新モデル「Cosmos 3 Edge」——ロボットがリアルタイムで物理世界を認識する
Cosmos 3 Edgeは、システムがリアルタイムで物理環境を認識し、ナビゲートするために設計された「ワールドモデル」だ。従来のテキスト・画像処理にとどまらず、物理世界の空間把握と動作予測を組み合わせ、製造ロボットや医療支援ロボットへの組み込みを想定して開発された。
NVIDIAはこのモデルを「フィジカルAIの次のフロンティア」と位置づける。ファンCEOは「AIの次の最前線は物理世界にある。これは日本にとって一世代に一度のチャンスだ」と述べた。
国家プロジェクト「Noetra」——44社・1兆円のエコシステム
Noetraプロジェクトはソフトバンク主導で、ホンダやNECを含む44の日本企業が参加し、日本政府から約1兆円(約62億ドル)の補助金が拠出されている。日本版「ソブリンAI」戦略の中核として位置づけられており、産業向けフィジカルAIモデルを国産開発することを目標としている。
NVIDIAはNoetraに参画する形で、富士通・日立製作所・川崎重工業などからなる産業連合とも協力体制を構築した。
各産業への展開——医療・金融・自動車・科学研究
今回の発表では、複数の産業分野にわたるパートナーシップの詳細が示された。
ヘルスケア分野では、武田薬品工業・エーザイ・アステラス製薬・第一三共・小野薬品工業がAIを活用した医薬品発見に参加する。川崎重工業は手術支援ロボットと看護介助ロボットの開発を進め、キヤノンと富士フイルムは次世代CTシステムの開発を発表した。
金融分野では、みずほ銀行が「日本の金融業界で最大級のオンプレミスAIファクトリー」の構築を表明。SMBCグループ傘下の日本総合研究所もNVIDIAのNemotronモデルを活用する計画だ。
自動車分野ではトヨタがNVIDIA DRIVE AGXを搭載した次世代車の開発を推進し、科学・研究分野では理化学研究所が1,600個のBlackwell GPUを搭載したスーパーコンピュータ「RIKYU」の運用を開始した。
日本市場への戦略的意味合い
ファンCEOは秋葉原の視察や日本企業幹部との懇談を通じ、日本がフィジカルAIにおいてグローバルな主要国となる可能性を強調した。NVIDIAにとって日本市場での大型アライアンス構築は、中国向け輸出規制が続く中で、ソブリンAIの核心となる市場を確保する戦略的意味合いも持つ。Noetraへの1兆円補助金とNVIDIAとの連携が実際の産業競争力向上につながるかどうかは、今後の具体的な製品・サービス展開次第だ。
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