GPU比50%のコスト削減を実現
Jalapeñoは、TSMCの3nmプロセスで製造されるReticle-Size ASIC(単一露光工程で可能な最大ダイ面積を使用するチップ)だ。パッケージは1枚の大型コンピュートチップレットに6枚のHBM(High Bandwidth Memory)スタックを組み合わせた構成をとり、LLM推論に特化したメモリ帯域と計算効率を追求している。
BroadcomのCEO・ホック・タン氏によれば、Jalapeñoは現行のGPUベースのインフラと比較して推論コストを約50%削減できると見込む。電力効率(performance-per-watt)も「現行最先端のハードウェアを大きく上回る」としているが、具体的なベンチマーク数値は現時点では非公開だ。
9ヶ月という異例の開発スピード
今回の発表で特筆すべきは開発スピードだ。初期設計からTSMCへのテープアウト(製造向け最終設計データの提出)まで、わずか9ヶ月で完了したとOpenAIは説明している。これはハイパフォーマンス先端半導体における最速レベルのASIC開発サイクルだとされており、OpenAI自身のAIモデルを設計・最適化の一部に活用したことが開発スピードに貢献した。
Jalapeñoはとくに推論処理における高スループットと低レイテンシの両立を目指した設計で、エージェント型ワークロード(自律的なAIエージェントが複数ステップのタスクを実行する処理)での活用が主に想定されている。
Nvidiaへの依存低減が本質的な狙い
今回の動きの本質は、AIインフラのコントロール権をNvidiaから取り戻すことにある。OpenAIはこれまで、自社サービスの推論処理をほぼ全面的にNvidiaのH100/H200 GPUに依存してきた。独自チップによってその構造を変え、ギガワット規模のデータセンター展開コストを引き下げる狙いだ。
Jalapeñoの量産出荷は2026年末を目標としており、マイクロソフトとの共同データセンター計画「Stargate」での採用が見込まれている。今後数年間で段階的に展開を拡大していく計画だという。
ソース:
- OpenAI and Broadcom unveil LLM-optimized inference chip — OpenAI (2026-06-24)
- OpenAI unveils its first custom chip, built by Broadcom — TechCrunch (2026-06-24)
- OpenAI unveils first custom AI inference chip, Jalapeño — VentureBeat (2026-06-24)
- OpenAI and Broadcom Unveil Jalapeño — Bloomberg (2026-06-24)