freeeとは? スモールビジネス向けのクラウド会計・ERP企業
フリー株式会社(freee)は、中小企業や個人事業主向けのクラウド会計・人事労務ソフトを提供する東証グロース上場企業(証券コード4478)だ。 2012年に設立され、本社は東京都品川区に置く。
掲げるミッションは「スモールビジネスを、世界の主役に。」。 これまで専門知識が必要だった会計や労務の業務を、誰でも直感的に扱えるソフトに作り変えることを目指してきた。
主力は「freee会計」。 銀行口座やクレジットカードと連携し、明細を自動で取り込んで仕訳を提案し、決算書まで作成できる。 ここに「freee人事労務」などを加え、バックオフィス全体をひとつにつなぐERP(統合基幹システム)へと進化している。
▼ 会社概要(2025年時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | フリー株式会社(freee) |
| 証券コード | 東証グロース 4478 |
| 設立 | 2012年7月 |
| 本社 | 東京都品川区 |
| 代表 | 代表取締役CEO 佐々木 大輔 |
| 主力製品 | freee会計 / freee人事労務 など |
| 売上高 | 332億円(2025年6月期) |
| ミッション | スモールビジネスを、世界の主役に。 |
創業ストーリー:Google出身者が「会計」を作り変える
freeeの創業者・佐々木大輔氏は、Googleで中小企業向けマーケティングのアジア太平洋地域を統括していた人物だ。
そんな佐々木氏が2012年に着目したのが、日本のスモールビジネスが抱える「会計の重さ」だった。 帳簿付け、仕訳、確定申告。 専門知識が必要で時間もかかるこの作業が、本業に集中したい小さな会社や個人事業主の大きな負担になっていた。
freeeのアプローチは明快だった。 銀行口座やカードの取引データを自動で取り込み、AIが仕訳を提案し、ボタンひとつで決算書ができる。 「簿記を知らなくても会計ができる」体験を、クラウドで実現したのだ。
2013年にクラウド会計freeeを提供開始すると、簿記に苦しんでいた多くのスモールビジネスに支持され、急速に広がっていった。
沿革:赤字を恐れず、市場ごと作りにいった
freeeの歴史は、「クラウド会計という市場そのものを作る」挑戦の連続だった。
2019年の上場時には、その年を代表する大型IPOとして大きな注目を集めた。 そして2023年のインボイス制度・電子帳簿保存法という制度変更が、クラウド会計の追い風になった。
J字回復:13年目に訪れた「初めての黒字」
SaaS企業は、先行投資で長く赤字を掘り、ユーザーが積み上がってから一気に利益が立つ——いわゆる「Jカーブ」を描くことが多い。 freeeはその典型例だ。
2024年6月期に約76億円の調整後営業損失だったものが、2025年6月期には約19億円の黒字へ。 1年で約94億円もの改善を成し遂げ、ついに黒字化を達成した。
これは偶然ではない。 長年の投資で積み上げた有料ユーザーのストック収益が、ようやくコストを上回る規模に育った——そのターニングポイントが2025年だったのだ。
業績・財務分析:売上332億、ARR344億の成長と黒字化の両立
2025年6月期(FY2025/6)の主要指標を見てみよう。
ポイントは、成長と黒字化を両立させた点だ。 売上を30%伸ばしながら、同時に黒字に転換する——これはSaaS企業が目指す理想的な姿である。
有料課金事業所数は60万件を突破。 スモールビジネスという広大な裾野を押さえたことで、ストック収益が分厚く積み上がっている。
競合と今後の課題:マネーフォワード・弥生との三つ巴
クラウド会計の市場は、freee一強ではない。
| 企業 | 主力 | 特徴 |
|---|---|---|
| freee | freee会計 | 簿記不要・自動化重視。ERP統合を志向 |
| マネーフォワード | マネーフォワード クラウド | 家計簿アプリ起点。法人・個人を広くカバー |
| 弥生 | 弥生会計 | 老舗。会計事務所・デスクトップ基盤に強み |
freeeとマネーフォワードという2社の上場SaaS、そして老舗の弥生。 この三つ巴の競争が、日本のクラウド会計市場を形づくっている。
freeeの強みは、「簿記を知らない人でも使える」徹底した自動化と、会計から人事労務まで一気通貫でつなぐERP志向にある。 一方で課題もある。 黒字化を実現したいま、成長と利益のバランスをどう取り続けるか。 そして生成AIが経理業務そのものを自動化していく時代に、「会計ソフト」という枠をどう超えていくかが問われている。
まとめ:赤字を「投資」と言い切れた会社
freeeの13年は、「赤字を恐れずに市場を作る」という意思の物語だった。
簿記の知識がなくても会計ができる世界を信じ、長く赤字を掘りながらユーザーを積み上げてきた。 そして2025年、その投資はついに黒字という果実に変わった。
スモールビジネスを世界の主役に——。 このミッションを掲げるfreeeは、AI時代の経理をどう塗り替えていくのか。あなたはどう見るだろうか。
出典・参考
- フリー株式会社 2025年6月期 決算短信・ファクトブック(corp.freee.co.jp/ir)
- 「会計ソフトのフリー、創業以来初の最終黒字13億円 25年6月期」日本経済新聞
- 「freee、初の四半期黒字を達成、売上高はYoY29.0%成長」ログミーFinance
- 「フリー、調整後営業利益18億超で黒字化」週刊BCN+
- freee K.K. company history(dcfmodeling.com 他)



