「暖房シーズン直前の意図的攻撃だ」
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日午前、テレグラムへの投稿で「ロシアは暖房シーズンが始まる前にエネルギーインフラを系統的に破壊しようとしている。これは戦争犯罪だ」と訴えた。昨冬もロシアはキーウの変電所を集中的に攻撃し、市内の最大気温がマイナス14度に達した1月に最大24時間の停電が起きた経緯がある。
エネルギー省次官のニキータ・ポクリスツク氏は記者会見で「今回の攻撃は偶発ではなく、変電所の位置を把握した上での狙い撃ちだ。昨冬と同じ戦術だ」と述べた。ウクライナ政府はEUとG7に対し変圧器20基と復旧用資材の緊急供給を要請したと明らかにした。
「108機は今年最大の一斉攻撃だ」
ウクライナ空軍の発表によると、108機は2026年に入ってから最大規模の単日攻撃だった。空軍司令官のミコラ・オレシュク大将は「ロシアはイランとの武器取引を継続しており、シャヘドの供給は一向に途絶えない。桁が違う量のドローンを継続的に投入してくる」と警告した。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 発射ドローン数 | 108機 |
| 撃墜数 | 87機(80.6%) |
| 着弾数 | 21機 |
| 死者 | 12人 |
| 負傷者 | 34人 |
| 停電世帯 | 約38万世帯 |
防空システムの撃墜率80.6%は先月比3.2ポイント低い。ロシアがドローンを複数方向から同時接近させる戦術に変えたためで、迎撃コストが跳ね上がっている。軍事アナリストのイリナ・ヴォルコワは「これは迎撃弾の消費を強いることが目的だ。ドローン1機は安くても、パトリオット迎撃弾は1発数百万ドルする」と指摘する。
ロシア側の主張とNATOの対応
ロシア国防省はキーウへの攻撃を「ウクライナの軍事・エネルギーインフラへの合法的打撃」と位置づける声明を出した。NATOはただちに「市民を巻き込む攻撃は断じて容認できない」と声明を発表した。米国は翌日、パトリオット迎撃ミサイルの追加供与を表明し、EU各国もエネルギーインフラ修復支援の加速を表明した。
冬が近づくほど攻撃の有効性が上がる、という計算がロシア側にある。昨冬の経験で、電力施設への打撃が市民の心理に与える影響は大きいことが確認された。ウクライナが防衛費を削られている時期に、ロシアが攻撃頻度を上げてくるのは手に負えない状況だと専門家は見る。
ドイツとフランスはすでに変圧器の在庫調査に入っており、早ければ今週中に緊急供与の規模が発表される見通しだ。NATO加盟国がウクライナのエネルギー耐性を高めることが、戦況全体の鍵を握るという見方が欧州では広まっている。
まとめ
108機のシャヘド型ドローンによる大規模攻撃は、キーウで12人の命と38万世帯の電力を奪った。暖房シーズン直前を狙った攻撃にゼレンスキー大統領は「戦争犯罪」と断じ、欧米への支援要請を強めた。防空の撃墜率は先月を下回り、ロシアの戦術進化に追いつく難しさが浮かんでいる。「防空が追いつかない夜が続くかぎり、キーウの市民に選択肢はない」。
出典・参考
- Ukraine air force repels 108-drone attack on Kyiv, 12 killed – Kyiv Independent, September 10, 2026
- Ukrlenergy: Power restoration will take 72 hours – Suspilne Media, September 10, 2026
- Zelensky condemns systematic attacks on energy infrastructure – Office of President of Ukraine, September 10, 2026
- NATO statement on Kyiv attack – NATO, September 10, 2026



