LOMBYとは?何が確定し、何がこれからか
LOMBYは「人とモノの近距離輸送」の自動化を目指し、屋外向けのLM-Aを開発・運用している。今回の第三者割当増資は2026年8月31日に最終クローズし、発表額は3.87億円、累計調達額は7.47億円。マーキュリアインベストメントをリード投資家とし、スズキ、キャナルベンチャーズ、たましん系ファンド、ナブテスコ系ファンドが新たに参加した。資金使途として公表されたのは、量産体制の構築と国内数カ所への集中的な配置である。[1]
| 観点 | 2026年9月時点で確認できること | まだ確認できないこと |
|---|---|---|
| 製品 | LM-Aの現行仕様と導入フローを公開 | 販売価格、月額利用料、保守費 |
| 運用 | 公式サイトは2025年5月以降の運行情報として10台・11拠点を表示 | 全拠点が有償の商用運用か、実証を含むか |
| 資金 | シリーズAで3.87億円、累計7.47億円 | 量産台数、納入時期、受注残 |
| 事業性 | 南大沢で店舗配送の運用事例がある | 1便原価、稼働率、黒字化時期 |
10台・11拠点という数字はLOMBY自身の現在の表示であり、第三者監査を経た商用導入台数ではない。[2] 「多く走っている」ことと「採算が合っている」ことは分けて読む必要がある。
LM-Aは何を運び、どこまで走れる?
現行のLM-Aは、前後に2つの荷室を持つ。車体は長さ1,028mm、幅637mm、高さ928mm、重量140kg。前進の最高速度は6km/hで、長距離を高速で運ぶ車両ではなく、店舗や拠点の近距離商圏を歩行者に近い速度で結ぶ設計だ。[3]
| 項目 | 現行LM-Aの公表値 |
|---|---|
| 車体 | 1,028×637×928mm、140kg |
| 荷室 | 前方302×453×346mm、後方415×453×346mm |
| 速度 | 前進6km/h、後進3km/h |
| 路面対応 | 実用登坂10度、段差4cm |
| 小回り | 最小回転半径900mm |
| 認識・通信 | 3D LiDAR、カメラ、4G通信、遠隔サポート |
走行は、あらかじめ3Dマップ上でルートを設計し、カメラとLiDARで周囲を認識する。必要時はオペレーターが遠隔から支援し、障害物に応じて減速・停止・回避する。公道走行では、ロボットデリバリー協会の安全基準適合審査を通った機体を使い、走行地域を管轄する公安委員会へ届け出ると同社は説明している。[3]
経済産業省のガイドラインでは、この種の遠隔操作型小型車は長さ120cm、幅70cm、高さ120cm以下、最高速度6km/h以下で、歩行者と同様の交通ルールに従う。非常停止装置や遠隔監視・操作の体制も必要だ。[4] LM-Aのスペックだけで導入可否が決まるわけではなく、実際の歩道幅、勾配、段差、通信、横断箇所を現地で確かめる工程が欠かせない。
実証から量産へ、何が変わった?
LOMBYの歩みで重要なのは、機体開発だけでなく、店舗業務と公道運用を一体で試してきた点だ。スズキは2023年、車体ベースの設計、量産部品の活用、製造コスト低減を担い、LOMBYは試作、配送システム、実証を担当する共同開発に合意した。[5]
| 時期 | 事実 | 読み取れる変化 |
|---|---|---|
| 2023年3月 | スズキと共同開発に合意 | 試作から量産を意識した車体開発へ |
| 2025年5月 | 南大沢のセブン-イレブン2店舗で屋外配送を開始 | 注文、店頭積み込み、受け取りまで実運用へ |
| 2026年2月 | 東京都の取材時点で2店舗・計4台、毎日9時30分から20時まで稼働 | 継続運用のオペレーションを確認 |
| 2026年9月 | シリーズAを発表 | 量産体制と国内数カ所への配置を次の目標に設定 |
東京都の事業サイトによると、南大沢では7NOWの注文とロボットを連携し、店舗スタッフが対象機に商品を積み、到着後は利用者がアプリのQRコードで荷室を開ける。取材時点の配送範囲は店舗から約2kmで、2店舗・4台が毎日運行していた。[6] TBSも現地を取材し、セブン-イレブンの商品を運ぶ運用を報じている。[7] 公式サイトの10台・11拠点とは時点と集計範囲が異なるため、数字を足したり同一の商用実績として扱ったりはできない。
人の配達や構内ロボットと何が違う?
