退職後も続いた不正アクセス
訴状によると、元シニア電気エンジニアのチャン・リウ(Chang Liu)は退職時にApple支給のノートパソコンを返却しなかった。 その後、偶然発見したAppleのクラウドストレージへの認証バグを悪用し、未発表製品の設計仕様、エンジニアリング資料、技術仕様書を含む「数十件」の機密ファイルをダウンロードしていたとされる。
リウはメッセージの中で「ネットワークストレージにアクセスできることを発見した、笑える」と送っていたことも訴状に記録されている。 対象となったファイルには、特定の回路基板の製造・テストに関する詳細な資料も含まれていた。
採用活動を通じた情報収集
もう1人の被告、タン・ユー・タン(Tang Yew Tan)は元AppleのプロダクトデザインVPで、OpenAIへの転職後に採用活動を悪用したとされる。 求職者の面接時に「CADデザインやプロトタイプの持参」を求め、Apple在籍中の社員に対しては退社時のセキュリティ手続きを回避する方法を指南したと訴状は主張する。
ある元Apple社員は「オフィスからそういったものを持ち出せるとは思いもしなかった」と証言していたことも記されている。 こうした採用プロセスを通じた情報収集が組織的に行われていたとAppleは訴えている。
ジョニー・アイブの会社も被告に
今回の訴訟はOpenAIのほかに、リウとタンの2名、そしてAppleの元チーフデザインオフィサーであるジョニー・アイブ氏が率いる「io Products」も被告に含む。 io ProductsはOpenAIとのパートナーシップのもとAIデバイスの開発を進めており、Appleはその開発にAppleの機密情報が利用された疑いがあると主張している。
Appleの訴状では「最上位の役職から現場スタッフに至るまで、各階層においてAppleの営業秘密を組織的に盗んできた」と強い表現で非難している。 OpenAI側は「他社の営業秘密に一切の関心はない。人々を力付ける革新的な技術の開発に集中している」とコメントした。
AI業界における人材流動と情報管理の課題
今回の訴訟はAI業界における人材の急速な流動と企業秘密管理の難しさを改めて浮き彫りにした。 Appleは訴状の中で「証拠開示の手続きにより、実際の被害規模は訴状に記載した内容の数倍に上る可能性がある」と警告している。
AppleはOpenAIと2024年に提携し、iPhoneへのChatGPT統合で話題を集めた経緯がある。 今回の法廷闘争が両社の協力関係に今後どう影響するかも注目されている。
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