NTTドコモビジネスXとは?3つの仕事で企業を支える会社
たとえば、通販会社が「購入後の案内を届けたい」「リピートされない理由を知りたい」「売上データを調べたい」と考えたとします。こうした企業側の困りごとに、通信の仕組みや分析ツール、専門家の支援を提供するのが同社の仕事です。
公式に掲げる事業は、次の3つです。表では、それぞれを身近な仕事に言い換えました。[3]
| 事業 | やさしく言うと | 代表的なサービス・仕事 |
|---|---|---|
| コミュニケーション・サービス | お客さんに必要な連絡を届ける | SMS送信、電話・メールを組み込むNTT CPaaS |
| CX/デジタルマーケティング | お客さんの気持ちや行動を理解する | 顧客アンケート、サービスの利用状況の分析、会員IDの管理 |
| データ活用ソリューション | 社内のデータを整理し、判断に使う | Spotfireなどの分析ソフト、データの統合・管理 |
CXは「Customer Experience」の略で、商品を探してから購入し、問い合わせるまでの顧客体験を指します。DXは、デジタル技術で仕事や事業の進め方を変えること。同社の「X」には、このCXとDX、さらに挑戦を続ける意味が込められています。[1]
NTTドコモ、NTTドコモビジネスとの違い
NTTドコモビジネスとNTTドコモビジネスXは、別の法人です。 名前が似ているため、会社概要や売上を調べるときは、末尾の「X」まで確認すると混同を防げます。
NTTドコモは個人向け通信などを、NTTドコモビジネスは法人向けのICTサービス・ソリューションを広く展開しています。NTTドコモビジネスXは同じドコモグループの中で、顧客との連絡やマーケティング、データ活用に事業の軸を置く会社、と捉えると分かりやすいでしょう。[4][3]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | NTTドコモビジネスX株式会社 |
| 旧社名 | NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 |
| 事業の発足 | 2012年10月1日 |
| 本社 | 東京都品川区大崎 |
| 代表者 | 稲葉秀司氏 |
| 資本金 | 3億円 |
| 従業員数 | 244名(2026年4月時点) |
| 上場区分 | 未上場 |
会社データは採用情報と公式発表の会社概要に基づきます。従業員数には基準日があり、常に現在の人数を表すものではありません。[2][3]
歴史をたどると、マーケティングから事業を広げてきた
2026年に新しく生まれた会社ではありません。 出発点は、NTTグループのオンラインマーケティング関連事業をまとめた2012年にあります。
当時の発表では、NTTナビスペースを基礎に、NTTコミュニケーションズのマーケティング部門やNTTレゾナントのネット調査事業を統合し、2012年10月に業務を開始する計画でした。Webアクセス解析を手がけるデジタルフォレストの統合は、翌2013年1月とされています。[5]
その後の主な節目を見ると、顧客を理解する仕事から、連絡の仕組みや社内データの活用へと領域を広げてきたことが分かります。
| 時期 | 主な出来事 | 企業を見るうえでの意味 |
|---|---|---|
| 2012年10月 | NTTコム オンラインとして事業を開始 | マーケティング、調査、分析が出発点 |
| 2014年3月 | NPSを使った顧客ロイヤルティ支援を開始 | 顧客に選ばれ続ける理由を調べる領域へ |
| 2015年7月 | SMS送信サービスの提供開始 | 顧客との連絡を日常業務として支える領域へ |
| 2019年3月 | TIBCOと提携し、国内総代理店として販売開始 | データ分析・統合ソフトの提供を拡充 |
| 2025年1月 | NTT CPaaSの提供開始 | SMS・電話・メールを業務システムにつなぐ |
| 2026年1月 | NTTドコモビジネスXへ社名変更 | 現在の事業領域を社名で表す |
沿革は同社の採用情報、TIBCOとの提携発表、NTT CPaaSの提供開始発表、社名変更発表を基に整理しました。[2][6][7][1]
この歴史から読み取れるのは、「顧客を知る」と「顧客に働きかける」の両方を増やしてきた会社だということです。アンケートで不満を知るだけでなく、必要な案内を届けたり、その結果を分析したりするところまで、支援できる仕事を広げています。

売上高は178.3億円。数字から何が分かる?
