100億ドルから200億ドルへ——株式10%取得と10億ドルの設備支援を組み込む異例の構造
OpenAIとCerebrasの最初の合意は2026年1月にさかのぼる。
当初は「3年間で最大100億ドルの調達」という内容だったが、今回の報道で総額は200億ドルを超えた。
金額の倍増にとどまらず、この契約にはいくつかの異例の条件が組み込まれている。
OpenAIはCerebrasの株式ワラントを取得し、発注規模に応じてCerebras全株式の最大10%を保有できる。チップを買うほどOpenAIの持ち分が積み上がる設計だ。
さらにOpenAIは、Cerebrasが新たなデータセンターを建設するための10億ドルの資金支援も行うという。
大量発注に株式と設備投資を組み合わせたこの枠組みは、OpenAIがCerebrasの成長に直接参加する構造を意味する。
AI推論の計算においてNvidiaのGPUが圧倒的なシェアを持つ現状を変えるため、OpenAIはCerebrasを「戦略的サプライヤー」として育てる立場に回りつつある。
CerebrasのIPO申請——評価額は半年で4倍超の350億ドルに
OpenAIとの契約発表と同日、CerebrasはNASDAQへの上場申請を提出した。
目標評価額は350億ドルで、2025年9月時点の81億ドルから4倍以上に膨らんだ数字だ。Cerebrasは2025年に一度上場申請を取り下げており、今回は再挑戦となる。
主力製品「WSE(ウエハースケールエンジン)」は、通常の半導体とは異なり、シリコンウエハーの全面を1枚のチップとして使う独自設計を採用している。
LLMの推論処理においてNvidia製GPUとは異なる特性を発揮するとされ、メモリ帯域幅の面でも優位性があると言われる。
IPO申請に際して懸念されるのは、CerebrasのOpenAIへの収益依存度の高さだ。
主要顧客の動向がそのまま業績を左右する構造は、投資家にとってリスクとして映る可能性がある。上場後に機関投資家がどう評価するかが焦点のひとつになる。
対Nvidia「二正面戦略」——Broadcomとの自社ASICも並行開発
OpenAIのハードウェア投資はCerebrasにとどまらない。
Broadcomとの協業で自社設計のカスタムASICチップの開発も進めており、2026年末までに量産体制に入る計画とされる。
Cerebrasを外部サプライヤーとして育てながら、自社設計シリコンも開発する「二正面戦略」は、Nvidiaへの依存を段階的に減らしながら推論コストを引き下げることを狙っている。
ChatGPTやAPIを通じて膨大な推論トラフィックを処理するOpenAIにとって、チップコストの削減は損益に直結する問題だ。
AI推論市場でのNvidiaの地位は依然として強固だが、主要AI企業が代替チップの育成に本腰を入れ始めたことで、2026〜2027年にかけてサプライチェーンの変化が加速する可能性がある。
OpenAIとCerebrasの関係がどこまで深まるか、そしてIPO後のCerebrasがどの程度の規模で生産を拡大できるかが、Nvidiaの「推論独占」を崩す鍵になる。
ソース:
- OpenAI to Spend More Than $20 Billion on Cerebras Chips, Receive Equity Stake — The Information(2026年4月17日)
- OpenAI to spend more than $20 billion on Cerebras chips, receive equity stake — StartupNews.fyi(2026年4月17日)
- AI chipmaker Cerebras files to go public after scrapping IPO plans last year — CNBC(2026年4月17日)
- OpenAI's $20B Cerebras Deal Hides a 10% Stake in Cerebras — humai.blog(2026年4月17日)