「春以来最大」の一夜
ウクレネルゴは30日朝、今回の攻撃を「今年の春以来最大規模」と公式に認定した。被害を受けた施設の詳細は明かさなかったが、火力・水力の両系統が損傷を受けたとした。[2]
首都キーウでは路面電車とトロリーバスが運行を停止した。市当局は「節電への協力をお願いする」と市民に呼びかけた。
停電の対象となった4地域はキーウ、キーウ州、ポルタワ州、チェルニヒウ州だった。地域ごとに輪番で最大6時間の停電が実施された。
一部の病院はディーゼル発電機への切り替えを余儀なくされた。施設によっては燃料の備蓄が数日分しかないという情報が現場から上がった。
エネルギー相のハルシチェンコ氏は「被害の全容を確認中だ」と述べるにとどめた。復旧の具体的な見通しを問われても、明確な答えを示さなかった。[2]
191機が一夜に飛んだ
ウクライナ空軍の集計では、ロシア軍は191機の飛翔体を使用した。内訳は無人機167機、弾道ミサイル13機、巡航ミサイル11機だった。[3]
迎撃に成功したのは127機だった。残る64機については、電子妨害での撃墜か農村部への誘導に成功したと空軍は発表した。
攻撃は東部ハルキウから南部オデーサまで広域に及んだ。エネルギー省は、主な狙いが火力発電所と水力施設だったと分析している。
9月に入り、ロシアはエネルギー施設への攻撃を週に2〜3回のペースで続けてきた。今回はその規模を大きく上回り、今年で最大と記録された。[3]
空軍の報道官は「複数の拠点から同時に放った組織的な攻撃だ」と述べた。防空システムを意図的に飽和させる戦術だった可能性があるとした。
子どもが死んだ土地
保健省の発表によると、死者は国内複数の地点に及んだ。ミコライウ州で2人、ドニプロペトロウシク州で3人が確認された。[4]
ドニプロペトロウシク州で亡くなった3人のなかに、10歳未満の子どもが含まれていた。ゼレンスキー大統領がSNSで名前と年齢を明かした。
負傷者は計27人に達した。ドニプロの市民病院では深夜から朝にかけて手術が続いたと地元紙が伝えた。
ゼレンスキー氏は「ロシアは暖かく眠る権利まで奪おうとしている、子どもが死んだ」と声明で訴えた。 欧米各国の首脳に電話し、防空システムの追加供与を求めた。
国連人道問題調整事務所は「民間人への攻撃に深刻な懸念を表明する」とロシアを批判した。[4]
「電力が武器になっている」
EUのカラス外交安保上級代表は「インフラへの攻撃は国際人道法の重大な違反だ」と非難した。緊急の電力支援を検討するとも表明した。[5]
米国務省の報道官も「民間インフラへの攻撃を強く非難する。ウクライナへの支援を継続する」と声明を出した。
首相のシュミハリ氏は「ロシアは冬が来る前に国民の心を折ろうとしている」と議会で訴えた。「電力が武器として使われている」という言葉に、野党も反論しなかった。[1]
ロシア国防省は「ウクライナの軍事・エネルギー関連施設を精密攻撃した」と主張した。民間施設への意図的な攻撃は否定している。
ロシアの主張とウクライナの発表が食い違う部分は多い。現地調査が進めば、被害の実態はより明確になるだろう。
冬の入り口で切れた電力
ウクライナでは例年10月から暖房シーズンが始まる。今年のキーウは10月1日から最低気温が10度を下回り始めた。
ウクレネルゴの分析では、今年夏までの攻撃でウクライナの発電容量の約30%が失われたとされる。[2] 冬の需要ピーク時に不足が生じる見込みだ。
欧州各国からの発電機調達や電力融通が進んでいるが、現場からは「量が足りない」という声が上がっている。
エネルギーアナリストのセルヒー・エルミライウ氏は「今回の攻撃は修復に数週間かかる可能性がある」と見通しを述べた。この冬の電力不足は避けられないとも語った。
ウクライナ政府は節電を求めるとともに、市内5か所に非常用の暖房避難所を設置すると発表した。[1]
欧米が支援を確認、ロシアは反論
ゼレンスキー大統領は攻撃後、欧米各国首脳に電話し防空システムと発電機の緊急供与を求めた。複数の国が前向きに検討すると答えたと報じられている。
NATO事務総長は「加盟国がウクライナのエネルギーインフラ保護に協力する準備がある」と表明した。[5]
一方、ロシア外務省の報道官は「攻撃は軍事目標のみを対象にしている。民間施設への被害はウクライナ側の宣伝だ」と述べた。
欧州議会は30日夜に緊急声明を採択し、ロシアの攻撃を「エネルギーテロ」と表現した。EU加盟国に制裁の強化を求めた。
この表現についてロシア大使館は強く反発し、「的外れな誹謗中傷だ」と否定した。対立は国際社会の議論としても続いている。
まとめ
- 191機の攻撃は子どもを含む7人を殺し、暖房シーズン直前のキーウから電気を消した。
- 「冬が来る前に電力を奪いに来た」という首相の言葉通り、この攻撃は生活への直接的な打撃だった。
- 欧米の支援継続が確認される一方、ロシアとの応酬が続く。来週以降の国際的な動きに注目が集まる。






