DeepSeek V4の2つのモデル
V4シリーズは2種類のバリアントで構成される。 「V4-Pro」はパラメータ総数1.6兆、推論時に活性化されるパラメータは490億で、旗艦モデルに位置づけられる。 「V4-Flash」は総数2840億、活性化130億のより軽量なモデルだ。 いずれもコンテキストウィンドウとして100万トークンをネイティブでサポートし、OpenAIのGPT-5.4と同水準となる。
アーキテクチャ面では「ハイブリッドアテンション機構」を採用し、「圧縮スパースアテンション(CSA)」と「高圧縮アテンション(HCA)」を組み合わせることで長文処理の効率を大幅に改善した。 同社の技術報告書によると、V4-ProはDeepSeek-V3.2と比較して100万トークンのコンテキスト処理における単一トークン推論コストを27%に、KVキャッシュを10%に削減できるという。
コスト面ではV4-Flashが入力100万トークンあたり0.14ドル、V4-Proが0.145ドルで提供される。 DeepSeekはライバルのモデルと比較して「50倍安い」と説明している。
Huaweiとの連携が意味するもの
今回のリリースで最も注目を集めているのが、中国の半導体大手「Huawei(華為)」との深い技術連携だ。 V4の技術報告書には、HuaweiのAI向けプロセッサ「Ascend」とNVIDIA GPUの双方でモデルの並行検証を実施したことが明記されている。 Huaweiは同日、Ascendプロセッサがリリース済みのDeepSeekモデルを「フルサポートする」と発表した。
DeepSeekはHuaweiの「Supernode」技術——大規模な「Ascend 950」チップクラスターを組み合わせた高計算力基盤——を活用してモデルを開発した。 アーキテクチャはCUDAフレームワークから「CANN(Compute Architecture for Neural Networks)」フレームワークへ移行しており、NvidiaエコシステムへのIT依存を縮小する明確なシグナルと受け取られている。
調査会社Omdiaのアナリストは「中国トップクラスのAIモデルが今や中国製ハードウェア上で動作することを証明した」と評価する。 DeepSeekは今後Huaweiが「Ascend 950」の量産を進めるにつれて、V4-Proの価格をさらに引き下げる見通しを示した。
市場への影響とフロンティアモデルとの差
V4はHugging Face上でリリース後最速のトップ到達を記録した。 ベンチマーク面では、世界知識に関するテストでオープンソースモデル群をリードし、クローズドソースではGoogleの「Gemini Pro 3.1」にわずかに及ばない2位となった。 ただし現時点では画像・動画のマルチモーダル対応は含まれていない。
市場への影響は即座に現れた。 中国の半導体関連銘柄が上昇する一方、競合するAI企業の株価は下落した。
V4のリリースは、DeepSeekが昨年1月に安価な推論モデルを公開してシリコンバレーを震撼させてから約1年後のことだ。 MITテクノロジーレビューはこの新モデルについて「オープンソース公開」「コスト効率」「国産チップへの最適化」の3点を理由に重要性を強調している。
なお、既存の「deepseek-chat」と「deepseek-reasoner」モデルは2026年7月24日(UTC)以降に廃止・アクセス不可となる予定だ。
ソース:
- DeepSeek previews new AI model that 'closes the gap' with frontier models — TechCrunch(2026年4月24日)
- China's DeepSeek Unveils V4 Built On Huawei Chips, Challenging Nvidia Dominance — Benzinga(2026年4月24日)
- DeepSeek unveils new AI model tailored for Huawei chips — The Jakarta Post(2026年4月26日)
- Three reasons why DeepSeek's new model matters — MIT Technology Review(2026年4月24日)
- DeepSeek V4 Preview Release — DeepSeek API Docs(2026年4月24日)
