてから時間差でどっとあふれる。「もう台風は行った」と思った人が、夜になってから床上浸水を経験した。そういうケースが22日の千葉でいくつも起きた。
佐倉市の住民の一人は「雨は止んでいたのに、真夜中に突然水が来た」と語った。
地面は「台風後」も動いている
気象庁は22日、「台風は抜けたが土砂災害への厳重な注意を続けてほしい」と呼びかけた。
台風通過後は、土の中に水が染み込んだままの状態が続く。地表から見た空は晴れていても、地面は水分を含んで重い。そこに残留水圧がかかると、24時間後、場合によっては2日後に崩れることがある。これを「遅延崩壊」と呼ぶ。
過去にも台風通過の翌日以降に大きな被害が出た事例がある。2019年の台風19号では、通過から30時間以上が経過した後に長野で堤防が決壊した。今回も、22日の捜索現場は「台風後の現場」ではなく「まだ動いている現場」だった。
神奈川と千葉の救助隊員たちは、そのことをよくわかっていた。
「台風は通過した」が意味しないこと
日本では毎年のように、「台風が去った後に人が死ぬ」が起きる。上陸直前の恐怖と、通過後に来る安心が、被害を広げる。
今年のシルバーウィークは例年より人の移動が多かった。帰省や旅行の予定を入れた人が、台風の影響で足止めになるか、あるいは「通過後だから大丈夫」と移動した。千葉県の河川氾濫の現場では、帰宅途中に被害を受けたケースもあったとみられている。
「台風が通過した」という情報は、「安全になった」を意味しない。それは22日の死者4名が示している。
まとめ
台風25号が去った後も、神奈川と千葉で4人が死亡し6人が行方不明のまま捜索が続いた。住宅被害は430棟超。台風通過後の遅延崩壊や河川の時間差氾濫という構造が、今年も繰り返された。
- 台風通過後も地盤が緩んだまま動いており、遅延崩壊のリスクが24〜48時間続く
- 中小河川は台風通過後に上流水が集まり、時間差で夜間に氾濫するケースがある
- 行方不明の捜索は22日夜も続いており、死者数はさらに増える可能性がある






