全国平均は169円90銭
まず数字を並べておきたい。
資源エネルギー庁の燃料油価格の激変緩和措置は、8月20日から26日分の支給単価を1リットルあたり26.0円と決めた。
前の週は17.3円だったので、8.7円の拡大である。
補助単価が広がるのは3週ぶりだった。
補助が効いた結果として、店頭の全国平均は169円90銭にとどまっている。
逆に言えば、補助がなければ187円台に乗っていた計算になる。
小売価格が「4週ぶりの値上がり」で済んでいるのは、補助が同時に厚くなったからだ、という読み方ができる。
補助単価は週ごとに見直される仕組みで、市場の卸価格が上がった分だけ後追いで広がる。
先週の17.3円から今週の26.0円へという動きは、原油と為替がその間にどれだけ動いたかを映している。
なお全国平均はあくまで平均で、離島や輸送距離の長い地域では180円台の店も残っている。
自分の生活圏の給油所の表示と全国平均がずれていても、それ自体はおかしなことではない。
「補助がなければ187円」
家計の側から見ると、この構図は少し落ち着かない。
店頭価格は横ばいに近いのに、政府が肩代わりしている額のほうが増えているからだ。
つまり原油そのものの水準は、店頭の数字が見せているよりも上に行っている。
補助は市場価格に連動して毎週決まるので、原油が下がれば自然に縮む。
その意味では制度としては素直に動いている。
ただし補助の財源は税である以上、どこかで別の形の負担として戻ってくる。
暫定税率をめぐる議論がずっと続いているのも、この構図と無関係ではない。
給油のたびに気にする話ではないが、頭の片隅には置いておきたいところだ。
中東の停戦が切れた
原油が戻った直接のきっかけは、中東にある。
8月17日、米国とイランのあいだで結ばれていた戦闘終結の覚書が期限を迎えた。
米国側が延長に応じなかったと伝えられている。
覚書ではホルムズ海峡の封鎖解除と、一定期間の無料通航が定められていた。
その枠組みが切れたことで、海峡の通航をめぐる不透明感が戻った。
北海ブレント原油は1バレル91ドル台、米国産のWTIは85ドル台まで上昇している。
いずれも7月24日以来の高値水準にあたる。
ホルムズ海峡は世界の海上原油輸送の要衝で、日本が輸入する原油の大部分がここを通る。
海峡の状況が動けば、数週間遅れで日本の店頭価格が動く。
そういう順番になっている。
覚書が切れたからといって、ただちに海峡が閉じたわけではない。
日本向けを含むタンカーの通過は続いており、市場が織り込んでいるのは実害よりも先行きの読みにくさのほうだ。
それでも保険料や迂回航路の検討といったコストは、通航が続いている段階から静かに積み上がる。
原油の値段には、そうした見えにくい費用も混ざっている。
家計に効いてくる順番
原油の値動きが生活に届くまでには、いくつか段階がある。
最初に動くのがガソリンと灯油で、次に電気・ガス料金、その後に輸送費を経由して食品や日用品が続く。
今回のように補助でガソリンが抑えられている局面では、最初の段階が見えにくくなる。
見えにくいだけで、輸送コストのほうは先に上がっている可能性がある。
冬に向けて灯油の需要が立ち上がる前に、原油がどこで落ち着くか。
そこが次の分かれ目になりそうだ。
もっとも、原油価格は地政学以外の要因でも大きく振れる。
産油国の生産方針や、米国の景気指標ひとつで反転することも珍しくない。
いま高いから冬も高い、と決めつけるにはまだ材料が足りない。
当面は毎週公表される補助単価を見ておくと、原油の方向がつかみやすい。
単価が縮み始めたら、卸の側が落ち着いてきたという合図になる。
まとめ
- 経済産業省が26日に発表した24日時点のレギュラーガソリン全国平均は169円90銭で、4週ぶりの値上がりだった
- 8月20日から26日分の補助単価は1リットルあたり26.0円で、前週の17.3円から3週ぶりに拡大した。補助がなければ店頭は187円台の計算になる
- 背景には8月17日に期限を迎えた米イランの覚書がある。ブレントは91ドル台、WTIは85ドル台と7月24日以来の高値に戻っている
出典・参考
- 時事通信「ガソリン、169円90銭=補助金が押し下げ―経産省」(2026年8月26日)
- 共同通信「ガソリン169円90銭 4週ぶり値上がり」(2026年8月26日)
- 資源エネルギー庁「燃料油価格の激変緩和措置」支給単価(2026年8月20日〜26日分)
- 時事ドットコム「【データで見る】ホルムズ海峡の状況(海上輸送・船舶数/封鎖の影響)2026年」
- 日本経済新聞「日本向けなどタンカー6隻ホルムズ通過 原油4%安で衝突前水準近づく」