会社がマイナビに掲載する企業概要では、2026年3月期の売上高は178.3億円です。NTTやNTTドコモのグループ全体の売上と取り違えないようにしましょう。[2]
これは会社掲載の採用情報で確認した数字です。本稿で確認した資料だけでは、3事業それぞれの売上や営業利益、継続課金の割合までは分かりません。
| 確認したい数字 | 本稿で確認できたこと | 分析で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 会社の売上規模 | 178.3億円/2026年3月期 | 売上は利益ではない |
| 事業別の売上 | 内訳を確認できず | SMSやSpotfireの売上比率を推定しない |
| 営業利益・事業別利益 | 確認資料からは把握できず | 高収益企業とは断定できない |
| グループ外取引 | 採用情報では多くを占めると説明 | 正確な比率や主要顧客への依存度は不明 |
同社は採用情報で、売上構成の多くがグループ外との取引であると説明しています。少なくとも、NTT内部の仕事だけを担当する会社、という理解では実態を捉えきれません。[2]
一方、売上が大きくても、通信の仕入れ費用やソフトの調達費、開発・支援にかかる人件費が増えれば、手元に残る利益は変わります。企業分析では、売上の規模と、利益を生む仕組みを分けて見ることが大切です。
どうやって稼ぐ?お金の流れを3つに分ける
同社の商売を理解するには、サービスを使う企業が何に対価を払うのかを考えると整理できます。大きくは「使った分の料金」「ソフト・クラウドの利用料金」「導入や改善を手伝う料金」という見方です。
これは公式の事業別売上を示す区分ではなく、公開されているサービスと料金体系を基にした整理です。実際の契約には複数の要素が含まれます。
1. SMSや電話を「使った分」で稼ぐ
SMSは、携帯電話番号宛てに届く短いメッセージです。企業が予約の確認や認証コード、支払いの案内を送る際には、大量の送信を安定して行う仕組みが必要になります。
空電プッシュの公式FAQでは、初期費用、月額基本料金、配信通数に応じた料金を組み合わせ、利用規模などに応じて見積もると説明しています。企業の連絡業務が続き、送信が発生するたびに利用料金が生まれる仕組みです。[8]
NTT CPaaSでは、こうした通信機能を企業のシステムに組み込めます。CPaaSは、電話やメッセージなどをクラウド経由で使えるようにするサービスのこと。APIは、その機能を別のシステムから呼び出す窓口だと考えてください。[7]
たとえば「予約が入ったらSMSを送る」「電話で受けた内容を次の対応につなぐ」といった仕事を組み立てられます。公式のVoice料金表でも、発信先や利用機能に応じ、通話時間などを単位に課金する形が確認できます。[9]

このモデルでは、利用企業が増えるだけでなく、1社あたりの使い道が増えることも売上につながり得ます。ただし、送信量が増えても単価が下がれば、売上や利益が同じ割合で増えるとは限りません。
2. 顧客を理解するツールと、改善の支援で稼ぐ
商品が売れた理由や、顧客が離れた理由は、売上の表だけでは分かりません。そこで企業は、アンケートを実施したり、サービスの使われ方を調べたりします。
同社は、顧客がどれだけ他人に勧めたいと思うかを測るNPSに関わる支援や、分析ツール「NPX Pro」を提供しています。NPX ProにはSMSでアンケートを届ける機能もあり、顧客の声を集める仕事と、連絡を届ける仕事がつながっています。[10]
この領域の対価は、ツールの利用や、調査・分析・改善支援の契約に対応します。継続利用の具体例として、SNS上の投稿などを分析する「Buzz Finder」の利用規約には、初期導入料金と月額利用料金が定められています。[11]
ツールを契約して終わりではなく、「誰に聞くか」「結果をどう読むか」「何を改善するか」まで企業を支援する点が、この事業を理解する手がかりです。個別サービスの料金や契約条件は、それぞれ確認する必要があります。
3. 分析ソフトの販売と、使いこなすための支援で稼ぐ
もう一つが、企業向けソフトを届け、仕事で使える状態にする事業です。2019年のTIBCOとの提携発表では、国内での営業活動と顧客支援を引き継ぐことが示されていました。[6]
ここでは、ソフトの利用権を販売する仕事に加え、データをつなぐ、分析画面を作る、担当者に使い方を教える、といった支援が重要になります。ソフトを買うだけでは、社内に散らばるデータが自動で整理されるわけではないからです。
自社のサービスを提供する面と、他社の優れた製品を企業に届ける面を併せ持つ。このため、同社全体を一つの月額課金ソフトだけで稼ぐ会社として見ると、仕事の広がりを見落とします。
Spotfireとの関係は?日本での販売・活用を支える立場
Spotfireは、データをグラフなどで可視化し、傾向や原因を調べるための分析ソフトです。メーカーの公式パートナー一覧には、NTTドコモビジネスXが日本の販売代理店として掲載され、トレーニングも案内されています。[12]
つまり、Spotfireは製品の名前、NTTドコモビジネスXは日本でその販売や活用を支える会社です。両者を同じものだと考えず、「どの製品を、誰から買い、誰に導入を手伝ってもらうか」で捉えると分かりやすくなります。
