最高機密レベルのネットワークにAIを展開
今回の合意では、各社のAI製品がDoDのセキュリティ基準である「インパクトレベル6(IL6)」および「インパクトレベル7(IL7)」ネットワーク上に展開される。IL6は機密指定(Secret)情報を扱う環境、IL7はより高度な制限が課された国家安全保障情報システムを指す。
ペンタゴンの中央AIプラットフォーム「GenAI.mil」を通じて提供されるこれらのツールは、データ統合の効率化、戦闘員の意思決定支援、状況認識能力の向上を目的とする。現在130万人を超える国防総省関係者がGenAI.milを利用しており、月単位の作業を日単位に圧縮する成果が出始めているという。2026年4月下旬にはGoogleがGemini 3.1 Proを同プラットフォームに展開済みだとも報告されている。
AnthropicとTrump政権の対立が背景に
今回の7社にAnthropicは含まれていない。背景には2026年2月に表面化した米政府との対立がある。
Anthropicはかつて、ペンタゴンの機密ネットワーク上でClaudeが利用できる唯一のAIモデルとして展開されていた。しかしTrump政権は、自律型兵器や大量監視を含む「あらゆる合法的目的」でのClaude使用を認めるよう同社に要求。Anthropicがこれを拒否したことで、国防総省はAnthropicをサプライチェーンリスクとして指定した。その後、連邦裁判所が違憲の可能性を指摘し執行停止命令を出している。
AI軍事利用の倫理をめぐる問い
ペンタゴンは今回の合意について、特定のAIベンダーへの依存を防ぐ「マルチベンダーアーキテクチャ」の構築を意図していると説明している。今回合意した7社がどのような利用制限を設けるか——あるいは設けないか——の詳細は現時点では公開されていない。
Anthropicのケースは、AI企業が政府との取引においてどこまで自社の安全基準を守り通せるかという問いを業界に投げかけた。軍事・安全保障領域でのAI活用が加速するなか、各社の対応姿勢が問われる局面が続きそうだ。
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