標的にされた少数民族
デビとルワイリの住民の多くはオトロ人だという。ヌバ山地に暮らす少数民族で、スーダン人医師ネットワークは今回の攻撃がこの集団を狙ったものだと指摘している。特定の民族を理由にした攻撃だとすれば、被害は二つの村だけにとどまらない不安を周辺の集落にも広げることになる。
同ネットワークは声明で、SPLM-Nが民間人を標的にしたと非難した。医療者の団体が前線の被害を記録し発信する役割を担っている状況そのものが、この地域で公的な監視の目が届きにくいことを映している。
停戦から一週間ほどでの攻撃
今回の攻撃が起きたのは、八月末に成立したばかりの停戦合意から日を置かない時期だった。スーダン人医師ネットワークは、今回の攻撃を合意への違反だと非難している。
停戦が発表されてから実際に戦闘が収まるまでには、通常でも一定の空白期間がある。今回のケースでは、その空白がわずか一週間ほどしかなかったことになる。
ディリンでの砲撃
デビとルワイリへの攻撃から一夜明けた五日早朝、ディリン市でも砲撃があった。SPLM-N側の部隊によるものとみられ、子ども一人を含む五人が死亡した。
ディリンはコルドファン州内でも比較的人口の多い都市で、これまでも戦闘の影響を受けてきた場所である。二つの攻撃が連続したことで、住民の間には停戦への不信感が広がっているという。
国連が示した全体像
九月七日、国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルクはジュネーブの人権理事会でスーダン情勢について演説した。コルドファン州やブルーナイル州、ダルフール北部・西部の状況が悪化しており、民間人が差し迫った危険にさらされていると警告している。
北コルドファン州の州都エルオベイドについては、迅速支援部隊(RSF)による無人機攻撃が水道や電力といった生活インフラを損なっていると述べた。テュルクは「即時停戦、外国勢力の関与の終結、包摂的な文民統治への回帰が必要だ」と訴えている。この発言はコルドファン州全体を含むスーダン全土に向けたもので、デビ・ルワイリやディリンの事件を名指ししたものではないが、時期は重なっている。
二つの戦線が重なる内戦
スーダンでは二〇二三年からスーダン国軍とRSFの間で内戦が続いており、SPLM-Nは南部コルドファン州や青ナイル州で独自に武装闘争を展開してきた勢力である。今回の攻撃はこの国軍対RSFの内戦とは別の戦線での出来事であり、当事者も異なる。
停戦合意が結ばれても、地域ごとに異なる武装勢力が関わっている限り、その効力は一様には及ばない。今回の事案は、複数の戦線が絡み合うスーダン内戦の複雑さを改めて示した形になっている。
支援が届きにくい地域
ヌバ山地一帯は道路事情が悪く、国際的な人道支援団体が常駐しにくい地域として知られている。スーダン人医師ネットワークのような現地の医療者団体が被害の記録と発信を担っているのは、外部からの支援や取材が入りにくいという事情の裏返しでもある。
停戦合意が結ばれた地域ほど、外部の関心が薄れやすいという面もある。今回のように合意の直後に攻撃が起きても、それが広く伝わるまでには時間がかかることが多い。
まとめ
南部コルドファン州では九月四日から五日にかけて二つの攻撃があり、あわせて二十六人が死亡した。停戦合意からわずか一週間ほどでの出来事であり、スーダン人医師ネットワークは特定の民族を狙った攻撃だと非難している。国連人権高等弁務官も同じ週にスーダン全土の民間人保護を訴えており、コルドファン州の状況はこの内戦が抱える複雑さを映す一例になっている。
出典・参考
- Al Jazeera「Dozens killed in rebel attacks on Sudan's Kordofan, medical group says」
- The Washington Post「Clashes in southern Sudan leave at least 21 dead, medical group says」
- Xinhua「At least 26 killed, dozens injured in two attacks in Sudan's South Kordofan」
- UN News「Human rights chief Türk renews call for end to spiralling Sudan war」



