2種の巡航ミサイルを海中から発射
北朝鮮の朝鮮中央通信は15日、ミサイル総局が14日に日本海側で潜水艦発射型の戦略巡航ミサイル2種を試射したと伝えた。試験には朝鮮労働党中央委員会の金正植第1副部長、張昌河ミサイル総局長、海軍の水中兵器部門の技術者らが立ち会ったという。[1]
北朝鮮側は、水中戦闘システムの動員態勢を点検し、海軍の戦略任務遂行能力を高める目的だったと説明した。近隣国の安全に悪影響はなかったとも主張している。ただし、飛行距離、飛行時間、標的、命中精度は公表していない。
韓国軍合同参謀本部は、発射前から飛行の終末段階まで複数の手段で追跡したと説明した。韓国軍の分析では、1種は垂直発射装置、もう1種は魚雷発射管から発射された。 北朝鮮の発表だけでなく、韓国軍も発射そのものを探知している。[1]
AP通信も合同参謀本部の説明を報じ、今回が北朝鮮にとって約3年ぶりの水中発射ミサイル試験だとした。北朝鮮が2023年に公開した潜水艦「金君玉英雄艦」が使われた可能性はあるが、朝鮮中央通信は発射母体を明示していない。[2]
発射母体は公式には明示されていない
北朝鮮が公開した写真には潜水艦と水面を破るミサイルが写る。聯合ニュースやAP通信は、その外観から金君玉英雄艦が使われた可能性を指摘した。だが、写真だけで艦名、潜航状態、発射深度まで確定することはできない。
金君玉英雄艦は旧式のディーゼル潜水艦を改造したとみられ、北朝鮮は戦術核攻撃潜水艦と位置づけてきた。公開時から、船体の安定性、搭載量、長期間の隠密航行といった実用面には外部の疑問があった。約3年間、同艦からと確認できる兵器試験が伝えられなかったことも、その見方を強めていた。
今回の試射は、その疑問をすべて解消するものではない。確認できたのは、北朝鮮が2方式の水中発射を行い、韓国軍がそれを追跡したことだ。どの艦が、どの深度で、どれだけの時間潜航し、再装填を含む一連の任務を遂行できるかは未確認である。
垂直発射と魚雷発射管では役割が違う
潜水艦から巡航ミサイルを撃つ方法は一つではない。魚雷発射管を使えば、既存の潜水艦でも改修の余地がある。一方、垂直発射装置は専用の区画と発射筒を必要とするが、複数のミサイルを短い間隔で発射しやすい。
2方式を同じ試験で示したことは、北朝鮮が一つの弾種だけでなく、潜水艦の兵器運用全体を確かめようとしている可能性を示す。韓国紙ジャパンタイムズが紹介した専門家分析では、垂直発射は魚雷発射管より短時間に多く発射でき、防御側の警戒時間を縮め得る。[3]
ただし、巡航ミサイルは海面近くを飛べる一方、速度や経路、誘導精度によって脅威の性質が変わる。今回、北朝鮮は性能値を示していない。「戦略」という呼称だけを根拠に、核弾頭を搭載した、実戦配備された、迎撃不能になったと断定することはできない。
北朝鮮は試験が「戦争抑止力」の信頼性を示したと説明した。これは北朝鮮側の政治的・軍事的な位置づけであり、核弾頭との統合を第三者が確認したという意味ではない。見出しや本文では、北朝鮮の主張と観測された発射を混ぜない必要がある。
海中発射が防御側へ与える負担
地上発射型ミサイルは、発射地点や移動式発射台の行動を衛星や航空機で追跡できる場合がある。潜水艦は海中を移動するため、発射地点の候補が広がる。防御側は陸上の発射基地だけでなく、港湾、沿岸、周辺海域を継続して監視しなければならない。
潜水艦の最大の価値は、相手の先制攻撃を受けた後も反撃手段を残せることにある。だが、その能力には静粛性、航続時間、通信、乗員訓練、整備、弾薬の安全管理が必要だ。ミサイルを一度発射できたことと、海軍が継続的な抑止任務を担えることの間には大きな距離がある。
今回の試験は、その距離を縮める工程の一つと見るのが妥当だ。北朝鮮は12日にも平壌周辺から複数の弾道ミサイルを発射している。短期間に異なる兵器を見せることで、地上と海中の両方から圧力をかけられると示す狙いがある。[4]
軍事的な圧力はミサイルだけではない。TechCreateは、北朝鮮系とされる集団がAIを使った韓国金融機関へのサイバー攻撃も報じた。発射試験とサイバー攻撃は別の事件だが、韓国側が複数領域の警戒を同時に求められている点は共通する。
次に確かめるべきは継続運用
次の焦点は、同じ潜水艦が再び出港し、潜航状態から安定して発射できるかである。弾道ミサイルの試験、複数発の連続発射、長期航海、海軍への正式配備が確認されれば、今回より一段進んだと評価できる。
反対に、写真公開だけが続き、航海や再試験が確認されなければ、運用能力にはなお制約がある。韓国軍がどの時点で探知したか、追跡を継続できたかも、防御側の対応力を測る材料になる。
今回確認されたのは、水中から異なる2方式で巡航ミサイルが発射されたという事実である。 その事実は軽くない。一方で、発射艦、性能値、核弾頭との統合、実戦配備は別々の確認が必要だ。発表の強い言葉より、次の試験と継続運用を追うべき段階に入った。
まとめ
- 北朝鮮は潜水艦発射型の戦略巡航ミサイル2種を試射し、韓国軍も発射を追跡した
- 垂直発射装置と魚雷発射管の併用は運用の幅を示すが、発射艦と性能値は公式に確定していない
- 実戦的な脅威の大きさは、長期航海、再発射、弾頭統合、正式配備を継続して確認する必要がある
出典・参考
- 聯合ニュース「N. Korea fires strategic cruise missiles, possibly from nuclear attack submarine」(2026年10月15日)
- AP通信「North Korea holds first underwater-launched missile tests in nearly 3 years」(2026年10月15日)
- The Japan Times「North Korea tested two types of sub-launched cruise missiles」(2026年10月15日)
- AP通信「North Korea fires multiple ballistic missiles, adding to streak of weapons tests」(2026年10月12日)







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