3月だけで6バージョン——Claude Codeの進化速度
Anthropicの開発者向けCLIツール「Claude Code」が、2026年3月にv2.1.72からv2.1.80まで6つのメジャーバージョンを矢継ぎ早にリリースした。コーディングエージェントの競争が激化するなか、Anthropicは週次ペースで機能を追加し続けている。
| バージョン | リリース日 | 主要機能 |
|---|---|---|
| v2.1.72 | 3月10日 | /loopコマンド、ボイスモード |
| v2.1.73 | 3月11日 | modelOverrides設定 |
| v2.1.74 | 3月12日 | /context改善、メモリリーク修正 |
| v2.1.75 | 3月13日 | 1Mコンテキスト、/colorコマンド |
| v2.1.76 | 3月14日 | MCP Elicitation、/effortコマンド |
| v2.1.80 | 3月20日 | Channels、スケジュール済みタスク、リモートコントロール |
ボイスモードと/loop——エージェントとの新しい対話形式
v2.1.72で追加されたボイスモードは、/voiceコマンドで起動する。スペースバーを長押しして話し、離すと送信されるpush-to-talk方式だ。コードを書きながら口頭で指示を出す、というワークフローが現実のものになった。
同時に追加された/loopコマンドは、繰り返しプロンプトを実行する機能だ。/loop 5m check the deployのように間隔と指示を指定すれば、定期的にタスクを実行させられる。cronスケジューリングにも対応する。
| 機能 | コマンド | 用途 |
|---|---|---|
| ボイスモード | /voice | 音声での指示入力 |
| ループ実行 | /loop 5m [指示] | 定期タスクの自動化 |
| プラン作成 | /plan [内容] | 引数付きで即座にプラン生成 |
| エフォート設定 | /effort | 推論深度を○◐●の3段階で調整 |
1Mトークンコンテキストが全有料プランで標準に
3月13日のv2.1.75で、Max、Team、Enterpriseプランのclaude CodeにおいてOpus 4.6の100万トークンコンテキストウィンドウがデフォルト有効になった。同日、Anthropicは100万トークンの一般提供(GA)も発表し、長文コンテキストの追加料金を撤廃している。
これにより、大規模なコードベース全体をコンテキストに含めた状態でのコーディングが現実的になった。リクエストあたりの画像・PDFページ数も100から600に拡大されている。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| コンテキストウィンドウ | 200K(ベータで1M) | 1M(GA、標準) |
| 長文コンテキスト追加料金 | あり | 撤廃 |
| 画像/PDFページ上限 | 100 | 600 |
| 対象プラン | — | Max / Team / Enterprise |
MCP Elicitation——MCPサーバーが「質問」できるように
v2.1.76で導入されたMCP Elicitationは、MCPサーバーがタスク実行中にインタラクティブなダイアログを表示し、ユーザーから構造化された入力を受け取れる機能だ。新しくElicitationとElicitationResultのフックも追加された。
これまでMCPサーバーは一方的にツールを実行するだけだったが、Elicitationにより「どのブランチにデプロイしますか?」「テスト環境のURLを入力してください」といった対話が可能になる。エージェントの自律性と人間の判断を組み合わせる重要な一歩だ。
【3/20追加】Channels——DiscordやTelegramからClaude Codeを操作
v2.1.80で追加されたChannelsは、MCPサーバーを介してClaude Codeセッションを外部メッセージングプラットフォームから制御する機能だ。現在は研究プレビューとして提供されている。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 対応プラットフォーム | Telegram、Discord(MCPサーバー経由) |
| ステータス | 研究プレビュー |
| 起動方法 | --channelsフラグ付きでClaude Codeを起動 |
| ユースケース | 外出先からのコードレビュー指示、CI/CD結果確認、チーム共有 |
