三十二年前に造られた機体
事故を起こしたのはボーイング767型機で、機齢は三十二年に達していた。もとは旅客機として造られ、複数の航空会社で二十年以上運航された後、二〇一五年に貨物機へ改修されている。
運航していたのはノースカロライナ州を拠点とする貨物専門航空会社「21エア」で、アマゾンのプライムエアブランドの下で飛行していた。この機体には過去に海外企業による所有の履歴があり、調査当局はその経緯にも注目しているという。
空港は三時間近く閉鎖された
事故の直後、マイアミ国際空港は緊急対応のためおよそ三時間にわたって地上業務を停止した。滑走路上には炎上した機体の残骸が残り、消防・救急隊が現場での対応にあたった。
空港周辺には倉庫や物流拠点が集まっており、平日昼間であれば多くの作業員が行き交う時間帯だった。今回は日曜日の発生だったため、周辺で働く人の数が比較的少なかったことが被害の拡大を防いだ可能性がある。
アマゾンの物流網への影響
アマゾンはプライムエアの名称で自社便による貨物輸送網を広げてきた。マイアミ国際空港は同社にとってカリブ海方面との中継拠点の一つになっており、プエルトリコ発着の便もそのネットワークの一部だった。
今回の事故によって同区間の便がどの程度影響を受けるかは、九月上旬の時点ではまだ明らかになっていない。同業他社を含め、老朽化した機体を使う貨物便の安全対策が改めて議論される可能性がある。
NTSBが追う着陸の瞬間
米国家運輸安全委員会(NTSB)は事故翌日の七日、委員長のジェニファー・ホーメンディ氏を現地に派遣し、最初の記者会見を開いた。調査班は、機体が着陸時にどのタイミングで滑走路をはみ出したのか、そしてパイロットがなぜ着陸復行を選ばなかったのかに焦点を当てている。
あわせて、着陸時の速度とブレーキの作動状況、当時の気象や風の条件、機体の整備記録なども調べる方針だ。速度が時速百三十マイルに達していたという情報が事実であれば、通常の着陸速度を大きく超えていたことになり、なぜその速度のまま停止できなかったのかが焦点になる。
貨物便特有のリスク
貨物便は旅客機と違い、機内の乗員数が限られる一方で、機体そのものは高齢化した中古機を改修して使うケースが少なくない。今回の767型機のように、旅客用として数十年飛んだ機体が貨物用に転用される例は業界内で珍しくないという。
整備記録や所有権の変遷が複雑になりやすいことも、貨物専用機ならではの事情である。今回の事故で調査当局が機体の履歴に注目しているのも、そうした背景を踏まえたものだ。
過去にも起きてきた滑走路逸脱
着陸時に滑走路を外れる事故は、貨物便に限らず世界各地の空港で繰り返し起きてきた。原因は速度超過やブレーキの不具合、悪天候などさまざまで、単一の要因に絞り込めないことが多い。
今回の事故がどの要因によるものかは、NTSBの調査結果を待つ必要がある。ホーメンディ委員長は、原因の特定には時間がかかるとの見通しを示しており、性急な結論は避ける姿勢を取っている。
まとめ
九月六日、マイアミ国際空港でアマゾン向けの貨物機が着陸時に滑走路を飛び出し、五人が死亡、五人が負傷した。事故機は三十二年前に造られ貨物用に改修された767型機で、NTSBは着陸の瞬間の判断と機体の整備・所有履歴の両面から原因を調べている。空港周辺で働く人々を巻き込んだ今回の事故は、高齢化した貨物機の運用リスクを改めて浮かび上がらせている。
出典・参考
- The Washington Post「Amazon cargo plane crashes after veering off runway, Miami airport」
- CNN「Amazon plane crash: 5 dead after cargo plane overruns Miami airport runway」
- Al Jazeera「At least five killed after Amazon cargo plane crash in Miami airport」
- CBC News「Investigators to focus on crucial landing moment in Amazon cargo plane crash」