自動配送ロボットは、人の配達を一律に置き換える装置ではない。得意なのは、同じ拠点から半径数km以内へ、小さな荷物を繰り返し運ぶ場面だ。遠方、多量、階段、複雑な建物内まで一台で担う用途とは別物である。
| 比較軸 | 人による配達 | LM-A型の屋外配送 | 構内搬送ロボット |
|---|---|---|---|
| 主な範囲 | 広域で柔軟 | 店舗から約2kmなど近距離 | 工場・病院など限定敷地 |
| 速度 | 車両・自転車・徒歩で可変 | 最高6km/h | 施設ルールに依存 |
| 受け渡し | 対面や置き配 | 通知とQR解錠 | 作業者・設備と連携 |
| 強み | 例外対応、階段、大型荷物 | 定型ルート、夜間、反復配送 | 管理された環境での自動化 |
| 制約 | 人員確保と労務費 | ルート整備、遠隔監視、荷室容量 | 公道や一般住宅へ出にくい |
自動運転技術を事業として提供する際には、車両性能よりも運行責任とサービス設計が価値になる。May Mobilityの事業モデルを解説した記事でも、技術を売り切るのではなく運行を継続提供する構造を整理した。LOMBYでも、機体価格だけを見るより、店舗システムとの連携、地図更新、遠隔支援、保守を誰が持つかを確認したほうがよい。
また、カメラやLiDARから得るデータを通信し、状況に応じて動作を変える点はIoTの典型でもある。IoTの仕組みと導入の基本を押さえると、通信断、センサー故障、データ管理を含む運用課題を整理しやすい。
導入判断で確認すべき6項目
導入の起点は「ロボットを置きたい」ではなく、「どの便を、どの条件なら置き換えられるか」である。LM-Aの導入フローも、ヒアリング、現地実証、本格導入、稼働後の改善という順番を示している。[3]
- 配送密度:半径2km前後に、何件の注文がどの時間帯へ集まるか。
- 荷物適合:2つの荷室へ収まり、温度、傾き、振動の条件を満たすか。
- ルート適合:歩道幅、段差、坂、横断歩道、工事、通信の死角を走れるか。
- 店舗作業:注文照合、積み込み、清掃、充電、日常点検に何分かかるか。
- 遠隔運用:1人が何台を監視でき、介入や現地回収が何件発生するか。
- 採算:人の配達と比べ、1便原価と時間当たり完了便数がどう変わるか。
現時点で一般公開されていない重要情報は、機体または利用料金、契約期間、保守範囲、1人のオペレーターが支援できる台数、配送完了率、遠隔介入率、事故・停止時の責任分界である。南大沢で注文の2〜3割がロボット配送になることもあるという代表者の説明はあるが、正確な比率は非公表で、採算を示す数字ではない。[6]
3〜8週間後に追うべきは、今回の資金で配置する地域名、量産台数と納入時期、有償顧客、実際の配送件数、1便原価の開示だ。ここが出て初めて、「走れるロボット」から「増やせる配送事業」へ進んだかを判断できる。
まとめ
- LOMBYは、最高時速6kmのLM-Aと遠隔サポートを組み合わせ、店舗から近距離の住宅・屋外地点へ運ぶ日本発の自動配送サービスである。
- シリーズAの3.87億円は量産と複数地域への配置に向かうが、料金、受注、1便原価、稼働率は未公表であり、資金調達だけでは商用性を判断できない。
- 導入では機体性能より、配送密度、店舗作業、遠隔介入、現地回収を含めた1便当たりの運用設計を小規模実証で測ることが重要だ。
出典・参考
- LOMBY株式会社「自動走行ロボット『LOMBY』、シリーズAラウンドで3.87億円の資金調達を実施」(2026年9月28日)
- LOMBY株式会社「完全自律型ラストマイル配送をめざす自動配送ロボット|HOME」(2026年9月29日確認)
- LOMBY株式会社「自動配送ロボット LM-A」(2026年9月29日確認)
- 経済産業省「自動配送ロボットを活用した配送サービスのためのガイドライン Ver.1.0」(2023年5月)
- スズキ「LOMBY株式会社と自動配送ロボットの共同開発に合意」(2023年3月16日)
- 東京都 Tokyo 5G Boosters Project「技術実証から商用導入へ、地域に溶け込む自動配送ロボット『LOMBY』の挑戦」(2026年2月12日)
- TBS NEWS DIG「セブンの商品を配達する『LOMBY』…自動配送ロボットが物流業界の救世主に?」(2025年9月13日)






