米国におけるAI規制は、混沌の一語に尽きる。連邦議会はAIに関する包括的な法律を一本も成立させておらず、ホワイトハウスと下院共和党は州レベルのAI規制をブロックする準備を進めている。
連邦レベルの「規制ゼロ」
ワシントン・ポストのWP Intelligence部門が3月17日に公開した分析によれば、米国議会は2023年以降、120以上のAI関連法案を提出してきたが、包括的なAI規制法は一本も成立していない。
| 地域 | AI規制の状況 |
|---|---|
| EU | AI Act施行中(2024年発効) |
| 中国 | 生成AI規制、アルゴリズム規制を施行済み |
| カナダ | AI・データ法案(C-27)審議中 |
| 日本 | ガイドラインベースの自主規制 |
| 米国 | 包括法なし |
なぜホワイトハウスは州法をブロックするのか
カリフォルニア州やコロラド州など、複数の州が独自のAI規制を制定する動きを見せている。しかし、ホワイトハウスは「州ごとにバラバラの規制はイノベーションを阻害する」として、連邦レベルでの先取り(preemption)を主張している。
しかし批判者は指摘する。「連邦が規制を作らず、州の規制もブロックすれば、結果は"規制ゼロ"だ」と。
テック企業のロビー活動
大手テック企業は連邦先取りを積極的にロビーしている。統一ルールの方がコンプライアンスコストが低く、州ごとの対応を避けられるからだ。しかし、その統一ルールが存在しない現状では、事実上の「自主規制」が続くことになる。
「規制の空白」がもたらすリスク
AIによる雇用差別、アルゴリズムバイアス、ディープフェイクによる選挙介入——これらのリスクに対して、米国には法的な歯止めがほぼ存在しない。2026年の中間選挙を前に、この空白が問題化する可能性は高い。
出典: Washington Post WP Intelligence、CNBC
