2026年3月25日、テック業界で大きなニュースが相次いだ。ソニーとホンダの合弁EVブランド「AFEELA」の開発中止、OpenAIによるSoraアプリの終了、Armによる35年ぶりの自社チップ発表。
AIエージェントからEV戦略の転換、サイバーセキュリティまで。この日のニュースを7本に絞って振り返る。
3月25日の注目ニュース一覧
| # | トピック | 企業 | カテゴリ |
|---|---|---|---|
| 1 | AFEELA開発中止——ソニー・ホンダの合弁EV計画が白紙に | Sony Honda Mobility | EV・モビリティ |
| 2 | Soraアプリ終了、ディズニー10億ドル契約も解消 | OpenAI | AI・動画生成 |
| 3 | 35年ぶりの自社CPU「AGI CPU」を発表、Metaが初期顧客に | Arm | 半導体 |
| 4 | Claude Computer Use発表——macOS上でAIがデスクトップ操作 | Anthropic | AIエージェント |
| 5 | LiteLLMにサプライチェーン攻撃、月間9,700万DLに影響 | OSS | セキュリティ |
| 6 | Fauna Robotics買収で家庭用ヒューマノイド市場に参入 | Amazon | ロボティクス |
| 7 | Figma、MCPツール公開でAIエージェントがデザイン可能に | Figma | デザインツール |
ソニー・ホンダ「AFEELA」開発中止——10万ドルEVの夢が消えた
ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は3月25日、EVブランド「AFEELA」の開発と販売を中止すると発表した。初号機「AFEELA 1」と、開発中だった第2モデルの両方が対象だ。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年3月25日 |
| 対象車種 | AFEELA 1(Signature:102,900ドル / Origin:89,900ドル)+第2モデル |
| 当初計画 | 2026年末に納車開始、2027年に廉価モデル投入 |
| 中止理由 | ホンダが3月12日に電動化戦略を見直し、SHMに提供予定だった技術・資産が利用不可に |
| 予約者対応 | 予約金200ドルを全額返金 |
| JV(合弁)の今後 | 事業の方向性を再評価中 |
2022年に設立されたSHMは、ソニーのエンターテインメント技術とホンダの車両製造力を融合させる構想で注目を集めた。CES 2023やCES 2025でプロトタイプを披露し、「走るPlayStation」とも呼ばれた。
しかし、ホンダ自身のEV戦略転換が致命傷となった。 ホンダは3月12日、電動化のロードマップを大幅に見直すと発表。SHMに提供する予定だったプラットフォーム技術やサプライチェーンのリソースが使えなくなり、計画の前提が崩れた。
自動車業界では、ソニーという異業種の参入が「テック×モビリティ」の新たなモデルとして期待されていた。 その実験が終わったことは、EV市場の競争がいかに厳しいかを改めて浮き彫りにする。
OpenAI、Soraアプリ終了——ディズニー10億ドル契約も白紙に
OpenAIは、動画生成AIサービス「Sora」のスタンドアロンアプリとAPIを終了した。ローンチからわずか6カ月での撤退だ。同時に、ディズニーとの10億ドル規模のライセンス契約も解消された。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 終了対象 | Soraアプリ(スタンドアロン版)およびAPI |
| ローンチ時期 | 2025年末(約6カ月前) |
| ディズニー契約 | 10億ドル規模のライセンス契約を解消 |
| 背景 | サム・アルトマンCEOが安全性監督よりも資金調達・データセンター拡張に注力する方針にシフト |
| 新モデル開発 | コードネーム「Spud」の新モデル開発が進行中 |
| 資金調達 | 追加100億ドルの資金を確保 |
OpenAIは同時期に、従業員を2026年末までに約8,000人へ倍増させる計画も明らかにしている。研究開発組織からエンタープライズソフトウェア企業への転身を急いでいる格好だ。
動画生成AI市場では、Runway、Pika、Kling、Viduなどの競合が台頭している。OpenAIがSoraを引き上げた背景には、市場での差別化の難しさと、コアビジネスであるLLMへのリソース集中があるとみられる。
Arm、35年ぶりの自社チップ「AGI CPU」を発表——Metaが初期顧客
Armは、創業以来初となる自社設計の物理チップ「AGI CPU」を発表した。136コア・3nmプロセスで、AI推論ワークロードに最適化されている。
| スペック | 詳細 |
|---|---|
| コア数 | 136コア |
| プロセス | 3nm |
| 用途 | AI推論ワークロード |
| 初期顧客 | Meta(ローンチカスタマー) |
| その他顧客 | OpenAI、Cerebras、Cloudflare、SAP |
Armはこれまで、チップの「設計図(ISA)」をライセンスするビジネスモデルを貫いてきた。自社でシリコンを製造するのは、1991年にARM6プロセッサを出荷して以来、実に35年ぶりとなる。
Metaがローンチカスタマーとして名を連ねた点は重要だ。 Meta、OpenAI、Cerebrasといった顧客リストは、このチップがAIインフラの主戦場——データセンター向け推論処理——を狙っていることを示す。NVIDIAのGPU支配に対する新たな選択肢が生まれたことになる。
