スタートアップや外資テック企業からオファーを受けるとき、年収とともに提示されるのがストックオプション(SO)やRSU(Restricted Stock Units)だ。しかし、これらの「株式報酬」は課税のタイミングが複雑で、適切に対処しないと想定以上の税金を取られることがある。
SOとRSUの基本的な違い
| 比較項目 | ストックオプション(SO) | RSU |
|---|---|---|
| 仕組み | 将来の一定価格で株を購入する「権利」 | 条件達成で株式が「付与」される |
| リスク | 株価が行使価格を下回ると無価値 | 株価が下がっても一定の価値あり |
| 課税タイミング | 行使時+売却時 | ベスティング時(付与確定時)+売却時 |
| 多い企業 | [日本](/tag/japan)のスタートアップ | 外資テック企業(GAFAM等) |
SOの課税パターン
| SOの種類 | 行使時の課税 | 売却時の課税 | 税率 |
|---|---|---|---|
| 税制適格SO | 課税なし | 譲渡所得(株価 - 行使価格) | 約20% |
| 税制非適格SO | 給与所得(時価 - 行使価格) | 譲渡所得(売却価格 - 時価) | 最大55%+約20% |
税制適格SOと非適格SOの差は非常に大きい。たとえば、行使価格100円の株が上場時に1,000円になった場合、1,000株を行使すると利益は90万円。税制適格なら税金は約18万円だが、非適格の場合は給与所得として課税され、最大で約50万円の税金がかかる。
税制適格SOの条件
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 行使価格 | 付与時の時価以上であること |
| 権利行使期間 | 付与から2年以降、10年以内 |
| 年間行使上限 | 3,600万円以下(2024年改正で引き上げ) |
| 対象者 | 発行会社またはその子会社の取締役・従業員 |
| 譲渡制限 | 第三者に譲渡できないこと |
RSUの課税
| タイミング | 課税内容 | 税率 |
|---|---|---|
| ベスティング時 | 付与確定時の株価 × 株数 = 給与所得 | 所得税+住民税(最大55%) |
| 売却時 | (売却価格 - ベスティング時価格)× 株数 = 譲渡所得 | 約20% |
RSUの注意点は「ベスティング時に現金がないのに課税される」ことだ。たとえば、100万円相当のRSUがベスティングされると、約30〜40万円の税金が発生する。しかし、株をまだ売却していないため手元に現金がない。多くの外資企業では「Sell to Cover」(ベスティング時に一部の株を自動売却して税金を充当)の仕組みがあるが、そうでない場合は自分で資金を確保しておく必要がある。
[確定申告](/tag/tax-return)の注意点
| ケース | 確定申告の必要性 | やるべきこと |
|---|---|---|
| SOを行使した年 | 必要(非適格SOの場合) | 行使時の時価との差額を給与所得に加算 |
| 株式を売却した年 | 必要 | 譲渡所得を申告 |
| RSUがベスティングした年 | 多くの場合、源泉徴収で完了 | 外資の場合、外国税額控除の確認 |
| 海外株式を保有 | 必要(5,000万円超の場合は国外財産調書) | 為替差益にも注意 |
SOやRSUの税金は複雑であり、金額が大きくなるほど専門家の助けが必要だ。特にスタートアップのIPO直後やM&A時は、行使のタイミングと方法によって手取りが数百万円変わることがある。税理士への相談費用は、節税効果に比べれば微々たるものだ。
なお、本記事は税制の一般的な解説であり、個別の税務アドバイスではない。具体的な判断は税理士に相談されたい。
