「自己資本主義」から脱却——初の外部調達に動く
DeepSeekはこれまで、創業者の梁文鋒氏が運営する量的ヘッジファンド「高飛」(High-Flyer)が独自に資金を提供してきた。外部投資家を入れないという方針が、同社の独立性と研究の自由度を支えていたとされる。
今回の方針転換は注目に値する。複数の情報筋によると、テンセントが100億元、電池・EV部品大手のCATLが50億元の出資を検討しており、梁氏自身も200億元を拠出する予定だという。また、中国国家AI基金、ゲーム大手のネットイース、ECのJD.comとも交渉が続いており、出資企業は10社未満に絞られる見通しだ。
DeepSeekの実力と市場での位置づけ
DeepSeekは2024年から2025年にかけて、オープンソースの大規模言語モデル「DeepSeek R1」「DeepSeek V3」を相次いで公開した。GPT-4oやClaude 3系と比較しても遜色ないベンチマーク結果を示しながら、訓練コストを大幅に削減した手法が世界的に注目を集めた。
特に2025年初頭には米国のNvidiaをはじめとする半導体株が急落するほどのインパクトを与え、「AIは必ずしも巨額のハードウェア投資を必要としない」という認識を業界に広げた。
今回の資金調達が完了すれば、DeepSeekの評価額は最大590億ドルに達する可能性がある。OpenAI(約8500億ドル)やAnthropicの約9650億ドルには及ばないものの、中国のAIスタートアップとしては最大規模の調達となる見込みだ。
地政学的文脈と今後の影響
DeepSeekへの大規模資金流入は、中国のAI開発戦略における重要な転換点を示す。米国の半導体輸出規制を受けながらも、限られたリソースで競争力あるモデルを開発してきたDeepSeekが、外部資本を得ることで研究・開発を加速させる可能性がある。
テンセントやCATLといった巨大企業が出資に名乗りを上げた背景には、中国国内のAI基盤として確固たる地位を確立しつつあるDeepSeekへの信頼がある。調達完了は今後数週間以内とされており、AI業界の競争地図に新たな動きが加わる。
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