Anthropic「Claude Computer Use」——AIがmacOSを自律操作する時代
AnthropicはClaude CoworkとClaude Codeに「Computer Use」機能を搭載し、AIがmacOS上のデスクトップを自律的に操作できるようにした。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| Computer Use | Claudeがマウス・キーボードを使ってmacアプリを操作 |
| 対象プラットフォーム | macOS(Claude Cowork / Claude Code経由) |
| セーフガード | 各アクション実行前に安全性チェックを自動実行 |
| 関連発表 | Claude Code Auto Mode(手動承認を減らす新モード) |
加えて、AnthropicはEconomic Indexの調査結果も公開。経験豊富なClaudeユーザーほど、より慎重にイテレーションを重ね、高付加価値の作業に取り組む傾向があることを示した。
AIエージェントがブラウザやターミナルを超え、デスクトップアプリケーション全体を操作できるようになったことは、「人間のPC作業をAIが代行する」未来への大きな一歩だ。ただし、セキュリティやプライバシーの面では慎重な議論が必要になるだろう。
LiteLLMサプライチェーン攻撃——月間9,700万DLのOSSに悪意あるコード混入
PyPI上のLiteLLM v1.82.8に悪意あるコードが混入され、SSHキーやクラウド認証情報が窃取されるサプライチェーン攻撃が発覚した。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 影響パッケージ | LiteLLM v1.82.8(PyPI) |
| 月間ダウンロード | 約9,700万回 |
| 攻撃内容 | Python起動時にSSHキー・クラウド認証情報を外部送信 |
| 横展開リスク | Kubernetesクラスター間での横展開の可能性 |
| RSA Conference | AIセキュリティが2026年の最大テーマとして注目 |
LiteLLMは、複数のLLMプロバイダーを統一的に呼び出すためのOSSライブラリで、エンタープライズでの採用も進んでいる。月間9,700万ダウンロードという規模を考えると、影響範囲は極めて広い。
同日開催中のRSA Conference 2026でも、AIセキュリティが過去最多のノミネーションを集めた。AIガバナンス、エージェントセキュリティ、ランタイム保護、AI駆動の脅威検知など、AIを守る技術とAIを悪用する脅威の両面が議論されている。
ソフトウェアサプライチェーンの信頼性は、AI時代の最重要インフラ課題のひとつだ。
Amazon、Fauna Robotics買収——家庭用ヒューマノイド市場に参入
Amazonが家庭用ロボットスタートアップのFauna Roboticsを買収した。コンシューマー向けヒューマノイドロボット市場への本格参入を示すものだ。
Amazonは倉庫内のロボット自動化ではすでに業界をリードしている。Kiva Systems(現Amazon Robotics)の買収以降、フルフィルメントセンターでのロボット稼働台数は75万台を超えている。
今回の買収は、その自動化の知見を「家庭」という新たな領域に持ち込む試みだ。AmazonのAlexaエコシステムと家庭用ロボットが統合されれば、スマートホームの概念が大きく変わる可能性がある。
Figma、MCPツール公開——AIエージェントがデザインキャンバスを操作
FigmaがMCP(Model Context Protocol)対応ツールを公開し、AIエージェントがFigmaのライブキャンバス上で直接デザイン作業を行えるようになった。
MCPはAnthropicが提唱したプロトコルで、AIモデルが外部ツールと連携するための標準規格だ。Figmaがこれに対応したことで、デザインワークフローにAIエージェントを組み込む道が開かれた。
| 可能になること | 詳細 |
|---|---|
| デザイン生成 | AIがプロンプトからUIコンポーネントを直接キャンバスに配置 |
| デザイン編集 | 既存デザインの修正・最適化をAIが実行 |
| プロトタイプ連携 | デザインとコードの橋渡しをAIが担当 |
コーディングにおけるAIアシスタントが当たり前になりつつあるように、デザイン領域でもAIとの協働が標準化していく流れだ。Figmaの対応は、その転換点のひとつになるだろう。
3月25日のポイント
この日を象徴するキーワードは「撤退と参入」だ。
ソニー・ホンダはEVから撤退し、OpenAIは動画生成から引き上げた。一方で、Armは自社チップ市場に参入し、AmazonはヒューマノイドロボットへAIエージェントはデスクトップ操作へと領域を広げた。
テック企業は「何でもやる」時代から「何に集中するか」を問われる時代に移っている。選択と集中——その判断の速度と精度が、今後の勝敗を分けるのだろう。
明日は何が動くだろうか。
出典・参考
- Sony Honda Mobility公式 — AFEELA開発中止発表:
- TechCrunch — Sony and Honda give up on their joint EV project:
- The Neuron — Everything that Happened in AI on March 25 2026:
- Tech Startups — Top Tech News Today March 24 2026:
- GlobeNewsWire — 2026 Cybersecurity Excellence Awards:

