米司法省は2026年3月19日(現地時間)、スーパーマイクロ・コンピューター(Super Micro Computer)の共同創業者イー・シャン・リョウ(Yih-Shyan Liaw、通称「ウォーリー」)氏と、同社台湾オフィス勤務のルエイ・ツァン・チャン(Ruei-Tsang Chang、通称「スティーブン」)氏、ティン・ウェイ・サン(Ting-Wei Sun、通称「ウィリー」)氏の3名を、輸出管理法違反・密輸・政府詐欺の共謀罪で起訴した。リョウ氏はカリフォルニア州で逮捕後に保釈。チャン氏は現在も逃走中とされる。
ドライヤーでシール番号を剥がす——巧妙な密輸スキーム
起訴状によれば、3名はNvidiaの高性能GPU搭載サーバー計25億ドル相当を、東南アジアに拠点を置く企業を経由してリルート。そのうち約5億1000万ドル分が、輸出規制の対象となる製品として最終的に中国へ届けられたとされる。
手口は巧妙だった。監視カメラ映像には、サンらが本物のサーバーからシリアルナンバーのシールをドライヤーで熱して剥がし、ダミーの筐体に貼り替えて再梱包する様子が映っていた。この偽サーバーは後に米商務省が実施した監査でも検出を逃れたとされる。
AI半導体規制の実効性に疑問符
バイデン政権以降、米政府はNvidiaのH100やA100を筆頭とするAI半導体の中国への輸出を厳しく規制してきた。今回の事件は、規制の「抜け穴」が依然として機能していることを示す事例として、テック業界と政策立案者の双方に衝撃を与えた。
スーパーマイクロはすでに2023〜2024年にかけて、会計不正疑惑や上場廃止の危機に直面していた経緯がある。共同創業者の起訴を受け、リョウ氏は取締役会から退任。同社株は起訴翌日の3月20日に33%急落した。
米司法省は声明で「輸出規制の執行は引き続き最優先事項」と強調しており、今後も同様の摘発が続く可能性が高い。
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