同社は2026年1月にもSpotfire 14.6の提供開始を発表しています。工場で品質のばらつきを調べる、といった業務に関わる製品を扱うことは、同社のデータ活用事業を理解する具体例になります。[13]

操作のイメージやExcelとの違いは、「Spotfireとは?できること・料金・Excelとの違いを解説」で、工場の不良率を例に説明しています。
強みはどこにある?実績と仕組みから考える
SMSには、市場での実績がある
同社は2026年1月、ミックITリポート2025年12月号を根拠に、SMS送信サービスがA2P-SMS国内法人市場で7年連続、売上シェア1位になったと発表しています。A2Pは、企業のシステムから個人へメッセージを送ることです。[14]
これは、特定の調査・市場区分での実績です。通信業界全体で1位という意味でも、3事業すべてで優位にあるという意味でもありません。それでも、企業向けSMSが同社の実績を示す分野であることは読み取れます。
「調べる」と「届ける」を組み合わせられる
NPX ProとSMSの組み合わせのように、別々に見える事業が一つの仕事につながる場合があります。たとえば、購入後のアンケートを送り、回答を分析し、改善が必要な顧客対応を見つける、といった流れです。[10]
企業側から見ると、複数の仕事をまとめて相談できることに価値があります。同社側から見ると、既存顧客に別のサービスを提案する機会になり得ます。ただし、組み合わせられることと、実際に売上が増えていることは別で、効果を測るには追加契約の実績が必要です。
自社開発と、海外企業との提携を使い分ける
NTT技術ジャーナルの2026年6月号では、担当者が空電プッシュの内製開発について説明する一方、NTT CPaaSについてはInfobipのOEM製品を基に日本向けに対応していると話しています。OEMとは、他社の製品を基に自社ブランドのサービスとして提供する形です。[15]
この組み合わせは、すべてをゼロから作る負担を抑えながら、提供できる機能を増やす方法と考えられます。一方で、自社の開発・運用能力に加え、提携先の製品方針や契約条件も、事業を見るうえでの確認点になります。
競合はどこ?事業ごとに比較すると見えてくる
競合を一社に絞るより、顧客が解決したい仕事ごとに比べる方が実用的です。SMSの送信先を選ぶ企業と、データ分析の支援会社を探す企業では、比較する相手が違うためです。
以下は各社の公式サービス内容を基にした、編集部による比較対象の整理です。実際の商談で競合した事実や、価格・性能の優劣を示すランキングではありません。
| 比較する仕事 | 比較対象になる企業・サービス | 見比べたいポイント |
|---|---|---|
| 企業からSMSを送る | アクリート「SMSコネクト」 | 送信量に応じた費用、管理画面、既存システムとの接続、運用支援 |
| 電話やメッセージをシステムに組み込む | Twilio | 必要な通信機能、開発資料、日本での導入・サポート体制、総費用 |
| 顧客体験やマーケティングを改善する | トランスコスモス | 調査・ツール導入に加え、サイト運用や顧客対応まで任せたいか |
| データを整理し、分析を業務に生かす | ブレインパッド | 製品導入を中心にするか、分析手法の開発やデータ基盤づくりまで頼むか |
アクリートは、Web管理画面とAPIでSMSを送る「SMSコネクト」を提供しています。Twilioは、メッセージや音声通話などのAPIを展開しており、通信機能をシステムに組み込む用途で比較できます。[16][17]
トランスコスモスは、デジタルマーケティング、EC、コンタクトセンターなどを組み合わせて顧客体験を支援する会社です。ブレインパッドは、データ活用の戦略づくりから、基盤構築、分析・アルゴリズム開発までを支援しています。両社とも、重なる領域と事業範囲の違いを踏まえて比べる必要があります。[18][19]
なお、InfobipはNTT CPaaSを共同開発した提携先です。似た技術を持つ会社でも、競争する関係だけとは限りません。Spotfireのメーカーと国内販売を担う同社についても、製品を供給する側と届ける側の役割を区別しましょう。[7][12]
今後の成長を見るなら、3つの数字と動きに注目
公開されている事業内容から考えると、成長を見極めるには、会社全体の売上だけでなく、利用の広がりと利益へのつながりを見ることが大切です。以下は会社の業績予想ではなく、事業の仕組みに基づく分析の視点です。
一つ目は、顧客数と1社あたりの利用量です。 SMSを導入した企業が、電話やメール、別の業務にも利用を広げれば、取引を増やす余地があります。逆に、通数の増加が単価の下落で相殺されていないかも確認したいところです。
二つ目は、複数サービスの契約が増えているかです。 アンケート、メッセージ送信、分析の支援を組み合わせられても、顧客側で別々に調達されれば、その強みは売上につながりにくくなります。導入事例では、実際にどこまでまとめて利用しているかを見ると具体像がつかめます。
三つ目は、売上が増えたときに利益も残るかです。 ソフトや通信の提供を広げるには、開発、インフラ運用、顧客支援が必要です。新サービスの発表数だけでなく、これらの費用を含めた収益性を確認できると、より深く企業を分析できます。
同社の特徴は、連絡・顧客理解・データ分析を持っていること。その幅広さを、顧客の仕事の改善と継続的な取引に結び付けられるかが、今後を見る一つの軸になります。
よくある質問
NTTドコモビジネスXの読み方は?
