AIが「人月換算」を壊す日——Infosysが恐れた未来
伝統的なITサービス企業は、エンジニアを頭数で積み上げ、工数(人月)を売る。Infosys、Wipro、TCSといったインド系大手が数十万人規模の従業員を抱えてきたのは、そのビジネスモデルを拡大するためだ。
Sikka氏はそのモデルを変えようとした人物だ。2014年から2017年にかけてInfosys CEOを務めた際、「AI First」戦略を推進し、自動化による生産性向上を模索した。しかし社内の抵抗を受け、創業一族との確執の末に辞任した。その後AIスタートアップVianAI Systemsを創業している。
今回立ち上げたHang Ten Systemsは、かつてInfosysで実現できなかったビジョンを外から実装しようとするものだ。エージェント型コード生成、再利用可能なAIスキル、業界ドメイン知識の三位一体で、ソフトウェアを「連続的に開発・修正・運用」するサービスを提供する。
「始めて1ヶ月」で既に複数顧客
資金調達を主導したMayfield Managing PartnerのNavin Chaddha氏は、「始めてまだ1ヶ月」のHang Ten Systemsにすでに顧客がいると語った。Siemens Gamesa Renewable EnergyやFreseniusといった大手企業との連携がすでに進んでいるという。
「伝統的なサービス企業は人員に比例してしかスケールできない」とMayfieldはコメントした。Hang Ten Systemsのアーキテクチャはその制約を根本から変えることを目指している。
取締役会にはYahoo共同創業者のJerry Yang氏が就任した。チームにはSAP、Infosys、VianAIの出身者が並ぶ。
ITサービス産業への問い
Hang Ten Systemsの登場は、規模で競ってきた伝統的なITサービス企業に根本的な問いを投げかける。AIエージェントが開発・テスト・保守を大幅に自動化できるなら、数万人規模のオフショア拠点の競争優位はどこに残るか。
同様のコンセプトを持つスタートアップはすでに複数存在する。Sikka氏の場合、インフォシスという業界の象徴的存在の内側から変革を試み、それが叶わなかった経緯がある。その文脈が今回の創業に独特の意味を与えている。
「伝統的なIT産業が終わるとは思っていない」とSikka氏は述べた。「ただ、そのやり方は抜本的に変わる」。
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