ゲームの操作ログがロボットを動かす
General IntuitionのCEO、ピム・デ・ウィッテが掲げるのは「大規模行動モデル(Large Action Model)」という概念だ。
通常のAIモデルがテキストや画像を予測するのに対し、General Intuitionが学習させるのは「人間がゲーム内でとる行動のパターン」だ。
「私たちが作るのは、映像や音ではなく、ゲーム内でのアクション——つまり人間の動きの決定を予測するモデルです」とデ・ウィッテは語る。
ゲーム動画には、瞬時の判断・環境の変化への適応・物理的な制約のなかでの最適解探索が詰まっている。これらは、ロボットやAIエージェントが現実世界で動作するために必要な「直感的判断力」に対応するとGeneral Intuitionは考える。
Medal.tvがデータの源泉
General Intuitionの強みはデータアクセスにある。
同社はゲームプレイクリップ共有プラットフォーム「Medal.tv」と親会社を共有しており、月間アクティブユーザー1700万人が生み出す数十億本の操作動画を訓練データとして活用できる。
重要なのは、その規模感だ。デ・ウィッテによれば、自社モデルの訓練に必要なデータ量は「ClaudeやChatGPTと比べて1〜2桁少ない」という。特定ドメインの行動ログに特化することで、汎用LLMが抱えるデータ量の壁をバイパスする設計となっている。
投資家陣——ベゾスもシュミットも名を連ねる
今回のラウンドはKhosla Venturesがリードし、General Catalyst、Hedosophia、そしてジェフ・ベゾス個人、元Google CEOのエリック・シュミットらが参加した。
2025年10月の1億3400万ドル調達を含む累計調達額は4億5400万ドル(約660億円)に達する。
デ・ウィッテはゲームクリップ共有サービス「Medal.tv」の創業者でもあり、同プラットフォームで培ったゲーミングコミュニティへの知見とデータ資産をAI開発に転用する形で会社を立ち上げた。
ゲームクリエイターへの脅威ではない
注目すべきは、General IntuitionがPBC(公益法人)として設立されており、「ゲーム開発者やアーティストの代替を目指さない」とコミットしている点だ。
「AIはゲームに対してまだ何も実現できていない」とデ・ウィッテは言う。ゲームNPCの行動知性化や新しいインタラクション体験の創出を目指す姿勢は、生成AI批判の多いゲーム業界への配慮ともとれる。
当面の主な用途はゲームAI(NPC制御)とロボティクスだ。ゲーム環境で鍛えた行動モデルをロボットの物理動作に転用するアプローチは、DeepMindのAlphaGoや各種シミュレーション強化学習の流れを汲みながらも、よりコスト効率の高い手法を実現しようとしている。
ソース:
- General Intuitions $2.3B bet that video games can train AI agents for the real world — TechCrunch(2026年6月25日)
- General Intuition raises $320M at $2.3B valuation for AI frontier models based on gameplay — GamesBeat(2026年6月25日)
- General Intuition raises $320 million to develop AI from gaming — Axios(2026年6月26日)