「エヌティティドコモビジネスエックス」です。公式の社名変更発表でも、Xを「エックス」と表記しています。[1]
NTTコム オンラインとは別会社になった?
公式発表では社名の変更です。旧社名のNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションから、2026年1月1日付で現在の社名に変わりました。この記事で扱う事業の歴史は、2012年にさかのぼります。[1][5]
上場している?売上はいくら?
公式プレスリリースの会社概要では未上場です。会社掲載の採用情報では、2026年3月期の売上高は178.3億円とされています。NTTドコモビジネスなど、名前の似た別会社の決算と混同しないよう注意してください。[3][2]
まとめ
- 顧客への連絡、顧客の理解、データ活用を支える企業。 2012年のマーケティング事業を起点に領域を広げ、2026年に現在の社名へ変わりました。
- 稼ぎ方は、通信の利用料金、ソフトの利用・販売、導入や改善の支援の組み合わせ。 売上高178.3億円だけで、事業別の比率や利益率まで判断することはできません。
- 競合比較も、成長の評価も、仕事の単位で見る。 SMS、通信API、顧客体験、データ分析を分けて比べると、同社に何を期待でき、何を追加確認すべきかが分かります。
出典・参考
情報確認日:2026年9月30日。サービスの料金・機能は契約や時期により変わります。カバーはNTTドコモビジネスXの社名変更発表で配布された公式ロゴ(出典1)を使用しています。
- NTTコム オンライン「社名を『NTTドコモビジネスX』に変更」(2025年12月1日)
- NTTドコモビジネスX掲載「新卒採用・会社概要」マイナビ2028(売上・従業員数・沿革)
- NTTドコモビジネスX「社名変更とともにブランドメッセージを刷新」(2026年1月5日)
- NTTドコモグループ「ドコモグループ会社一覧」
- NTT Communicationsほか「NTT Com Group to Establish New Company, NTTCom Online Marketing Solutions Corporation」(2012年8月1日)
- NTTコム オンライン「TIBCO Software Inc.と事業提携、国内総代理店として販売開始」(2019年3月6日)
- NTTコム オンライン「コミュニケーション・APIサービス『NTT CPaaS』の提供を開始」(2025年1月8日、1月29日追記)
- 空電プッシュ「よくある質問」(料金体系・機能)
- NTTドコモビジネスX「NTT CPaaS Voiceご利用料金」
- NTTコム オンライン「NPS分析ツール『NPX Pro』にてSMSアンケート機能の提供を開始」(2022年6月20日)
- NTTドコモビジネスX「Buzz Finder ご利用規約」(料金・利用期間)
- Spotfire「Partner Locator」(NTT DOCOMO BUSINESS Xの掲載)
- NTTドコモビジネスX「Spotfire 14.6」の提供開始発表(2026年1月15日)
- NTTドコモビジネスX「空電プッシュ、A2P-SMS国内法人市場において7年連続マーケットシェア1位獲得」(2026年1月22日)
- NTT技術ジャーナル「NTTドコモビジネスX株式会社」(2026年6月号、経営者・担当者インタビュー)
- アクリート「SMSコネクト」
- Twilio「Twilio製品」
- トランスコスモス「事業内容」
- ブレインパッド「事業について」




