OpenAI依存脱却への第一歩——MAIとは何か
マイクロソフトが今回発表したMAI(Microsoft AI)シリーズは、完全自社開発の基盤モデルだ。MAI-Code-1-Flashは5Bパラメータながらスパース型MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用し、総パラメータ数は137Bに相当する。GitHub CopilotのVS Code向けに6月2日からロールアウトを開始しており、Copilot Free/Pro/Pro+/Maxの全プランで順次利用可能となる予定だ。
もう一方のMAI-Thinking-1は、同社初の大規模推論モデルで、アクティブパラメータ数35B、最大コンテキスト長は256,000トークンを持つ。Microsoft Foundryのプライベートプレビューとして提供され、Fireworks AI、Baseten、OpenRouterなどのサードパーティ推論プロバイダーを通じた提供も予定されている。
Claude Haiku 4.5を16ポイント超えるベンチマーク性能
MAI-Code-1-Flashの最大の特徴は、サイズに対して高いコーディング性能だ。SWE-Bench Pro(現実のソフトウェアエンジニアリングタスクのベンチマーク)でAnthropicのClaude Haiku 4.5を16ポイント上回る51.2%のスコアを記録した(Haiku 4.5は35.2%)。複雑なタスクではSWE-Bench Verifiedで最大60%少ないトークン数で同等の成果を出すとされており、APIの利用コストを大幅に削減できる可能性がある。
価格は入力トークン100万件あたり0.75ドル、出力は4.50ドルと設定されており、同クラスのモデルと比較して競争力のある価格帯となっている。また、GitHub Copilotの実際の開発者操作データを訓練分布に用いた点も特徴で、学術的なコードデータセットではなく本番環境のパターンに近い。
「MAIとOpenAI、どちらも使う」——マイクロソフトの二重戦略
マイクロソフトとOpenAIの関係は2019年の130億ドル投資以降、AI基盤において緊密に結びついてきた。しかし近年、OpenAI側がAzureへの依存削減を模索する一方で、マイクロソフトも自社AI技術基盤の構築を加速させている。今回のMAI発表は、その流れを公式に認める形となった。
同社はGitHub CopilotにおいてMAIモデルとOpenAIモデルの双方を並行して提供する方針を示しており、「MAIに完全移行する」のではなく「選択肢として追加する」という段階的なアプローチを取っている。MAI-Code-1-FlashがGitHub Copilotの全プランで利用可能になることで、開発者は用途に応じてモデルを使い分けられる環境が整いつつある。
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