896エキスパートを持つMoE構造——コンテキストは最大100万トークン
Kimi K3はMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、896のエキスパートを内包する。推論時にはそのうち16のみをアクティベートする構造で、巨大なモデルサイズに対して計算効率を確保している。
コンテキストウィンドウは100万トークンに対応する。長大なコードベースの解析や複雑なタスク処理を想定した設計だ。
独自技術として2つのアーキテクチャ革新を実装している。ひとつは線形アテンション機構を融合した「Kimi Delta Attention」で、長いシーケンスへの対応力を高める。もうひとつは「Attention Residuals」で、スケーリング時の性能向上に寄与すると同社は説明している。
ベンチマークでClaude Opus 4.8を上回り、世界3位相当の性能
独立系評価機関による実業務タスクベンチマーク「GDPval-AA v2」(44業種・9産業を対象)では、Kimi K3は1,687点を記録し世界3位にランクされた。首位はAnthropicの「Claude Fable 5」(1,815点)、2位はOpenAIの「GPT-5.6 Sol」(1,747.8点)だ。
AnthropicのOpus 4.8(1,600点)は上回った一方、フロンティア2モデルにはまだ及ばない。
ソフトウェアエンジニアリングに特化したベンチマークでは際立った強みを示した。複雑なプロジェクトをどれだけ完遂できるかを評価する「Program Bench」と「SWE Marathon」の両指標において、Claude Fable 5とGPT-5.6 Solを上回っている。
独立系評価サイト「Artificial Analysis」のインテリジェンス指標では57点と評価されており、Claude Opus 4.8やGPT-5.5と同水準との位置づけだ。
7月27日にフルウェイト公開、価格は入力3ドル/100万トークン
今回の公開時点では、チャット・エージェント向けの「K3 Max」と大規模並列処理向けの「K3 Swarm Max」の2バリアントが、KimiコードアプリとKimiアプリ上で利用可能となっている。
フルモデルウェイトの一般公開は2026年7月27日を予定する。研究者や企業が自社インフラ上での運用を開始できるようになる。
価格は入力100万トークンあたり3ドル、出力100万トークンあたり15ドル。キャッシュ済み入力は0.30ドルと低廉に設定されており、欧米の中堅クラスのモデルと近い水準だ。
オープンウェイトの巨大化が示す中国AIの実力
Kimi K3の登場は、中国のAIラボが規模・性能の両面でフロンティアモデルに急接近していることを示す事例として注目を集めた。
同モデルの公開当日、競合となりうるAI企業の株価が軒並み下落したと報じられた。
Moonshot AIは2023年創業の新興企業だ。Kimi K3によって、オープンウェイトモデルの弱点として語られてきた「プロプライエタリモデルとの性能差」が、コーディング領域では実質的に消滅しつつある。
ソース:
- China's Moonshot AI releases Kimi K3, the largest open-source model ever, rivaling top U.S. systems — VentureBeat (2026-07-17)
- Moonshot AI Releases Kimi K3: A 2.8 Trillion Parameter Open MoE Model — MarkTechPost (2026-07-16)
- China's Moonshot AI unveils Kimi K3 model it says rivals OpenAI, Anthropic — CNBC (2026-07-17)
- Kimi K3 Benchmarks: Ranking vs Frontier & Open Models — kingy.ai (2026-07-17)