物理法則を「学ぶ」AI——ワールドモデルとは何か
テキストや画像を学習する既存の大規模言語モデルとは異なり、Odysseyが開発するワールドモデルは物理法則や物体同士の因果関係をベースに訓練される。リアルタイムの3次元環境をシミュレートし、「この物体を押すと何が起きるか」を自律的に予測できるモデルを目指す。
技術は自動運転研究から派生しており、現在はロボット工学の訓練データ生成や防衛分野への応用が主な用途とされている。共同創業者のOliver Cameronは「ワールドモデルにとっての『GPT-3の瞬間』を実現したい」と語っており、汎用的な物理理解AIの実現に向けた野心を示している。社員数は55名で、ロンドン・チューリッヒ・パロアルトに分散している。
AmazonがNvidiaを「押しのけた」構図
今回の調達で特筆すべきは、ラウンドから外れた企業の存在だ。4カ月前のシリーズAにはNvidiaのベンチャー部門「NVentures」が出資していたが、シリーズBにその名前はない。代わりに筆頭出資者にはAmazon、AMD Ventures、Google GV、欧州系PEファンドのEQT、CIA系投資ファンドのIn-Q-Telなどが並ぶ。
投資と並行してAWSはOdysseyの優先クラウドパートナーとなり、Nvidiaに対抗するAmazon独自のAIチップ「Trainium」を供給することも合意された。AMD Venturesの参加と合わせると、今回のラウンドは「Nvidiaの対抗軸を形成しようとする勢力」による戦略的な結集に映る。
AI半導体覇権争いの新たな前線
Odysseyへの資金流入は、AI半導体市場の構図変化を映した一つのシグナルと読める。AIスタートアップの計算資源調達において、NvidiaのGPUが事実上の標準として君臨してきた一方、AmazonはTrainium、MicrosoftはMaia、GoogleはTPUと、各クラウド大手が独自チップの拡充を急いでいる。
Nvidiaがラウンドから外れた詳細な経緯は明らかにされていないが、OdysseyとAWSの戦略的提携が選択を促した可能性は高い。ワールドモデルというニッチな領域であっても、計算資源の提供者を選ぶことがスタートアップにとってより重要な意味を持つ時代に入りつつある。
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