企業価値1.77兆ドル——米国株式市場に一石を投じる巨額上場
今回の公募価格135ドル、発行株式数5億5,600万株に基づく企業価値は1.77兆ドル(約259兆円)に達する。これは同社最高経営責任者イーロン・マスク氏が率いるテスラ(約1.6兆ドル)を上回り、米国株式市場の時価総額ランキングで7位前後に入る規模だ。
ゴールドマン・サックスが主幹事を務め、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン・チェースが続く。ロードショーには21行の証券会社から約125名のアナリストが参加し、6月11日には約1,500人の個人投資家向けイベントも予定されている。
マスク氏はIPO後も82%超の議決権を保持する。一般株主は経済的利益を享受できる一方、経営の意思決定にはほぼ関与できない構造だ。
バリュエーション格差——モーニングスターは適正株価を780億ドルと試算
市場の熱狂とは対照的に、米調査会社モーニングスターは同社の適正企業価値を約7,800億ドルと試算しており、公募価格ベースの評価額の半値以下だ。同社の収益の柱は宇宙インターネットサービス「Starlink」と打ち上げ事業「Falcon 9」だが、現時点の売上規模に対する割高感を懸念する声もある。
一方で強気派は、Starlinkの加入者数拡大や次世代超大型ロケット「Starship」の量産化による打ち上げコスト革命、さらには将来的な火星輸送事業などの長期成長ポテンシャルを評価する。
上場後15営業日以内にNasdaq-100(QQQ連動型ETFの対象)への組み入れが可能とされており、インデックスファンドを通じた機関投資家の大量取得が相場を下支えするとの見方もある。
テック業界への波及効果
SpaceXの上場は単なる企業イベントにとどまらず、テック業界全体への影響も大きい。750億ドル規模の資金吸収は、同時期に進行する他のIPO案件や株式市場全体の資金フローを変動させる可能性があるとウォール街では議論されている。
またスタートアップエコシステムにとって、未上場のまま数十年成長を続けたSpaceXが上場に踏み切ったことは、「IPOという選択肢」の再評価につながる可能性がある。創業22年、宇宙産業という資本集約型ビジネスでのユニコーン→デカコーン→上場という軌跡は、次世代のハードテックスタートアップにとってひとつのモデルケースとなりうる。
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