米国司法省は2026年3月19日、スーパーマイクロコンピューター(Super Micro Computer)の共同創業者ウォリー・リョウ(Wally Liaw)ら3名を、輸出管理法違反の共謀などの罪で起訴したと発表した。NvidiaのB200およびH200 GPUを搭載した高性能AIサーバーを無許可で中国へ輸出したとされる、過去最大規模のAIチップ密輸事件だ。
25億ドルのサーバーが東南アジア経由で中国へ
起訴状によると、リョウと共謀者たちは東南アジアに拠点を置く企業に総額25億ドル相当のサーバーを販売した。その企業が梱包を解き直した上で、約5億1000万ドル相当のサーバーを中国の最終顧客へ転送したとされる。対象となったのはNvidiaのB200およびH200 GPU——米国政府が2022年以降、国家安全保障上の懸念を理由に対中輸出を制限している最先端AIチップだ。
リョウは米国市民として逮捕され、台湾籍のウィリー・サン(Willy Sun)も拘束された。スティーブン・チャン(Steven Chang)は台湾籍で現在逃亡中とされる。3名はそれぞれ、輸出管理改革法違反の共謀(最長20年)、密輸共謀(最長5年)、政府詐欺共謀(最長5年)の罪で起訴されている。
スーパーマイクロ株が一日で28%急落
事件の報道を受け、スーパーマイクロの株価は3月20日の取引で28.37%下落し、22.06ドルで引けた。同社は過去にも会計不正問題で株価の大幅下落を経験しており、今回の起訴は改めて企業ガバナンスへの疑問を呼び起こしている。
AI覇権をめぐる米中の技術対立が激化する中、輸出規制の「抜け穴」を塞ごうとする米国の取り締まりがいっそう強化される可能性が高い。今回の逮捕劇は、AIインフラを巡る地政学的争いが企業の経営リスクとして現実化していることを示す事例となった。輸出管理の実効性が問われる中で、シリコンバレーのサプライチェーン全体に対する当局の視線は、一段と厳しくなるとみられる。
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