ウェハー1枚を1チップにする独自アーキテクチャ
Cerebrasの最新チップ「WSE-3(Wafer Scale Engine 3)」は、通常の半導体製造では複数のダイに分割するシリコンウェハーを、1枚まるごと1つのプロセッサとして使う設計を採用している。 面積は46,225mm²と、NvidiaのH100 GPU(826mm²)の約57倍にあたる。 トランジスタ数は4兆個、オンチップのSRAMは44GB、ピーク性能は125ペタフロップスを誇り、AIの学習・推論において際立った処理能力を持つ。
GPUを多数並列接続する従来のクラスタ構成では、チップ間のデータ通信が性能のボトルネックになる。 WSE-3はチップ内部で膨大なコア同士が高密度に接続されているため、このオーバーヘッドを大幅に削減できる。 学習では「レイヤーごとに順次処理する」実行モデルを採用しており、GPUクラスタで生じるメモリ同期や通信遅延を回避できる点が評価されている。
20倍超の需要で価格を大幅引き上げ
機関投資家からの需要は、募集株数の20倍超に達したと伝えられている。 これを受けてCerebrasは価格レンジを2度にわたり引き上げ、最終的に150〜160ドルで着地した。 調達額の上限は48億ドルで、完全希薄化ベースの時価総額は最大488億ドル(約7兆3,000億円)に上る見込みだ。
引受主幹事にはMorgan Stanley、Citigroup、Barclays、UBSが名を連ねる。 Dealogicのデータによれば、今回のIPOは今年の世界最大規模になる見通しだ。
OpenAIとAmazonを顧客に持ち、高い収益性を確立
Cerebrasは2025年に5億1,000万ドルの売上高を計上し、純利益率47%という高い収益性を実現している。 主要顧客にはOpenAIとAmazonが名を連ねており、OpenAIとは750MWのコンピュート供給契約を締結済みだ。
競合の多くがNvidiaのエコシステムに依存するなか、CerebrasはNvidiaとは異なるアーキテクチャを採用することで、特定の用途において明確な性能優位を持つとされる。 ただし、NvidiaはCUDAを中心とした強固なソフトウェアエコシステムを持ち、汎用性の高さでは依然として他を寄せ付けない。 Cerebrasが今後どのようなユースケースに注力してNvidiaとの棲み分けを図るかが、上場後の焦点となる。
ソース:
- Cerebras bumps up IPO range as it looks to raise up to $4.8 billion — CNBC(2026年5月11日)
- Cerebras to raise IPO price range to $150 to $160 a share as demand surges — CNBC(2026年5月10日)
- Tech stocks today: AI chipmaker Cerebras to stage blockbuster IPO — Yahoo Finance(2026年5月13日)
- Cerebras WSE-3 wafer-scale AI chip: 57x bigger than largest GPU with 4 trillion transistors — Tweaktown