通勤中にTelegramからClaude Codeに指示を送り、帰宅後にその結果を確認するといった非同期ワークフローが可能になった。Discordの専用チャンネルにClaude Codeを常駐させ、チームメンバーが自然言語でコード生成やデバッグを依頼する運用も想定されている。
【3/20追加】スケジュール済みタスク——永続的な定期実行
v2.1.72の/loopコマンドはセッション内の簡易スケジューラだったが、v2.1.80ではデスクトップアプリで永続的なスケジュール済みタスクが利用可能になった。
| 比較項目 | CLI(/loop) | デスクトップ |
|---|---|---|
| 永続性 | セッション終了で消滅(3日で自動失効) | アプリ起動中は永続 |
| 設定方法 | /loop 5m タスク内容 | GUIでスケジュール設定 |
| 向いている用途 | デプロイ監視、ビルド待ち | 週次レポート、定期ドキュメント更新 |
Channelsと組み合わせれば、スケジュール実行の結果をTelegramに自動通知することも可能だ。毎週月曜日にリポジトリの未解決PRを要約させる、毎日のエラーログを自動チェックさせるといった運用が想定されている。
【3/20追加】リモートコントロール——スマホからセッションを操る
リモートコントロールは、ターミナルで起動したClaude Codeセッションを、WebブラウザやClaudeモバイルアプリから操作する機能だ。
利用手順:(1) ターミナルでclaude rcまたは/remote-controlを実行 → (2) 表示されるURL/QRコードをスマートフォンで読み取る → (3) Claudeモバイルアプリ(iOS/Android)またはWebブラウザから操作。
| 対応環境 | 詳細 |
|---|---|
| ターミナル側 | macOS / Linux / WSL |
| 操作側 | Webブラウザ、iOS版Claudeアプリ、Android版Claudeアプリ |
| 認証 | Claudeアカウントによる認証 |
Channelsが「メッセージングアプリからの操作」なら、リモートコントロールは「Claude公式アプリからの直接操作」という位置づけだ。開発マシンのターミナルでセッションを立ち上げておけば、カフェや移動中でもスマートフォンからコードの修正指示やビルド状況の確認ができる。
Anthropic Marketplace、Anthropic Instituteも始動
Claude Code以外にも、3月のAnthropicは大きく動いた。3月6日にはサードパーティAIアプリケーションを企業向けに販売する「Anthropic Marketplace」を限定プレビューで公開。GitLab、Replit、Snowflakeなど6社がローンチパートナーとなった。手数料は徴収しないAmazon型のモデルだ。
3月11日にはAIリスク研究組織「Anthropic Institute」を設立。共同創業者のJack Clark氏がHead of Public Benefitに就任し、Frontier Red Team、Societal Impacts、Economic Researchの3チーム体制でAIの社会的影響を研究する。
| 発表 | 日付 | 概要 |
|---|---|---|
| Anthropic Marketplace | 3月6日 | エンタープライズ向けAIアプリマーケットプレイス |
| Anthropic Institute | 3月11日 | AIリスク研究組織、3チーム体制 |
| 1Mコンテキスト GA | 3月13日 | 追加料金なしで全モデル対応 |
| Channels / スケジュール / リモコン | 3月20日 | ターミナルの外からClaude Codeを制御 |
Claude Codeは「常駐AIエンジニア」になるのか
ボイスモード、ループ実行、MCP Elicitation、そしてChannels、スケジュール済みタスク、リモートコントロール——Claude Codeに追加された機能群は、従来の「コーディング支援ツール」の枠を明確に超えている。音声で指示を出し、定期タスクを自動化し、外部サービスと対話的に連携し、スマホから遠隔で操作する。それはもはやエディタの拡張ではなく、開発ワークフロー全体を統括するエージェントだ。
とりわけChannelsとリモートコントロールの追加は象徴的だ。開発者がターミナルの前にいなくても、AIエージェントが働き続ける。「使うもの」から「一緒に働くもの」への転換が、いよいよ現実のものになりつつある。
Cursor、GitHub Copilot、Windsurfとの競争が加速するなか、Claude Codeは「最もアップデート頻度の高いコーディングエージェント」としてのポジションを築きつつある。あなたの開発ワークフローに、次に組み込むべきツールはどれだろうか。
